青い空!
白い雲!
そして、燦々と煌めく太陽!
インターハイを終えた島田、西原、大倉さんの3人は、海に来ていた。
目的は、小鳥遊の親戚が経営する海の家でのバイトである。
外から中が見える、オープンな作りの一戸建て。
海の家の扉には「close」と書かれたプレートが垂れ下がっている。
海の家には厨房以外に人影はおらず、厨房に居るのは島田、西原、大倉さん、小鳥遊、後は小鳥遊のクラスメイトが数人ほど。
そしてもう一人、小鳥遊の叔母にあたる、ひまわり柄のワンピース水着を着た30~40代くらいの女性が、腕を組みながらガハハと笑い声をあげている。
「アンタらがまー坊のツレかい?」
小鳥遊の叔母が豪快に笑いながら、値踏みするように島田たちを見る。
その様子に、まー坊と呼ばれた小鳥遊雅人が顔を赤らめ、小鳥遊の叔母に抗議の声を上げる。
「ちょっと、その呼び方辞めてください。あとせっかく来てくれたのに失礼です」
「おーおー。昔はおばちゃんおばちゃんって言って後をついて来てたまー坊が、言うようになったねぇ」
小鳥遊に苦言を呈されたのが嬉しいのか、小鳥遊の叔母は笑みを浮かべながら、小鳥遊の頭を雑にポンポンと叩き、またガハハと笑う。
あの堅物委員長の小鳥遊が、まるで子供のようにあやされているのを見て、目を丸めるクラスメイトたち。
普段の小鳥遊は、何を言われても冷静に返し、場合によっては皮肉すら混ぜてくる。
誰もが思う。こんな小鳥遊、見たことがない。
「あっ……へへっ。皆どうしたんですか?」
いや、見た事があった。何度も。
なぜ自分が注目を浴びたのか分からず、少しだけ気持ち悪い笑みを浮かべ挙動不審気味に目をキョロつかせる大倉さん。
そんなカオスなムードを切り替えるように、小鳥遊の叔母が手を鳴らす。
「さてと、1時間後には店を開けるから、それまでに仕事の確認をするよ」
それぞれ調理、給仕、会計と役割を振られ、仕事の説明を受ける。
「ウェイターは俺だけか」
給仕の役割を振られた島田。
最初は調理を命じられたが、料理が出来ないという事で給仕へチェンジさせられていた。
貞操観念が逆転した世界なので、海に来ている女性の目的はほぼナンパである。
なので、給仕や会計を男性がやった方がウケは良い。
だが、男性ばかりにすると、しつこいナンパ客や不要なトラブルに巻き込まれやすい。
その対策として、小鳥遊の叔母は給仕は出来るだけ女性にしていた。
しかし、島田の調理の腕が、あまりに壊滅的過ぎたために仕方なく給仕に回される事になったのだ。
とはいえ、一抹の不安も残る。なので、島田がもしもの時に頼れるようにと、出来る限り仲の良い人間を小鳥遊から教えてもらい、給仕に選んでいた。そう、西原と大倉さんである。
「それじゃあ、早速着替えて準備するよ。分かってると思うけど、男の着替えを覗くんじゃないよ」
ウェイターの島田と、ウェイトレスの大倉さん。
この二人に給仕をさせて大丈夫だろうかと不安を抱える小鳥遊だが、もちろんその不安は的中する事になる。






