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主人公詳細
名前 : 白石 葵
年齢 : 17 ( 高3 )
性別 : ♀
高校 : 音駒高校
本作の御相手
音駒高校より黒尾鉄朗様
本編
冬の体育館はとにかく寒い。
一応練習前はストーブをつけているが、それでも温まる訳もなく冷たい空間は変わらない。
体育館の中では部員たちの声。
ボールの跳ねる音が鳴り響いている。
きっと体を動かしていれば寒くないだろう。
1人で色々考えていると
『 休憩〜、しっかり水分取れよ〜 』
なんて、キャプテンがみんなに伝えた。
その声にハッとして部員達にドリンクとタオルを渡しに行く。
「 お疲れ 」
タオルを差し出すと彼は
『 ぉ、サンキュ 』
と付け足してニコッと微笑みながら受け取った。
私は軽く会釈するとその場を去ろうとした。
『 葵ちゃん、ちょっと待って 』
彼に呼び止められ、理由も分からず振り向いた。
「 どうかした? 」
不思議そうにそう遠かける。
そっと近づいて私に自身のジャージをかけてくれた彼は
『 寒いだろ?これ着とけ 』
なんて優しい笑顔を向けながらそう述べた。
突然の出来事にキョトンとしてしまう。
「 ぇ、ありがとう… 」
とりあえず、礼を言った。
『 よし、お前ら練習続けんぞ〜 』
ボトルとタオルを置くと同時に彼は呼びかけながらコートに入っていく。
彼のかけてくれたジャージにはまだ温もりが残っている。
肩から落ちて汚してしまう訳にもいかない。
袖を通して部誌を書き始めた。
その間、彼の温もりとジャージからする香りであまり集中なできない。
あの人はきっと私のことなどただのマネージャーとしか見てないだろう。
それ以上でも、それ以下でもない。
でも…今は私だけの特権だ。
満喫してしまってもいいだろう。
少し浮かれた気持ちで部活を続ければ時間が過ぎていく。
『 お疲れ様でした〜 』
全員で挨拶をするとそれぞれ片付けを始める。
彼の体が冷える前にジャージを返さないといけないな。
そんなことを考えると彼に駆け寄った。
「 黒尾、ジャージありがと。助かった 」
彼の前にジャージを差し出すと受け取りながら
『 おぉ、どういたしまして。いつもありがとうな 』
いつもの笑みで言う。
「 いいえ。黒尾もお疲れ様 」
世間話を済ませるとその場をあとにした。
彼の温もりと香りが少し名残惜しい。
そんなこと本人に言えるわけもない。
これは私だけの秘密だ。