テラーノベル
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ナニヲナニヲの歌詞パロとなっています。
何日間もかけて少しずつ書いたので書き方が違かったりするかもしれませんがご了承ください。。
展開のバランスとか変だったりもするかも。最後の方とか特に。
まぁフィクションなんで、割り切ってほしいです。
一話完結。長いです。それでも見てくれる方だけ見て!
ちなみに結構どろどろ。共依存。ですね。
若井・・・人気モデル。
元貴・・・若井のファン。
※少しですが嘔吐表現、センシティブ表現あり
※解釈違いがあるかもしれません。
※ご本人たちに関係はありません
昔から人の愛や好意などに鈍感だった。
人を好きになることなんて勿論、誰かが好意を抱いていることにさえ気づけない。
だけど一回だけ付き合ったことがある。中学の頃だったか、
告白されたのだ。放課後、校舎裏で。ありふれたシチュエーションで。
断る理由もない。それにこれを機に愛というものを知れるなら好都合だった。
彼女は僕が愛に鈍いことを知っていた。
受け入れてくれるかもと淡い期待を抱いた。
ただ、ダメだった。手を繋ぐくらいならまだ良かったが、それ以上の口付けなどはできなかった。
あと、好意を言葉にすることも。
私のことすき?など聞かれても答えられない。
面倒くさかった。彼女も飽き飽きしていただろう。
自分から別れを切り出した。待ってると言われたような気がしたがさっさとその場を去った。
そんな感じで20何年間と時を過ごしてきた。
だけどそんな僕にも転機というものが。
「若井滉斗」芸能人だ。
一眼見たとき、イケメンだと思った。
そこから日に日に目につくようになったが、別に応援したり、好きという気持ちは芽生えなかった。
だけど .. ふと見たスマホの画面に飛び込んできた若井。きらきらした笑顔を見せる若井が指を銃のような形にして向けてきた。
それを見た瞬間, 体 に電撃が走ったように僕の心は射抜かれた。
これが一目惚れだというやつだってことは本能として理解した。
気がつけば若井は僕の中で推し.という存在へとなっていた。
初めて好きだと好意を抱けた存在。
深くのめり込んだ。
世界がモノクロのように、愚かに思える日々もこの人が、若井が息をしている。存在していると思うだけで生きていくには十分だったが
毎日のようにインスタを眺めては
「かっこいい、すき」
と零すたび
どれだけ大好きだって言ったって届かない。届きやしないのだ。
と、その事実に心臓を握りつぶされる。
欲望深いものだ。人間は。僕も。
目の前の欲求に目が眩み、僕は愚かなことをした。
若井似の人を探して一夜を共にしてもらおうと計画を立てた。
それは意外にも早く見つかり、僕は醜い欲求を満たすため外へと飛び出した。
・・・
会ってみると少し驚いた。完全ではないが随分と似ている。まぁ、そういう人を選んだのだが。
早速ということでベッドへと座る。
その人が僕に触れようとする。
優しく掛けてくれる声も、若井そっくり。
骨格が似れば声も似るっていうよな。
目を瞑って身を任せようとしたが、眼を開けた瞬間我へと帰る。
若井じゃない。なんと当たり前のことだろう。
だけどできなかった。どうしても。
自己中心的ながらも中断し、その人には謝って解散となった。
その後。家に帰ろうと荷物を持つ。
暗い外へ出ると冷たい風が頬を刺す。
ここにいたら僕はボロボロになるだろう。
急いで家に帰り、暗い外を見ないようにカーテンを閉め切った部屋で布団に身を潜める
なんてことをしたんだ。相手にも迷惑をかけた。
自己嫌悪に苦しんだ。
若井と似てる人ならできると思ったのに。この空白という名の寂しさをどうしても埋めたかったのに。
誰を思っていたいのか。なんてはてなが頭の中に飛び交う。
答えが周りから聞こえてくるのを待っていても何も聞こえやしない。
自分の中で何を生かしていたいの?
何を殺してみたいの?
頭を抱える。でも、
所詮どんな奴でもやがて死にゆく。
こんな僕でも。若井も。
なら後悔のないように生きたい。と思ってみたりもする。
あぁ、そういやイベントやるんだっけ。
若井がそこにいるんだ。
ふとそんなことを思い出し応募してから眠りに入った。
「当選」この文字がスマホから見えた。
あぁ、そういえば前応募したんだった。
写真集イベントか。てことは話せる?
Xをみると当選した人たちのツイートが目に入る。
「当たった!若井くんに会えるとか無理!震える!!」
「え、当たった。泣いてる。若井くんほんとに神様……!」
「若井さんってやっぱすごいな〜✨愛されてる〜!」
画面の中の喜びはとてもキラキラしていた。
スマホを置くと、やけに自分の手が冷たく感じた。
イベント当日。前日から胸はバクンバクンと音を立てる。
「ここに若井がいる … ? 」
早く着きすぎた会場をみてはその言葉に興奮をさらに駆り立てられる。
そこら辺のカフェで時間を潰してからついに会場へと足を踏み入れる。
番号は1026ほど遠い数字だが、イベントの日程10月26日と被っておりなにか運命のようなものを感じた。
・・・・
自分の順番が近いことを感じる。
奥の方では女子の甲高い声がうっすら聞こえた。
今、話してるのかな。握手したりしてるのかな。
みんな一人一人特別な気持ちがあるだろう。
でもふと考えてしまった。
またこれも同じようだ。
それもまた同じようだ
と。
若井からしてみればそのどれもがファンの一人して.見られるこの光景に嫌気がさす。
きっと、今、誰の記憶にも残るような太陽よりも眩しい笑顔を見せているだろう。
そう思うと胸の奥が抉られるような痛みを感じた。微かに目の前がくらむ。
さっきの興奮もなにかに押しつぶされる。
耐えられなくなり列をぬけトイレへと駆け込む。
あぁ、きっとあと何人かで順番がくるだったのに。
「うぇ”、.. 」
全てを吐き出したかった。
握りしめた番号札はぐちゃぐちゃに。
もう元の形には戻らない。
そこら辺の塀の上に座りながらそう零す。
「馬鹿なことをした、 .. 笑」
自分の愚かさに失笑を贈る。
もう辺りは暗い。このまま壊されたかった。
思考の渦に呑まれる。
「何を誇っていたいの?」
今の自分にも、若井にも何も感じやしない。
意味はないが、心底失望した。
「誰と寄り添っていたいのか」
「誰を遠ざけていたいのか」
もう分からない、訳が分からない
好きってなんだろう。愛ってなんだろう。
振り出しに戻ってしまった。
答えは見つからないままだ。
もういっそのこと灰になろうか。
「あの、すみません、」
声を掛けられた。突然のことで驚き顔を後ろに向けた。
「今日、来てくれてましたよね .. ?」
そう言葉を発しているのは僕が好きな
「若井 .. .?!!」
若井がいた。声を掛けてきた。
僕に気づいていた。
頭がショートする。
意味がわからない。
そんなことを思っていると若井が隣に座る。
「途中で居なくなってしまったので」
「心配で .. 笑」
「なんで .. 」
声を出すと共に涙まで溢れてきてしまった。
「ぁ、 . ごめんなさい .. 泣」
「..!だいじょうぶ ..?」
顔は見れないが驚いているだろう。
それでも大丈夫と声を掛けてくるなんて若井はほんとにお人好しだな。
「 .. 俺の家近いので , よければ .」
「へぇぁ.?!」
なんということ。夢か、天国か。
流れてつい家にへと来てしまった。
「なんもないけど .. 」
と言いながら冷蔵庫を漁る若井がいる。
「落ち着いた ,? 」
その言葉でようやく状況を理解する。
「え、ッあの帰ります」
「いいよ , いても」
何故 ..?こればかりは理解に及ばない
「だめです ..こんな ,」
「これ君でしょ .. 」
スマホに映るアカウントを見せてくる
これ、.. 僕の .?
「ぇあなんで、..」
恥ずかしい。どうせ誰にも見られることはないからと自画像まで載せているのに、..
でもそれよりも認知だと ..?!
「俺のことすき .. なんでしょ ?」
最初から僕に気づいて声をかけて来たってことか、?…
策士だなっ、笑
「もちろん好きです , 大好きですッ..!」
何故か言葉がすらすらと。しかもこんな言葉、
「俺も好き .. だからね ?」
「ぇ、.. ?」
「付き合おっか、元貴くん」
この人は本当に僕を狂わせる。
「俺のことすきなんでしょ .. ?」
唾を飲み込む。
「でも .. あの、ファンですし ..」
そう。 僕は恋愛感情に踏み込んでいるいわゆるガチ恋勢なのだが ,
所詮これはファンとその推しの空間でしかないのだ。
「.. ファンとか関係なくない ? 」
「君は俺が好きで、俺も君が好き. 」
この事実だけで十分だ。と言葉を補足する。
このまま告白をokすれば若井と付き合える。
何度夢見たことだろうか。
全く意味のわからない若井理論に納得してしまった自分はきっと、この空間に、若井に解かされたせいだ。
「なんで、僕なんか .. 」
「俺は元貴がすきだよ、」
これが嘘でも、もうこの人には逆らえない。
「じゃあ .. よろしくお願いします .」
「うん . よろしくね元貴くん 」
僕はファンという立ち位置を捨て、自分の欲求を優先した。
side若井
愛されたい。どの人にもあるような普通の感情。
でも俺は人一倍にその感情が強かった。
考えられる要因は、親からの愛情がなかったことだろうな。
親がいない夜はテレビをつけて孤独を紛らわす。
ふとテレビに映った キラキラ輝くアイドル。そのアイドルの一挙一動に反応して声を上げるファン。全てが幸せな空間だと感じた。
それで、俺もそういうステージに立ちたいと強く願った。
そこからの夢はアイドル。
学校での将来の夢を書く欄にはいつも「アイドル」と書いていたし馬鹿にされても一切気にならなかった。
でも、なれなかった。才能がなかった。
ダンス教室はもちろん、ボイトレにも通えない。
親がいない日を狙って家で練習したがその実力は全然伸びなかった。
俺の夢はあっさりと消し去った。
でも、顔だけは良かったから。
アイドルオーディションにいた人にスカウトされた。
顔だけじゃなく歌唱力もダンス力も求められるアイドルとは違い、その美貌とスタイルさえあれば成れるモデルとなった。
本来の目的とは違えど、ファンがつくことには変わりない。
そう言い聞かせて頑張って来た。
でも思っていたのと世界は違ってた。
見たくなくても、ファンの声は届いてくる。
ありがたい言葉はもちろん、傷つくような言葉を投げかけてくる人もいる。
でもみんな同じようなことを連ねて伝えようとしてくる。
「若井くんは世界一!」
「いつも元気もらってます!」
「ずっと応援してます!」
あの日テレビで見たアイドルとファンのような。熱狂的な愛を投げつけてはこない。
テンプレートのような愛の言葉。
そんなものが愛と言えるのか。定義は様々だ
飽き飽きする。こんな言葉を見せられたって伝わらないよ
ある日、一人のツイートを見た。
全て同じように感じていた俺が釘付けになった。
書かれた文章は皆と変わらないようでどこか違う。
俺の核心をついてくるようなツイート。
俺のことを見透かしたような言動。
「この人俺のことめっちゃ好きじゃん .. ♡」
あの日夢見たファン。それがここにいた。
他のツイートを遡るとその主であろう人物の写真も載せられていた。
男なんだ。確かに名前を見ればすぐにわかることだった。
「てか本名とか危ないなぁ~ . 」
そんなことを口から溢しながらその人、大森くんのツイートを眺めて休憩が終わった。
そこからは捨て垢でファンを装いフォローした。
俺が出す全ての情報に反応してくれる。
他の女子のようなキラキラした文面ではない。
一見本当に嬉しいのか好きなのかわからないような文だが俺にはよく分かる。
何故だかわからない ..
ただ、惹かれるものがそこにはあった。
写真集イベントの時。あの人がいないかなと少し期待をした。
1000番が来てもあの人のような姿が見えない
キャピキャピした女の子の甲高い声。期待に応えながらその笑顔の裏ではあの人のことでいっぱいだった。
1024くらいだろうか、そのくらいまで番号が進みそろそろ疲れて来た頃。
ずっと待ち望んでいた人が現れた。
あまりの興奮を悟られないよう、気をつけながら様子を伺う。
仕切りの少し後ろの方、俯き気味で立っている。
少し具合が悪そうに見えたのは気のせいではなかった。
突然列を抜けては小走りで何処かへいってしまったのだ。
ずっと待っていたのにこんな形で会えないのは不憫すぎる。
後で探してみよう。今目の前にいるファンの前でそう決意した。
やっとイベントが終わった。大群のような女たちをを潜り抜けてなんとかとか終わらせることができた。
もう帰ったかな …
そんな考えが頭をよぎる。
「いや .. 帰ってるだろうな ..笑」
自分で問答をする。
だって、あの人が抜けてからまだまだ人はいたしこんだけ時間が経ってればいなくても当然だ。
でも少し、期待を抱いて外に探しに行ってみよう。
・・・・
手っ取り早く、会場の周りを見て回ることにした。
会場の前にも裏の方に人はいなかった。
残すは海岸のみ。足を動かしていると
塀の上に座った人影。
あの人だと理解した。まだ会場の近くにいた。
急いで駆け寄り声をかけると
「若井 ..!??」
と驚いたこの人は元貴くんに違いない。
イベント来てましたよねなど完全認知をしているかのような言葉を一斉に投げかける。
ふと顔を向けると涙を流していた。
何かしてしまったかと驚き焦ったが、泣いて頭が混乱しているこの機会を逃すまいとなんとか丸め込んで家へ誘導することに成功した。
部屋に入るとドアの前で立ちすくんでいる。
俺の言葉で目が覚めたのか途端に「帰ります」といってくる。
いてもいいといったのだが引き下がらないので結局アカウントのことを言うことにした。
「これ君でしょ , 」
と言うと一気に顔が強張る。
だが、少しして俺の思惑に気付いたのか少し口角が上がる。
好き、大好きだ , と言われた時はとても嬉しかった。
勢いで告白した。
大好きな俺に告白されているのにまだ「ファン」という地位にこだわる元貴に少しイライラしたが
「俺も好きだ。」
としっかり伝えるとそのまま告白をokしてくれた。
待ち望んでいた元貴。大好きな元貴。
そんな元貴からの愛情も今から全部俺のもの。
side元貴
未だ、あの出来事は夢だったんじゃないか,
と思う。
ただ、そんなことを思うたび隣で欠伸をしている若井を見るとそんな考えは打ち砕かれる。
「おはよう.. 」
「今日も朝から仕事でしょ.」
「うん、.」
「元貴と離れたくないなー , 」
そういって抱きついてくる若井を
「何いってんの、笑」と笑い飛ばす
「ほらっ、準備して.遅れるよ」
・・・・・
「じゃあ行ってきます , 」
ここからの若井は完全に仕事モード。
ファン時代に見ていた若井なので少しの発言や行動にもついドキッとしてしまう。
「忘れ物 ..」
そういうのでなんか忘れた?というと突然腕を掴まれる。
そう思えば口付けを
「んッ..///」
「行って来ますのちゅーを忘れた 」
「もう .. 早くいけッ!!」
そういって背中を押す。名残惜しそうに仕事へと向かう若井。
「心臓がもたないよぉ~ ..,」
玄関の前でへたりこむ。
ずっと応援していた若井にキスなんて僕はなんて幸せなのだろう。
呑気にそう思った。
あんなことがあるとは知らずに。__
週刊誌に撮られた。
あれから少し月日が経った頃、突然若井に告げられる。
「えッ …. !?」
「ほんとッ , ?」
そう聞くと頷く若井。
一気に身体中から水分が出てきた。
熱愛報道の怖さは知っていたから。
「前、外出した時に撮られたっぽい」
「そんなっ , 」
僕のせいだ。僕が若井と付き合ったから。
せっかく波に乗っていたところなのに、
急いでスマホを取り出しネットを見る
「結局恋人かよ、応援して損した」
「夢見せてくれてたのに、幻滅」
「前から匂わせっぽかったもんね。そりゃね」
「なんかショック。こっちはお金も時間もかけてたのに」
「最近やたらキラキラしてたのって、そういうことね(笑)」
「裏切り者。もう応援できない」
「あーあ、バレちゃったか。プロ意識なさすぎ」
「もっと売れてからにすればいいのに。中途半端な立場で恋愛って(笑)」
「ファンの気持ちなんか考えてないんだろうな」
「もうファン辞めます」
「若井、.. 」
すごく苦しい。吐きそうになる。泣きそうになる。
でも今泣くべきなのは僕ではなく若井。
手を取るとどうしようもなく冷たかった。
「元貴 ,,俺どうしたらいい .?」
そんな若井を慰めることもできなくて、僕たちにはぽっかりと穴が空いてしまったようだった。
・・・・・・
僕が芸能人ならばもっと炎上しただろうか。それともここまでじゃなかったのだろうか。
考えても意味のないこと。
ネットを見れば、一般人だから〜, と暴言が連なっている。
若井は日に日にやつれている。比例するように僕も。
こんなとき、僕が一番そばにいて寄り添ってあげなきゃなのに。できない自分に腹が立つ。
でも外出もままならない。ネットを見れば暴言の嵐。そんなんでストレスは溜まるばかり。
でも若井はもっと大変だ。
そんなことを考えていると声が掛かった。
「元貴 ..?」
「若井 .. っ」
若井の顔を見ると涙が出そうになった。
そんな僕を察したのか辛い中でも若井は大丈夫 , 元貴は悪くない
と優しい言葉をかけてくれる。
「ごめッ僕が .. 泣くべきは僕じゃないのにッ」
「.俺元貴に嫌な思いさせてるね ,. 」
なんでそんなに悲しそうな顔で言うの。
そんなことないよ , と声が出ない。
その代わりに違う言葉が。
「若井っ .. キスしてッ .. ?」
今言ったって意味なんてないのに。
若井は従うように僕と唇を合わせる。
その後、少しの間抱きしめあい、落ち着いた頃、空は蒼く、青く澄んでいた。
そんな青に誘われるようにベランダへと足を踏み込んだ。
ベランダの柵に肘をかける。若井も横に続いて。
風に吹かれていると、ふとこんな考えがよぎる。
もういっそのこと。叶わない恋ならば
「共に灰になろう , …」
「 …. 」
こんなことが口から溢れてしまった。
でも若井は何も言わない。
なんで ,
笑っておくれよ
「冗談だよ , 」
「… 俺からも冗談 , 」
「他の人が良ければ別にそれでもいい。」
・・・
意味を理解したとき血の気が引いた。
僕たちは、一等星を、二人で掴んだ奇跡だと思っていたのに。
「僕には .. 若井しかいないよ ,」
「若井以外なんてあり得ない。」
自分の過去の過ちが根拠となるように釘を刺した。
「結局俺は芸能人だし、元貴に迷惑をかけるだけだよ , ..」
「元々俺が無理に言って付き合ってもらったし.. 」
そう言葉を連ねていく若井にとても悲しくなった。
「もう .. 俺たち ,」
「やめて ッ ,!!」
若井の腕を掴み、若井が言おうとしていることを阻止する。
「嫌だいやだっ若井は僕が好きなんじゃないのッ泣」
「僕は若井がいなきゃ生きていけない、ッ」
「別れるなんて許さないからッ , ..」
その後炎上も未だ落ち着かず、若井は芸能界を『やめる』
と言う決断をとった。
若井の長年の夢だったし、僕のせいでそれが諦めることになるなんて絶対に嫌だったが、やめる。そう語る若井の眼は何かを捨て切ったような、吹っ切れたような眼だった。
「元貴と離れたくない , 」と。
それを言われた僕の口からは止める言葉は出なかった。
「……. わかった , 」
それが終わりの始まりだった。
・・・・・・・
若井は夢を手放し僕と同じ一般人となった。
炎上も辞めてからは収まり普通に生活できるくらいにはなった。
芸能界という仕事がなくなった若井とは
一緒にいる時間が増えた。
社会からはモデルの若井は消え去り、僕たちは隔絶されたよう。
【依存。寄り添った愛に破滅の唄】
寄り添ってしまったら , 依存してしまったら破滅が待っていたことくらいわかっていたのに、分かった気になってた。
どこで間違ったのか。いや、最初から若井と出会ったあの瞬間から全てが間違いだったのかもしれない。
でも僕にとっては幸せで、すべてが喜ばしいことでした。
それが僕たちでした。
若井の頭には常に僕がいることを祈っています。
例え、それが破滅だとしても。
【昨日よりも今日と願う祈りの唄】
昨日よりも今日と。若井の中で僕の存在が大きくなればいいです。
破滅を祈りで繋いで、崩れかけた愛に縋るように。僕たちは今日もただ隣にいた。
それが全てだった。すべてでありたい。
願う祈りの唄。
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