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『…っ..ごめん…。今のは忘れて..』
そう言いながら落としたスマホを僕に渡してスタジオの中へと足早に帰っていった。
【omr side】
通り過ぎる街灯が僕の顔を照らしてゆく。
先程まで感じていた唇の感触を思い出しながら車に揺られる
まだ心臓の音が煩い。
『忘れて』とはどういう事だろうか。
僕のことをどう思っているのだろうか。弄ばれているのだろうか。
風磨くん…。
『着きましたよ。』
顔を上げると見慣れた光景。自宅だった。
少し胸のざわつきが収まり、部屋に入る。
そのまま、電気をつける事なく、ソファに倒れ込む。
スマホを着ける。ブルーライトが僕の目を突き刺すが、
気にせず風磨くんのLINEを開く。
いつもなら連絡を入れる。
しかし、脳内から思い出される今日の出来事。
スマホを拾い上げてくれた時の気まずい雰囲気。
“ありが| “
文字を打ち込んでゆくが、やっぱり無理だと、3文字を消す。
そのままスマホを手に目を瞑る。
もう、今日は寝てしまおう。
スマホのバイブ音で目覚める。
やけにいつもより明るい。意識がはっきりして昨日の光景がフラッシュバックする。
また胸が騒ぎだすが、鳴り止まったバイブ音に目を向けると
マネージャーから電話が入っていた。
10 : 38 あぁ、すっかり忘れていた。
今日は「天国」のレコーディングリハの日だ。
無理矢理、身体を起こすが昨夜風呂にさえも入っていなかったことに気づく。
ある程度の社会のマナーとしてシャワーを浴びないといけない。
マネージャーに「遅れる」と連絡して急足でシャワーを浴びに行く。
シャワーを浴びているとふと思う。
あぁ僕、キスされたんだ。好きな人に、、。
好きな人に、、。
手が止まる。風磨くんは僕のことが好きなのかもしれない。
今になって舞い上がってきた心を抑えようと「遊び相手かもしれない」と自分に言い聞かせてみるが、
結局のところ、好きな人にキスをされた事実は変わらないのだ。
あの時の甘い雰囲気を思い出しながら自然に口角が上がっていた。