「…ふぅ。」
そんな、何かわからない沢山の感情が入り交じる溜息をつく。悲しみだろうか。呆れだろうか。いや違う。
…けど、なににしても今の私にはどうでもいい。
耳を優しくつついてくる潮と砂の音。
鼻に抜けていく海の香り。
目に触れる優しい一面の青。
五感に訴えかけてくるそれは今の私には…。哀しいような、なんとも言えない気持ちを抱えながらふっと、受け入れてくれるような大きな海に微笑んだ。
あの夏。この海で「これ、あげる!」なんて突然渡されたネックレスと無邪気な笑顔は。
ネックレスは手元にあるのに、その少年のような笑顔はもうないんだよね。人目もはばからず私は手元にあるモノを海へ放り投げた。
刹那、走馬灯のように蘇る記憶。それと宙を舞うネックレスを見捨て、私は近くに停めてある車に戻ろうとした…戻ろうとしたのに。何故だろう、視界がぼやけて道筋が分からないや。…
家に帰ってからも、ずっと頭が回らない。
別れを告げられたのは私だった。私は、ネックレスも、過去の思い出も。見捨てることが出来ずに
心に染み付いたままだった。
コメント
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「melt bitter」っていう曲からインスピレーション受けたところあるんでちょっと似てます…!