僕は感情を伝えるのが苦手だから
手紙を書こうと思う。
未来の僕は、何をしていますか
未来の僕は、今より少しは
みんなに、
僕の気持ちを伝えるのが得意になっていますか。
今は、うまくいかないことが沢山あって
金銭面の余裕もなくて
でも、バイトはできなくて。
生きるのに向いてない僕だけど、
運命の人に出会って、人生を大きく動かすような
出来事があったらいいなって。
前座が長くなっちゃったけど、
これは僕がしあわせになったときに
読む手紙です。
過去の僕を忘れないように。
きっと、感情は伝えられるようになっても
説明するのはやっぱり、苦手だと思うから。
今の自分は、ずっと
死と隣合わせと言っても過言ではないくらい
ずっといろんなことに悩んでいます。
「死んでしまおうか」
そう思うことが毎日あります。
それでも、死んでいないのは
「死」があるからだと思っています。
どうせ死ぬんだ、死ぬつもりで生きてやろうって
思っているからです。
逆に、僕の今の支えは
「死」しかありません。
不安定で、いつ崩れてもおかしくない。
こんな僕でもいつか
新しい支えが、僕の足を動かしてくれたらって
未来の僕には、道ができていたらって
ここでバランスを保つことで精一杯な僕が
歩きかたも、何もかも
誰かの隣で学んでいけたらって
そう思ったら、僕は
まだ死ななくていいやって思えます。
ありがとう、未来の僕。
君がいるから今の僕は
まだ、生きていける。
ありがとう、いつか
好きなものたくさん食べて
好きなところたくさん行って、
好きなだけねて
好きなだけうごいて
すきなだけはしって
今ぼくのからだにいくつもつながっている
この長いせんが
いらなくなるときは
わらえるといいな。
そのときは、きっと
ぼくだって、いろんなことができるように
なっているよね。
まるでおとぎばなしみたいな、
将来のぼくをきたいして、
みらいのぼくは
おいしゃさんに、 かんごしさんに
「ばいばい」って いえるように
な れば
い い
な
これは後日談だが、
この世界で、本人を含め
誰1人もあの手紙を読むことはなかった。
だが、この少年の理想は叶ったものも多かった。
別れを告げられたのだ、医者に、看護師に。
そうして、自らの体にあるハンデにもう
悩まされることも、なくなったのだ。
そう、なくなったのだ。
あの少年は亡くなった。
あの手紙を書いたわずか3日後に
彼の心臓は動くことを諦めた。
よかったと思う。
あの弱く脆い少年が、もう
痛みに悩まされることは無くなったのだから。
私の心残りは一つだけ。
彼はよく私にしあわせを語ってくれていた。
しあわせになりたい、と
でも一つだけ違和感があった
「幸せ」ではなく「死」と隣「合わせ」のような
どこか違和感の覚える音調だった。
もう送ってしまおう、彼に
あの手紙は燃やした。
頼まれたのだ、彼に。
「僕が死んだら、この手紙を燃やしてね。
そうしたら僕がしあわせになったときにも
読めるから」と。
あの時は全くわからなかったことが、
今わかった
その瞬間、鮮明に脳裏に焼きついた記憶がいくつも蘇ってきた。
あぁ、わかったよ。君が言いたかったことが。
みんなに
しあわせの呪いをかけたんだね。
最後に伝えたい、
彼は病に負けていない。
だって彼は病死していないのだから。
生命線を引きちぎって、
自害したのだ。
彼の意志が
彼を、
殺した
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!