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【笑うあの子の裏事情】
Episode.5 いつも通り、元気。
《🎼🍍side》
らんが保健室を出ていった。
🎼🌸「すぐ戻る」
そう言い残して。
扉が閉まると、
空気が一段、静かになる。
ベッドに腰掛けたこさめは、足をぶらぶらさせながら、
何も変わらない顔で笑っていた。
🎼☔️「ねー、なつくん」
🎼🍍「ん?」
🎼☔️「らんくん、今日ちょっと忙しそうじゃなかった?」
🎼🍍「そうかもな」
🎼☔️「やっぱり!」
無邪気な声。
保健室に、よく似合う明るさ。
──本当に、変わらない。
🎼🍍「今日も」
俺は視線を逸らさずに言った。
🎼🍍「怪我、増えてる」
🎼☔️「気のせい気のせい!」
即答だった。
🎼☔️「こさめ、運動神経いいから!」
冗談みたいに笑う。
🎼☔️「転ぶときも派手なだけ!」
……それで済むなら、どれだけ楽だ。
🎼🍍「どこで転ぶんだ?」
🎼☔️「いろんなとこ!」
🎼🍍「……答えになってない」
🎼☔️「答えだよー!」
くすくす笑う。
逃げている、とは思わない。
ただ、入ってこさせないだけだ。
🎼☔️「なつくん」
🎼🍍「どうした?」
🎼☔️「先生って、生徒の家のこと」
🎼☔️「どこまで聞いていいの?」
軽い声。
質問自体も、雑談みたいだ。
🎼🍍「……必要があると思えば、聞く」
🎼☔️「へー」
感心したように頷く。
🎼☔️「らんくんは聞かないよ?」
🎼🍍「聞かないんじゃない」
🎼☔️「聞けない?」
🎼🍍「……そうだな」
🎼☔️「やっぱり!」
笑う。
無邪気に、いつも通りに。
🎼🍍「家で」
俺は、間を置いてから言った。
🎼🍍「困ってることはないのか」
🎼☔️「困る?」
首を傾げる。
🎼☔️「困るってなに?」
その傷の量。
─────虐待。
喉まで出かかった言葉を、飲み込む。
🎼☔️「いっぱいあるよ!」
代わりに返ってきたのは、明るい声だった。
🎼☔️「でもさ、全部、よくあるやつ!」
🎼☔️「特別じゃないなら、言わなくてもいいかなーって!」
──ああ、そうか。
これは、拒否じゃない。
処理の仕方だ。
🎼☔️「期待されないのって」
こさめは、あっけらかんと言った。
🎼☔️「すっごく楽!」
🎼🍍「……楽か」
🎼☔️「うん!」
🎼☔️「できなくても、怒られないし!」
🎼☔️「できなくても、がっかりされない!」
🎼☔️「最高!」
指先に、力が入る。
🎼🍍「透明は」
低く、言った。
🎼🍍「守られない」
🎼☔️「えー?」
こさめは笑った。
🎼☔️「でも、殴られもしないでしょ?」
🎼☔️「誰かに、何かされてるわけじゃないよ?」
……そうだ。
殴られてはいない。
傷つけられていない、という“形”だけは。
🎼☔️「ちゃんとできないだけ!」
🎼☔️「それだけ!」
その言い方が、
一番、胸に刺さった。
🎼🍍「教師はな」
🎼☔️「うん!」
🎼🍍「全部は、助けられない」
🎼☔️「知ってる!」
即答だった。
迷いも、間もない。
🎼☔️「だからさ」
こさめは、保健室をぐるっと見渡す。
🎼☔️「ここ、好き!」
🎼☔️「ちゃんと見てくれるし、たくさんお話聞いてくれる!」
🎼☔️「ちょうどいいんだよ!」
——ちょうどいい、か。
俺は、そっと手を伸ばして、
こさめの頭に触れた。
一瞬だけ。
🎼☔️「えー?!なにそれ!」
笑う。
🎼☔️「先生、優しすぎ!」
🎼🍍「……職務だ」
🎼☔️「絶対ちがう!」
声を立てて笑う、そのタイミングで、
廊下から足音がした。
🎼☔️「あ、らんくん!」
🎼🍍「分かるのか」
🎼☔️「分かるよー!」
🎼☔️「足音が、すっごい優しい!」
扉が開く。
🎼🌸「待たせた?」
🎼☔️「ぜんぜん!」
即答。
🎼☔️「ね、なつくん」
振り返って、言う。
🎼☔️「また明日も来るね!」
🎼🍍「……わかった。」
当たり前みたいに。
最後まで、同じ笑顔。
同じ声。
同じ温度。
──だからこそ。
その笑顔を
“元気だ”と信じるのは、簡単だった。
でも、
教師である俺は、
それを理由に、何もしないわけにはいかない。
笑顔の裏を疑う資格があるのは、
多分、
大人だけだから。
next.♡500
コメント
15件
☔️くんのことしっっっかり考えて、どうにかしたくても出来ない🍍くんの気持ちが書かれてて凄く揺らいだ… ☔️くんはきっと、感情が薄れてるんだね、本当の透明のように、 「殴られたりしない」「期待されなくて楽」その言葉が☔️くんの過去に繋がってるのかな、 見るの遅れてごめんね〜‼︎ 大忙の中本当にありがとう!
こさめちゃんって、…ほぼ毎日怪我が増えてるのかなぁ… めっちゃ心配…
☔くんの裏では何があるのかな...😭😭 🌸くんも☔くんがいまが楽って言ってるから何も言えないんだよね... 続き楽しみ💕︎︎