何かおかしい。
家のベットからいきなりこの街にたどり着くなんて…
「……」
「……じゃあ、君さ、別世界から来たんじゃない?」
「べ、別…世界…」
「そう。この前、本で読んだんだ。」
「……」
さらに何か聞こうとすると、ホシノが眠そうに欠伸を漏らした。
「あ、ごめんね。もう、寝ようか」
「……」
静かに頷いた。
「おやすみ、ホシノ」
「……」
なにも言わず、会釈を返された。
……別世界…か。
どんな所なんだろうな。
きっとあの本みたいに…未来都市!って感じの…
銀色の金属でできた大きな建物に…発達した機械…
でも、もし…そうだとしたら…ホシノは元の場所に帰りたいのかな…
元の世界に……
⭐︎
隣から、すうすうと可愛い寝息が聞こえてくる。
現24歳の女がこんな…こんな…歳の離れた男の子の隣で寝てもいいのだろうか…
彼は…こんな大人の隣で寝ても気にしないのか?
なんだか対応も…同い年またはそれ以下の…年端のいかぬ幼女に対する対応のようだった。
何回か頭撫でられたりしたし…
まさか…
嫌な予感がして、部屋の隅にある鏡の前に立つ。
そのまさかだ。
私の姿はとても24とは思えない程の幼女へと変わっていた。
見た感じ10歳あたりだろうか…
その姿を見て絶句した。
どうりで対応がおかしい訳だ。家具の大きさの、違和感にも納得がいった。
彼に…リボルトに手を引かれる時点で気づくべきだったかもしれない。
いらない、こんな異世界転生特典いらない…
一体…どうやって元の場所に帰ればいいんだ…
異世界転生のお決まりは…魔王かなんかを倒して…だけど…そんな治安の悪い所には見えなかった。
酔っ払った海賊達の宴…みたいな。そんな雰囲気だった。
くるくると回って踊りたくなる…そんな陽気な世界。
「ふあぁ……」
流石につかれたんだろうな…私は。
この幼い体には中々の重労働だったらしい、酒場の手伝いというのは…
鏡に映る私の瞳は眠そうにゆれていた。
「鏡よ…鏡……」
世界でいちばん哀れなのは……だぁれ……
なんて。
早く寝ないとね。
ベットに入ると、意外にもストンと眠りに落ちてしまった。