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しくじった。
敵の攻撃をもろに受けて、身動きが取れない。視界は霞んで、耳は遠くなっていく。
死はすぐそこまで近づいているのだろう。私はそう感じた。
三郎「これでは、怒られてしまうな。」
勘右衛門と交わした約束。
_「絶対に生きて帰るんだ。」
嗚呼、生きて帰りたい。生きて帰って、雷蔵とまた話がしたい。もっと完璧で綺麗な面を作りたい。
三郎「この面、付けてきて正解だったな。」
今までで一番綺麗に、雷蔵本人により似せて作った面。私の宝物であり、全て。
正直、この任務で生きて帰れるか分からない事くらい知っていた。
最期になるくらいなら、この面を付けて任務を遂行したかった。
三郎「嗚呼、神様。どうか、どうか……最期に雷蔵に会わせてください。」
私はそう願った。神など今まで信じたことはなかった。でも、今日だけは……信じてみようと思った。
雷蔵「……郎!…三郎!!」
三郎「らい…ぞ……」
嬉しい。会えた。そんな喜びが湧き上がった。声に出して喜びたかった。「来てくれたのか。ありがとう。」そう礼を言いたかった。だが、出るのは掠れた声だけだ。
_私はもう時期死ぬだろう。礼も何も言えない。そんな私を許して欲しい、雷蔵。
どうか、どうか……謝罪だけでも……!
_「…ごめん。」
私の体は、雪のように、氷のように冷たく、雷蔵の手を温めることはできなかった。