主です!
九話?だっけなその時の選択肢二つあったじゃないですか、それで出口を選んだ場合の展開かきてぇぇ!って思って書きました!
まじで↑これだけの報告です
じゃっ楽しんで〜!
番外編 間違った選択
――出口を選んだ、その先**
札に書かれていた文字は、確かに「出口」だった。
晴明は、迷った末にそれを手に取った。
理由ははっきりしない。
勇気でも、希望でもない。
ただ――ここにいれば壊れる、と理解してしまったから。
札を裏返した瞬間、通路の奥で何かが動く音がした。
重い錠が外れる音。
風が、確かに吹いた。
背後で、明は何も言わなかった。
責める声も、止める手もない。
それが一番、怖かった。
「……行くんだね」
その声は、優しかった。
晴明は振り返らなかった。
振り返れば、足が止まると分かっていたから。
出口の扉は、想像よりもあっさりと開いた。
外は、夜だった。
空気は冷たく、街灯がやけに眩しい。
車の音、人の声、遠くの笑い声。
すべてが一気に流れ込んでくる。
晴明はその場に膝をついた。
「……う、っ……」
吐き気。
耳鳴り。
視界が揺れる。
世界は、広すぎた。
誰も「お兄さん」と呼ばない。
誰も、次に何をすればいいか教えてくれない。
優しい声も、指示も、肯定もない。
ただ、自由だけがあった。
数日後。
晴明は簡易的な保護を受け、事情聴取を受けた。
「監禁? 医者? 百々目鬼?」
相手の表情は困惑と疑念ばかり。
説明すればするほど、言葉は現実味を失っていく。
「……つまり、妄想だった可能性も……」
その言葉を聞いた瞬間、晴明の中で何かが切れた。
妄想?
あれが?
あの時間が?
否定されたのは、恐怖ではない。
居場所そのものだった。
晴明は一人になった。
部屋は狭く、静かで、誰の匂いもしない。
夜になると、地下室の夢を見る。
灯りの色。
足音。
「おはよう」という声。
目を覚ますたび、胸が痛む。
「……明くん……」
口に出してから、強烈な後悔が襲う。
戻る場所なんて、もうない。
そう言い聞かせても、心が追いつかない。
自由は、あまりにも冷たかった。
選択肢が多すぎて、何も選べない。
誰も縛ってくれない。
誰も、正解をくれない。
晴明は、徐々に壊れていった。
数週間後。
夜の街をふらつきながら、
晴明は、無意識のうちに足を止めていた。
見覚えのある路地。
見覚えのある建物。
心臓が、強く跳ねる。
「……やだ……」
そう思いながら、
足は、もう動いていた。
インターホンの前に立ち、
呼吸を整える。
指が震える。
それでも、押した。
扉が開くまで、時間はかからなかった。
「……おかえり…やっぱり帰って来ちゃうんだね♡」
明は、そこにいた。
驚きも、怒りもない。
まるで、最初から帰ってくると知っていたみたいに。
晴明は、その場に崩れ落ちた。
「……ごめ……なさい……外……無理だった……何も……できなくて……頭が……ぐちゃぐちゃで……」
言葉は支離滅裂だった。
でも、明は一つも遮らない。
ただ、しゃがみ込み、
晴明の額にそっと触れた。
「うん」
それだけ。
否定しない。
叱らない。
正論も言わない。
「だから言ったでしょ」
声は、静かで、柔らかい。
「お兄さんは、外じゃ生きられないって」
その言葉を聞いた瞬間、
晴明の中の何かが、完全に折れた。
――ああ、そうだ。
ここが、戻る場所だった。
地下室は、変わっていなかった。
灯りも、椅子も、空気も。
ただ一つ違うのは、晴明の心だけ。
もう、逃げようとは思わない。
選択肢は知ってしまった。
その結果も。
明が、微笑む。
「今度は、ちゃんといられるね」
晴明は、ゆっくりと頷いた。
「……はい……」
声は、静かで、抵抗がない。
出口は確かにあった。
自由も、選択も、世界も。
それでも晴明は、ここに戻った。
それが――
1番、楽だったから
コメント
2件
出口に選択したバージョンも最高✨ 外に出たのはいいけど今まで明くんが常に居ることが多かったから明くんに堕ちてしまったから戻ってきてしまう、そして結末は同じになった…完全に明くんに堕ちてたね晴明君! 続き楽しみにしてます!