「じゃあ、ここで解散ね!時間までに戻ってくること!」
先生の声を合図に、班ごとに行動が始まる。
「よし、華恋!まずは抹茶パフェ食べに行こ!」
玲奈がテンション高く私の腕を引っ張る。
「え、でも最初にお寺見学じゃ……」
「いいのいいの!修学旅行なんだから楽しんだもん勝ち!」
楽しそうに笑う玲奈に、私は苦笑しながらついて行く。だけど、気づけば目は**悠真の方**を追っていた。
悠真は陽斗たちと一緒に歩いていて、どうやら別のクラスの男子とも合流しているらしい。何やら盛り上がっていて、すぐに人混みに消えていった。
(……なんで、こんなに気になるんだろ。)
悠真とはいつも一緒だったから、別行動が変な感じに思えた。でも、それだけじゃない。悠真が楽しそうにしているのに、私はどこかモヤモヤしていた。
「華恋、もしかして悠真のこと気にしてる?」
玲奈がニヤニヤしながら顔を覗き込む。
「べ、別に……!」
「嘘つけ〜!顔に出てるって!」
玲奈は何かを確信したように笑い、私は思わず視線をそらした。
その時、玲奈のスマホにメッセージが届いた。
「ん?なになに……あー!悠真たち、夜に別の班の女子と合流するって!」
「……え?」
心臓がドクンと跳ねた。
(別の班の女子……?誰と?)
いつもなら気にしないことなのに、なぜか胸がザワザワする。
それが、自分の「気持ち」に気づく前触れだとは、この時まだ分かっていなかった——。
ーー続く。
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