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しろにき 体調不良(srが体調不良)nkが体調不良のsrのためにがんばる話です
「ぁ゛〜…ごめんな、ニキ…」
「いいよ…なんかおもろいし」
「悪意丸出しやな」
ボビーは体調をよく崩す。この季節の変わり目で案の定低気圧と風邪にやられてしまったらしい。同棲を初めてしまったが故に放っておく訳にはいかず、近所のコンビニでアクエリや冷えピタを買ってきた。
今朝、やっと自部屋から洗い物や洗濯物をリビングに持っていこうと思い、もはや何日経ったか忘れた洗い物や洗濯物を持ってリビングに向かったところ頭を抑える顔色の悪いボビーがいて。
「ボビー?体調悪いの?」
「あぁ、まぁちょっとな…」
「顔色悪いけど…ちょっとほっぺた触るよボビちゃん」
「…あっつ!お前これ熱あるって!」
掌で頬に触れるとIHの弱火ぐらいには熱くて、とても触れたもんじゃない。
よく見ると汗もかいているし、いつもと比べたらボビーの咳も多く感じる。
「熱はないと思うんやけどなぁ…部屋から体温計持ってくるわ」
「いや、動かん方がいいよ…持ってくるわ」
「ごめん、ありがとうな」
いつの間にか彼の肩に置いていた手を離して、ボビーの部屋へと向かった。
ボビーは頻繁に微熱を出すからか体温計はヘッドボートに常に置いていて見つけるのはそう難しくなかった。
「ん、持ってきたよ」
「おー、ありがとう」
「ぁ〜…ガッツリ熱出してもうたわ」
「ほら、やっぱり…!ソファで寝てていいから、ゆっくりしてて。なんかいる物ある?」
「んー、食欲あんまないなぁ…アクエリ買ってきて」
「ん…分かった、ゆっくりしててね。動いちゃだめだよ」
こんな会話を交わして、コンビニに向かって、今。
きっと栄養を取った方がいいだろうと食いたいものは無いのかと聞いたが、「食欲ない」の一言で全てを蹴られる。
食欲がないからと言って何も食べないのはさすがにまずいだろう。
「俺、もうウーバーでええよ…適当に頼むわ」
「はぁ?お前絶対炒飯とか頼むだろ…仕方ないなぁ、このニキさんがお前のためにキッチンに立ってやるよ」
「…お前、料理出来るん?」
「おかゆ作ってあげる」
俺が幼少期に体調を崩した時、母がよく作ってくれた味噌がゆ。あんなに優しい味は再現出来る自信はない、でもボビーにも俺が好きだった飯を共有してやりたい。
やる気だけは充分にある。
「失敗せんとってな…ほんまに…」
「大丈夫大丈夫、お前はこのニキさんを信じられないのか?」
「当たり前だろ、アホか」
「はいはい、いいから寝ててね〜」
とりあえずキッチンに向かって、冷蔵庫を開けて材料を確認する。
ごはん、卵、だし、味噌、ネギ…確か、こんなもんだったと思う。
味噌の味がしっかりついてて、変に濃い味付けがされていなかったから、きっと調味料は不要だろう。
久々に鍋を手に取って、IHコンロを付けてみた。
「ん…あ、美味いんじゃね…!?」
全体を優しく混ぜて馴染ませたあと、味見をしてみると完全再現とは言えないがとても優しい味だった。優しいのに、味噌の味がしっかり付いていて一口食べただけで腹持ちがかなり良い。
これはボビーも驚愕するだろう、また惚れさせちゃうなぁ。
「…ボビー、持ってきたよ。別に残してもいいからね」
「え、ちゃんと美味そうやんか」
「へへ、でしょ。俺の愛情しか入ってないよ」
「キモイなぁ…、頂きます」
手を合わせて、スプーンを手に取り、味噌がゆをすくいとって口に運ぶ。
ああ、なんか今更不安になってきた。どうしよ、不味いとか言われたら。
まぁ、別にボビーに言われてもどうってことないか。
「ふは、めっちゃ美味いわ…お前こんなん出来たんやな」
「え、ほんと…!?お世辞じゃないよね?良かった〜…!」
「そんなお世辞言わへんよ…ニキ相手やし。
にしてもほんまに美味いわ、ありがとうな」
「はぁ、良かったぁ…人にご飯振る舞ったことないからちょっと怯えてた…」
美味い、美味い、と言いながらバクバクと味噌がゆを食べてくれて、どうにも言えない気持ちが膨れ上がった。
めちゃくちゃ嬉しいし、何よりあんなに食欲がないと言っていた彼がいっぱい食べ進めてくれるのが嬉しい。
「…なぁ、おかわりあらへん…?めちゃくちゃ美味いわ、これ…これなら食える…」
「っぇ…、そんなに?よかった…おかわり良いよ、もってくるね」
綺麗に食べられたお皿をまたキッチンに持って行って、味噌がゆを掬った。あんなに子供らしい彼を見れたのは初めてだ。
いつも俺ばっかり組み敷かれて、悔しい思いをしていたからなんだか頬が緩む。
「…っはー、美味かったわ…ありがとう。」
「よかったよ…あんなに食べてくれるなんて」
「はは、ニキが最初飯作るとか言ってた時はほぼ期待してへんかったからなぁ…」
「うわ〜、ボビー最低」
まぁ自分でもよく分かる。
こんなにだらしない生活してて、マックとピザしか食わないから。一人暮らしの時なんて自炊したのは1、2回だろう。
「…料理振る舞ってくれるって、奥さんみたいやなぁ。また飯食わせてな、ニキ」
「え…ぅ、うん…」
「は、照れてるん?こっちおいでや、一緒に寝よ」
「…っえ、いいの…、一人でゆっくり寝てなよ」
「俺がええからええの。」
ソファの凭れる背中部分を倒してほれほれと手招きをしてくる。正直に言うとめちゃくちゃ抱き着きたいし抱きしめたい。
感情は抑えられなくて結局手招きに応じて彼の側へ行き抱きついた。
「…なん、どしたん」
「んや、別になんでも…好きだなって」
「ふ、そーかい…」
2日後、ニキも風邪を引いた。
コメント
2件
オチまであるの最高