「………今日は手加減しないから , そのつもりでいてね 。 」
ヒョウタさんにカフェでそんな事を言われたから、ものすごく緊張してしまっている。
実は一緒にカフェに来たのは今日が初めてでは無い。
しかし、前回はお酒に酔った私が一人で勝手に服を脱ぎ、すやすやと先に寝てしまったらしいので本当にそういう関係になるのは今夜が初めてなのだ。
ヒョウタさんは初めてジムに行った時の一番最初にバトルをした人で、(ジムリーダーの中で)偶に遊びに行くくらいで、ずっと兄妹みたいな関係で過ごしてきた。
その関係が少しずつ変わってきたのは最近のこと。一緒にカフェや炭鉱に行く機会が増え、気付いた時にはすっかりヒョウタさんに他の人とは違う感情を持ってしまった。
ヒョウタさんがいつの間にか予約していたホテルの部屋は、セミスイートルームで思ったより広かった。
ソファに座ってテレビをつけてみるけれど、ヒョウタさんが近くでシャワーを浴びていることが気になってニュース番組の内容は全く頭に入ってこない。
ちょっと水でも飲もうとおいしい水を取りに冷蔵庫を開けた時、ヒョウタさんがバスルームから出てきた。思ったより早い。ちょっとまだ私の心の準備はできていません……!!
内心気持ちが騒がしすぎる私とは違い、ヒョウタさんは至って落ち着いている
「 先にごめんね , ○○ちゃんも入りたいよね 。 」
「……… あ 、 はい」
……思わず敬語になってしまった。
だって!!
だってぇ……
バスルームから出てきたヒョウタさんは、真っ白なバスローブを身に包んでいた。
作業服ではなくものものすごく無防備な彼は、体格の良さを一際強調しているように見える。今夜私はヒョウタさんに抱かれるのだ、そう思うとたまらなく全身が熱くなる。
「どうかした ? 」
「えっ , いや , 何でも !!
私も シャワー浴びてきます 。」
早くなる鼓動を隠すように、私はいそいそとシャワーを浴びにバスルームのドアを開いた。すると一瞬、背中にいつもより熱い目線を感じた。
振り返って目が合ってしまえば、シャワーを浴びる所じゃなくなりそうなので振り向かなかった。
シャワーを浴びてバスルームから出ると、ヒョウタさんはソファに座ってお酒を飲んでいた。
すっっっごい絵になる。組まれた足、少しはだけたバスローブから見える腹筋は微かに艶かしい。
ヒョウタさんは立ち尽くした私にチラリと目線をやった。
普段はメガネとヘルメットに隠された目が合うだけで、また緊張して体が固くなる。
お酒が少し残ったコップをテーブルに置いて、ヒョウタさんはこちらへゆっと歩いてくる。
こんな所でドキドキしすぎて、これからどうなってしまうのだろう。思わずぎゅっと自分のバスローブを握りしめると、目の前に来たヒョウタさんが私をそっと抱き寄せた。
「そんなに緊張しなくていいのに ,笑」
「だって 、 ヒョウタさんかっこよすぎて 私なんかで良いのかなって …… 。」
「なんかじゃないよ , ○○ちゃんがいいの 」
「…… っっっっ」
優しい声が耳に届くと直ぐに唇が重なった。
お互いを確かめるような短いキスは次第に熱を帯び、探るように深く深くなる。
ヒョウタさんの大きな手が私の後頭部に当てられ、割り入れられた熱い舌が絡んでいく。
ヒョウタさんがさっきまで飲んでたお酒と、私が緊張して長めに磨いてしまった歯磨き粉のミント味が混ざり合う。
ああ、私達今キスしてるんだと強く感じてしまう。
ヒョウタさん、キス上手いなぁ……
キスしてるだけで気持ち良くて、お腹の奥が切なく疼く。
酸素を求めてお互いが唇を離した瞬間、至近距離でふと目が合う。いつも冷静な瞳は見た事がないくらい、情熱的な光を宿していた。
一呼吸置いて、直ぐに私の体が宙に浮く。
ヒョウタさんに抱き上げられたのだと気付いた時には、押し倒されていた。
またいつか続きを描きますね。
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