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< あの星の下で、もう一度 >
この物語は空が縁を結んで愛を作った切なく苦しいラブストーリー。『何年経っても君の事を愛している』 長い年月が経っても僕は君にまた恋をする_ 1部ノンフィクションの感動物語_。美空×想空
< プロローグ >
キミの好きな空に無数の星が舞っているのにキミは目を覚まさない。心音は規則正しく波を打っていて綺麗な目は時折苦しそうに目を動かすというのに…この世界の中でキミの時計の針だけが止まっていた_。もしも願いが一つだけ叶うとしたら…僕は君の好きなソラになりたい、本気で代わってあげたい、そう思ったのに__
#1-最初の空
ベンチに2人で座っている僕らを照らしてくれるのは月よりもずっと上にある綺麗な無数の星たち。僕の横で嬉しそうに星を見ている君、そんな君の隣でキミの横顔を見ている僕。
「…なんでそんなに空が好きなの?」
「…空を見てたら私の悩みも不安もちっぽけに思えてくるし私の名前も美空だから…かな、空でも星が1番大好き」
嬉しそうな笑顔なのにどこか悲しい影があったのを僕は見逃さなかった。美空…美しいに、空って書いて美空(みそら)
「私を産んだあの日、空が綺麗だったからあの空のように美しい人になれますように、ってお母さんが願いを込めて付けてくれた名前。名前も由来も空も私は大好き」はい、って僕に何かを渡す、渡されたものを見ると綺麗な夕焼けが映されていた。
「これ、私が産まれた時の空なんだって、綺麗すぎてお父さんが撮ってたらしい」
「そうなんだ…素敵な名前だね、由来も綺麗」
「想空はなんでその名前なの?」
_想うに空って書いて、想空(そら)
「…なんだったっけ?誰かをあの空のように優しく包んで誰かを想って誰かに想われなさいって意味だった気がする。美空は空が好きだけど、僕は空が嫌いだ…空にはお母さんがいるから。」
「綺麗な由来…私想空の由来好き、だけどお母さん自殺、だっけ辛いこと思い出させてごめんね」
「ううん、大丈夫だよ、もう話はやめにして空に集中したら?星見るために来たんでしょ?」
「…うん、ありがとう」
美空は優しく上を見上げ星を見る、星を見るために深夜に飛び出してくるぐらいだから彼女は本当に星が好きなんだろう。僕も空を見上げる…お母さん、僕を5年前に捨てて想い人と駆け落ちして最終的には裏切られて自殺、そんな悲しい過去を僕は背負ってる、捨てられない一生の過去。お母さんと過去を思い出すからこの名前は嫌いだけど由来と美空と同じ空が着くからやっぱり好きな名前。
カシャ…美空が携帯を取りだして星空を1つの写真に収める。
1枚じゃ足らず何度も、角度を変えて、明るさも変えて…。
写真を撮るのに満足したのか、帰ろうと催促してくる。
「うん、帰ろっか、帰りは送っていくよ」
「ううん、悪いよ」
「いいから、行くよ」
先頭を越すように僕が歩きその僕の後ろを美空が付いてくる。不覚にも可愛いって思ってしまった、
あっという間に美空の家に着き別れを告げる。
「…今日は突然ごめんね、気をつけて帰ってね。おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
幸せだと思ったこの時間、今までは何ともなかったのに可愛いって思った美空の顔、自分の中で少しづつ芽生えてきてる特別な感情、全部新鮮で全部楽しくて、幸せだった。けどこの幸せは一生は続かなかった___。
#2-告げられた名前
連休が明け学校の日になりお昼の時間になっても美空は来なかった_いつもなら学校が好きすぎて朝一番に来るくらいなのに、何かあったんだろうか?と心配で頭を悩ませるしか出来なかった。
「想空、今日美空ちゃんは?」
「んー、それが何も連絡もなくて心配なんだよね」
「そっかー、次こそ連絡先を、と思ってたんだけどな…嫌われてんのかなー」
「美空はそんな人を嫌う性格じゃないよ、だから安心しろ」
美空が学校に来なくて落ち込んでるこの人は俺の幼稚園生からの友達 堤 明 (つつみ あきら)普通に授業受けて、友達と話して、馬鹿なことやって巻き込まれて先生に怒られて、そんな忙しい一日を過ごしていたらあっという間に帰りの時間が近づいても、美空は来なかった。帰りに美空の家に寄ってみよう…
ピンポーン、インターホンを鳴らしても出てこなかった、2階の美空の部屋を見ると美空が暗い顔でどこかを見ていた。美空に気づいてもらえるように大きく手を振ると美空はそれに気づいて玄関まで来てくれた、ガチャ…
「想空、どうしたの」困ったように眉を下げ笑う彼女に問いかける
「今日学校来なかったろ、心配だったから。あとプリント」
「プリントありがと、ちょっと受け止めきれなくて…中に入って」
「…うん」
『受け止めきれなくて…』悲しそうな、苦しそうな、我慢しているような…何があったのだろうか?
美空の部屋へ入るのは何年ぶりだろう?しばらく入ってないのに部屋はあの頃と何ら変わっていない…変わったのは美空が成長して、匂いもタバコの匂いに包まれている、お父さんのだろう…。
「私ね、最近体調が悪くなることが増えててそれを見かけたお父さんが病院まで連れて行ってくれて検査してくれたんだけど…」
「…だけど、…っ」だけど、の続きは美空が涙を流していて言葉が詰まって言えていなかった。
「待つよ、ゆっくりでいいから。」
「ううん、今話したい、ここまで来てくれたのに何も渡さないのは失礼でしょ」また困ったように笑う美空に違和感をおぼえる。
「…心臓病って診断されて原因は分からないって言われた、まだ若いから進行も早くなるだろうって」これを聞いた僕でさえ不安になるのに当の本人の美空はどんなに怖いだろうか…代わってあげたい、どうして美空がこんな病気を背負わないといけないのか?世界も、空も、残酷すぎるって初めて思った…願いが叶うとしたら僕は空に向かって 美空を助けて と願うだろう…
1週間後にまた詳しく検査をするため入院を使って検査をするらしい、その検査についての同意書 説明 治療方法 など詳しく書いてある複数枚の紙を持って美空は深いため息をついた、こんな長い陣列してる文を見たら僕だって吐きたくなる、これから美空に辛い治療が降り掛かってくる、僕も頑張らないと。
3日後
大好きな星の形のピンを髪につけて彼女は病院へと旅立った_
あの星のピン、僕があげたやつだ…星が好きなんだってキラキラ輝きながらそう言うから次の日星のピンをあげたら泣いて喜んでくれたのを昨日の事のように思い出せる。そうして車は病院に向かって走っていった、僕も後から行こう…
コンコン…「入ってもいいですか?想空です」
「想空、入ってもいいよ」
窓際にベッドがありベッドの横にソファと机がある、至って普通の個室に美空はいた。
「普段私服とか制服だからいつもと違う服でちょっと恥ずかしいな…」
「なんでよ、かわいいじゃん」
「…っ?!」
褒めたつもりだけど美空は顔を真っ赤にして照れていた。その姿がとても愛おしく、愛おしすぎて苦しかった。
「退院したら沢山言うから早く退院してね」
「当たり前でしょ、約束ね」
「…約束」
早く退院してね、その約束は二度と叶うことはなくやがて、過去の泡となって葬られる__。
#3-変わらない日常
コンコン、といつも通りノックしいつも通り美空と他愛ない会話をする…会話の途中で苦しそうに顔を歪ませたり、たまには酷すぎてナースコールを何度も押したことがある。それでも美空は元気に強く「気にしないで」って笑っていた、だから僕も気にしなかった、心臓病にかかってない僕が気にして不安になったら美空も今以上に不安がるだろう…僕はそんな美空の姿を見てきて、守りたいと思うようになった…僕でも薄々気づいていた。なんで守りたいって可愛いって思うのか、この思いがなんなのか…僕は美空を好きになっていた…星を見て目を輝かせる美空のことを可愛いって思って守りたいって思って好きなんて思っていた。
僕は安堵して当たり前に隣にいた彼女に安心していた_さよならもバイバイの意味も知らないくせに…。
いつも通り病院に行きエレベーターに乗ろうとすると
「…さん!大変です308号室の患者さんの容態が…!、」
僕の目の前を慌ただしく駆け308号室と聞いた瞬間に僕は耳を塞ぎたくなった、その看護師さん達に続いて僕も後を追うと、そこは…間違いなく美空の部屋だった__急いで部屋を入ろうとしても
「申し訳ありません、今患者様の処置をしておりますので入口でお待ちください。」
恋だと自覚した瞬間に突き放されたみたいに僕は不安になった、奥からパタパタと慌てて走るスーツ姿の人がいた、タバコの匂いを包んで走るその人はどこか美空に似ていた。
「あ、あの…美空は…美空は無事なんですか…っ?!」
「すみません、今の段階ではなんとも…まだ患者様の処置が終わってませんので入口でお待ちください。」
あの人…美空のお父さん…?
「あ、あの…僕美空さんの友達…です、」
「…そうか、君が想空くんだね?いつも娘がお世話になっているよ、君の話はいつも娘から聞いているさ。」
タバコの匂い 誰かの香水の匂いを包む美空のお父さんは淡々と話すけど優しく話す様子に僕は少し戸惑った。
「…そうなんですか、いつもお世話になってます…」
美空の容態が悪化して院内はバタバタと騒がしく、美空の病室の部屋の中には色々な声が聞こえる。…美空を、神様を、運を、信じたい。僕はどうなってもいい、だから美空だけは助けてください…そうして何分経っただろう…僕の体内時計では2時間と長い時間にいた気がするが実際は1時間くらいで、病室に入っていいと言われた。お父さんと一緒に入ると、酸素マスクをつけて苦しそうに目を瞑り寝ている美空がいた。
「あ、あぁ…っ美空…美空…!!」
安堵したように涙を流し起きない美空を抱きかかえ良かった、ありがとう、と声に漏らす美空のお父さん。僕も、腰が抜けるくらい安心した、けど抱きかかえて涙を流すなんて美空の前ではしたくなった…例え目を瞑っていたとしても不安になるようなことはしたくなかった…だから思うことだけは、許してくれ、
君が病気にかかったこと、入院したこと、悪化したこと、酸素マスクをつけて寝ていること、僕の思いの答えを教えてくれないこと、全部が不安すぎて泣きたかった、いっそこのまま好きって言いたかったけど、僕は…ゆっくりゆっくりと君に伝えたい。好きだよ、と、美空のお父さんが涙を止めて数十分あれから美空はずっと目を瞑り僕たちの問いかけに答えてはくれなかった、君の好きな星が夜空に沢山舞っているのに…美空は目を覚まさない、星を出た夜は真っ先に僕に電話をくれて今星が出てるんだよ、一緒に見よう、写真を撮る、何でもかんでも報告してくれた君が唯一星を見なかった今日_
#0-星降る夜に、願いを込めて 想空side
あれから何時間経っても美空は起きなかった、美空のお父さんは病室に残り僕は帰されて今自分の部屋で美空と星を思いながらぼーっとしている。美空とまたあの場所で星が見れますように、と星降る夜に何度も願う、美空が目覚めたら真っ先に、好きだと、守らせてくれ、と言いたい、今の僕は隣に美空が居なくてとても不安だし消えたいと思う、けどまだ遠い隣に美空は居る、未来の僕は美空を守っているだろうか?守れない環境にあっていたとしても僕は君にまた恋をしたい__誰にも心の内は明けていないのに美空のことを想うだけでこんなに暖かい想いになる…人を好きになるってこんな気持ちになるんだ…その時僕の手の中にあったのはシルバー色の星のネックレス。僕とお揃いで、僕が月の形、これを美空にあげて思いを伝えられたらな…空に浮かぶ月の光でキラキラと輝くシルバー色のネックレスを握って、もう一度星降る夜に願う…キミが目を開けますようにと。
#0-真っ白な世界に君がいた 美空side
5分、10分、15分…1時間、2時間と時間が流れても私は1人真っ白な世界に居た、どれだけ動いても、声を出しても誰も何も居ない、私の影さえも無かった、いつになったらこの世界から抜け出せるんだろう、ここから出たい、その目的を持ってただひたすら歩いていると遠くに誰かの影があった、走って、近づくと、私の_求めていた人がいた、私は声を出す、やっと声に出して貴方の名前を呼べる…ずっと呼びたかった好きな人の名前、愛おしかった_
『_想空…!』喉に何かが詰まったようなモノを無視して声を出しても想空は返事をするどころか振り返ってくれなかった…私の声、聞こえないの?…聞こえてないとしたら、なんで…視界がグラリと揺れたかと思えば次の瞬間上からベッドに横たわって寝ている私の姿が自分の目に写った_なんなの、これ…どうして私ここに?…なんで私寝ているの?起きて想空の隣に行ってよ、真っ白な世界に想空が居たのに、想空の後ろに居たのに、今は…何処にもいなかった。
#4-愛の形
美空が目を覚まさなくなって早3週間が過ぎようとしていた、美空の眠るベッドの横の棚には僕とお揃いとネックレス、美空が撮った星の写真、美空が産まれた時の夕焼けの写真…美空がここに来るまでの時間が写真となって置かれていた、その場所にネックレス…早く目を開けてくれ、君が隣に居ない世界は生きづらい。
「今日も来ていたのか…いつもありがとう。だがこうして毎日来られると正直、私もどうしたらいいか分からないもんで…美空も困るだろう」
「あ、美空のお父さん…どうして美空が困るんですか?」
「…君にこうして毎日来られると早く目を覚まさないと、って自分を責めるだろう、表に出さないだけで裏では抱え込むような子なんだよ」
「…そう、ですか、でも迷惑だったなら目を開けた時にちゃんと謝ります。僕がここにいないと、美空どこか行きそうで…手を離したくありません。僕は美空が大好きです」…
困ったように眉を下げて笑う美空のお父さんはどこかの美空と同じ顔をしていてやっぱ親子なんだと思ったと同時に、僕は心の内を美空のお父さんに話してしまった。…でももう隠せなかった、自分でも気づかなかった、美空に対する気持ちが強くなるのを。それに一生懸命気づかないフリをしていた…。
「そ、れ、ほんと、う…?」か弱い声が聞こえて美空の方を見ると美空が少し目を開けていた。
「み、美空…!」
「美空…目を開けてくれたのか…っあぁ…神様…っ」
急いでナースコールを押し状況を伝えると担当の看護師さんが来て様子を見るがまだ回復していないため絶対安静だと言われた、細い腕に何本もの点滴を打つ、
「わた…っしも、ソラがす、き」
途切れる声で、拙く、優しく…そういう美空に何度安心したか。
「…それってどっちのソラ?」
「ば、か…私の、今隣にいる、そらだよ」
途切れても拙くても優しく僕のことが好きだと言ってくれる美空の首に優しくネックレスをつけた。
「どうやら、私は邪魔者みたいなようだね、美空がせっかく目を覚ましたというのに、美空私はまた明日来るよ…」
ガラガラ…美空のお父さんを追い出すみたいな形になってちょっと申し訳ないなって思いながらも美空に問いかける。
「このネックレス、僕とお揃いなんだ。美空いつも星が好きって言ってたから星と月のネックレスで、僕が月…気に入ってくれた?」
「うん、とても綺麗…ありがとう」
ありがとう、と可愛く優しく微笑む、僕はそんな美空に優しく触れるようなキスを落とした、もうどうにもならないくらい美空が大好きだ…優しく触れるようなキスをした後美空を見ると顔を真っ赤にしていた。__星も、美空も居るこの世界はとても綺麗でとても、輝かしく思えた…僕は美空とこれからも一生を生きるだろう、そう思っていた__
朝鳥の鳴く声で起きて机の上にあるネックレスに目をやると日光でシルバー色のネックレスはキラキラと輝いていた、目を瞑りたくなるような眩しさで、目を瞑りたくなるように幸せだった。僕はベッドから起き上がらないで、太陽を見ていると携帯に着信が入る、のそのそとベッドから降り電話に出る。
「はい、もしもし…」
「もしもし…!今美空の病院から電話があって…!、」
ガチャん_ スマホを落として耳を塞ぐほどとても衝撃だった、だって昨日あんなに元気で…急いで病院に行かないと…っ
急いで服に着替え走って病院へ向かう…
#5-あの月より遠い最愛の人
静かな院内、どこからか薬品の匂いがする、どこかの病室で誰かの泣き声がする…そんなのは気にしないで一直線へと美空の居る病室へ行く、入口には看護師さんと美空のお父さんが話していた。聞いてみると
「今日が恐らく…」
「そんな、嘘だろう…美空、美空…っ!!!」
看護師さんと話をしていた美空のお父さんが一瞬にして泣き崩れ僕もそれを見て涙を流す…落ち着いた頃に美空の病室へ入るとこの間よりも痛々しく痩せていて点滴も繋がれ酸素マスクも付けていた。愛おしい人がどうしてこんな目に合わないといけないのだろうか?彼女は純粋に人を愛して、星を愛して、ただ…生きていただけなのにどうして彼女がこんな目に合わないといけないのだろうか、できることなら代わってやりたい、助けてあげたい…僕にはどうしようもできないで居る。悔しさのあまりネックレスをぎゅっと力強く握る…美空の横に座り声かけるも応答がない、いつもみたいに星が好きって、星が見たいって、言ってよ…僕を安心させてよ…
美空を見て泣く僕を泣きたいのはこっちもだ、と背中をさする美空のお父さん、辛いのは…美空と、お父さんだ…僕が泣いていい場所じゃ、ない…っ
「美空…どうして病気にかかってしまったんだよ…?なぁ、お父さんの問いに答えてくれ…っ」
美空の居る病室には点滴が落ちる水滴の音とほのかに香る薬品の匂い、そして2人の泣き声が響いていた__
夜も付きっきりで美空の隣にいて、僕がまた…君が好きなものはなんだ、と聞くと美空はゆっくりと急に目を開けこう言う…
『 私が好きなのはね…ソラだよ_ 』
__そう、言葉を遺し美空は空に行ってしまった。彼女は自分が好きだと言っていた空になってしまった…
「美空。、まだ行かないでくれ…っ」
「美空…っ美空…、!」
美空の心臓が止まる音がする_看護師達が一生懸命頑張ってくれていても二度と吹き返すことは無かった。…こうして僕の最愛の人、美空は空になってしまった。美空が最後に残した ソラが好き はどっちのソラ…?もう確認する術も無くなってしまった。
美空は人に愛されてると思った、美空のお葬式にはそれだけ沢山の人がいた…皆黒い服に包まれ涙を流す…美空のお父さんも、僕も、堤も、皆…みんな、美空が好きだった_お葬式が終わり皆美空との思い出話に花を咲かせていると美空のお父さんから手紙を貰った、
「これは…美空が書いたモノだ…時間がある時に読むといい。」
そう言い残し自分の元いた場所へと戻る。美空が僕に手紙を…?嘘だと思った、これは美空のお父さんが僕に元気づけるために嘘をついたんだ…。
無事にお葬式が終わり美空へ別れを告げる_また、会おう。僕の最愛の人__おぼつかない足取りで家へ帰り階段をのぼり自分の部屋へと向かう。手紙を開けると、嘘でも、夢でも何でもなかった_僕の大好きな美空の字が書いてあった…
『 想空へ
想空は今きっと泣いてるよね、ごめんね泣かせちゃって。私先生から、自分が今どれだけ危ないかを伝えられたの、私自分が思ってるよりも酷い状況で無理は許されなかったの。自分が自分の事を1番わかってる、私は空になる日が近い、空にならなくても私が生きた記念って事でこの手紙は残しておいてね。でも、想空が持っててどうしても辛いんだったら一緒に火葬してね、想空の気持ちには気づいてたんだ…想空はきっと私のことが好きだって。自惚れんなって思うかもだけどそれだけ想空は分かりやすかった。だから私の方から告白って考えてたんだけどどんな言葉でどこの場所で、って考えてる時に病気になっちゃって…ごめんね、私上手く伝えられなくて…もし死んじゃうんだったら…ちゃんと伝えたいから最後の言葉よく聞いててね。…いつだっけ?私が急に呼び出しても来てくれるし、呼び出した時も寒いからってブランケットを貸してくれてたし、そういう想空の何気ない優しさが好き、でも私たちは結ばれない、結ばれられない…ごめんね、私は先に空になります、待ってるからゆっくり空に来てね…最後に君のこと、想空のこと愛してました。 美空 』
手紙を読み終わる頃には美空がせっかく書いてくれた手紙は僕の涙でぐちゃぐちゃだった、まさか両思いだったなんて…もっと早く気持ちを伝えておけばよかったと、不安がらないでもっと早くネックレスを渡して伝えておけばよかったと、何度も泣いて何度も後悔した。…
「返事が遅くなったが…僕も好きだ、美空…っ」
まだ星が出ていない夜に…美空に届くように…僕は想いを伝える。僕はこれから色んな人に出会い色んな恋愛を知るだろう…でも僕は美空が好きだ、星が好きな君を僕は月で愛す。外に出て、夜中呼び出されたあの公園に行く。もう美空はこの世界には居ないのにここに来たら美空に会えるんじゃないかってそう思ってしまう自分がいた…ベンチに座り、上を見上げる、隣にも何処にも美空は居ない、美空は…あの月より、星より…はるか彼方へ行ってしまった…美空、君が好きな星は今も見れてる?僕は美空が居なくて死にたいぐらい寂しいよ、僕も今すぐそっちに行きたい…けどそんなすぐに行ったら美空に怒られそうだな…美空の事を思い出すと心が軽くなりふっと笑う。…僕は美空を愛している_
#6-あの星の下で、もう一度
2年後__
僕は未だに美空以上の人を見つけれていない、それどころか恋愛できないでいる、僕の心の中にはまだ美空が居る。今日は美空のお墓に行くためのお供え物を買いに来ている、美空の事だからな…星に関する何かを…僕が目に付けたのは星の形では無いけど…指輪だった、綺麗なダイヤの指輪だった、これをお墓に置いていたら誰かに盗まれるかもしれないからお墓には花を、仏壇には指輪を…まずはお墓に行って手を合わせる。
「美空…今日も僕とお父さんを見守っててね、僕はまだそっちにはいけないけど、ゆっくり待っていてね… 」
よし、次は美空の家…僕の右手には綺麗にラッピングされた指輪の箱が入った袋がある、僕は今日美空に……。
「来てくれてありがとう、おや、なんだ?その袋は」
「これは…美空に渡すつもりで」
「そうか…入るといい」
「お邪魔します」
「…美空、今日は君に渡したいものがあるんだ。本当は直接渡したかったんだけどあの頃は何も出来なくて…だから遅くなったけどこれ指輪…僕と結婚してください。そして…お義父さん、美空さんを幸せにします。」
「…君には負けたよ。美空を幸せにしてあげなさい…私はもう何も言わないさ、美空こんなに想ってくれる人がいるのにどうして君は…っ」
優しく、慎重に指輪が入った箱を開ける、僕が美空にあげたプレゼントは全部星に関する物だったり星の形だったけど唯一星に関係ないし星の形じゃないけど…許してね。僕は何年経っても君が好き、何年生きても美空に対する気持ちは好き以外見つからない。今でもたまに美空がいるあの時に戻れたら、あの瞬間に戻れたら、って今でも想う_
「…美空愛しているよ」
「私も想空の事愛してる」
僕の後ろから美空の声が聞こえた気がして後ろを振り返るけどもちろん誰も居なくて…でも僕は美空がこんなに近くにいるんだって、嬉しくなった。…僕は美空の写真を手に取り、あの頃のように優しく触れるだけのキスを君に落とした、涙の味がした__僕は…自分の名前みたいに誰かを一途に想い誰かに一途に想われた、僕はこれから一生をかけて君に愛していると伝える…君があの場所で1人にならないように、不安にならないように愛を伝える。今度はもう遠回りしない、ちゃんと真っ直ぐ伝えると決めた…そっと自分の左手の薬指を見る、僕たちは繋がっている…美空名前の通りキミは美しくて、愛おしい空だった…
これは空が生んだ真実の愛
あの星の下で、もう一度 / 白瀬なる
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