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こうして時は、俺たちが再会した日に繋がる。
「ふ、はははっ」
ジヨンは楽しそうに笑ったあと、頬杖をついてこちらを真っ直ぐに見つめた。
「こんなやり方最低だ、なーんてさぁ…」
「……」
「……それ、ヒョンが俺に言う権利あんの?」
あの日突き放したくせに。
言葉にせずとも、そう言われている気がして思わず目を逸らした。彼の冷たい声が耳にこびりついて離れない。こんな声、初めて聞いた。
「………なんてね、冗談だよ」
冗談なら、もっと冗談ぽく言えよ。なんか懐かしいな、これ。
ジヨンは胸ポケットからタバコを取り出すと、咥えて火をつけた。口から吐き出される煙を見ながら、ああジヨンも吸うようになったんだなとぼんやり考えていた。あんなに煙たがって嫌がっていたのに。いつの間にか彼の手に馴染んでる。
(……それだけ、)
それだけ、俺たちの間に埋めようもない時間の空間ができたということだ。あんなに一緒にいたのに、その何倍もの年数離れたから、知らないことが増えても仕方ない。それが寂しいなんて、思う資格俺にはない。
「……で?」
「あ?」
「断る気?」
ジヨンがうっすら笑いながら言った。どこかバカにしたような言い方、でも瞳の奥には燃え上がるような炎が見える気がする。俺が断るわけない、という自信があるようにも感じた。
たしかに、ジヨンの才能や努力は俺が一番知っている、昔から。
「………断らない。ただ、俺がつまらないと思った時点で終わらせてもらう。それが条件だ」
「……あは、随分ひねくれた言い方するね」
彼は嬉しそうに笑った。その屈託のない笑顔は、昔の彼と重なった。
「大丈夫だよ」
「……なにが」
「つまらないなんて、思わせないから、君に」
言い切るそれが、彼らしいと思った。昔からそうだ、ジヨンは一度決めたら最後まで諦めない。夢のために努力惜しまなかったあの頃からずっと。つまらないと思わせない、と言ったからには必ず実行する。それをなによりも知ってるのは紛れもない俺だ。昔から…。
ハッとした。俺はさっきから昔の記憶なぞっていることに。昔から変わらないところを見つけては、心のどこかで安心してる。知らないところを見つけては、心のどこかでの寂しさを感じている。彼のためとはいえ、酷い言葉で傷つけて突き放した俺が、今更。
「じゃあ、こっちからも条件出していい?」
「……なんだ?」
「2ヶ月…いや、1ヶ月でいい。俺と一緒に住んで」
「…は?」
言われた言葉を理解できなくて、思わず間抜けな声が出た。落ちそうになった灰を見て、慌てて吸殻を灰皿に押し付ける。
「君の家か俺の家、どっちでも都合のいい方で構わないから」
「本気で言ってんのか」
「うん」
「…なんでだよ。仕事の話と、俺たちが一緒に住む話は関係ないだろ」
ジヨンはゆっくりと息を吐き出した。上がっていく煙をぼんやりと見つめたあと、その瞳がまっすぐに俺を見た。
「……ヒョン、お願い」
「っ、」
切ない声にぐっと息が詰まる。あの夜、初めて同じベッドで寝た日。彼は同じセリフを俺に言った。そのときの顔と重なる。
(ああ、俺……また昔と比べてるな)
そんな悲しそうな顔で言われたら……断れないことを知ってて、あえてそうしてるみたいで、腹が立つのに。
「………わかったよ」
気づけばそんなことを言っていた。彼が途端にホッとした顔になる。
「ありがとう。よろしくね」
いつの間にか心の中に入ってくるような、それでいて不快感を与えさせない。つくづく不思議な男。初めて会ったときに感じたものを、こんなところで改めて思い知るなんて。
(……なんだってんだ)
思わずため息をついた。
連絡先を交換してとりあえず今日の打ち合わせは終わった。いや、実際打ち合わせと呼べるようなことはなにもしてないが。
「車回してきます」
「……ドンス」
駆け出そうとした彼を引き止める。マネージャーとしても1人の後輩としても、俺のことをわかっている彼は、どういう気持ちで俺たちを引き合わせたのだろう。
「はい」
「どうだった?お前から見て…俺たちは…」
自分で言ってて、途中からなにを聞きたいのかわからなくなった。尻つぼみになった言葉がやがて消えていく。それでも彼は理解したようにゆっくりと頷いた。
「……そうですね、久しぶりの再会なのに、まるでついこの前まで一緒にいたような瞬間もあったと思います」
あの頃みたいに。
思い当たる節がないわけではない。俺もジヨンと話しながら無意識に昔の2人の記憶をなぞり、そして久しぶりに呼んだ名前も、呼ばれた名前も、その声も、酷く馴染んでいて。なんだかそれが笑えた。
「…………でも、」
「……でも?」
「悪い話ではなかったでしょう?」
『悪い話ではないと思います、あなたにとっても』
数日前ドンスに言われた言葉を思い出す。いつか2人を支えていきたい、と随分と昔に彼は言った。俺たちの仲が壊れてしまったあの日から、本当に彼は自分の夢を諦め宣言通り俺を支える立場を選んだ。独立しても、当たり前のように俺についてきた。
本当はずっと、俺たちを引き合わせたかったのかもしれない。今日という日を夢見ながら、俺と共にいたのかもしれない。
「……さあ、どうだかな」
「……」
「……でも……感謝は、してる」
「!」
ドンスは驚いたように目を見開いたあと、ゆっくりと微笑んだ。クールで普段からあまり感情を出さない彼が、本当に嬉しそうに笑うからなんだか心の奥がむずむずした。
「さっそくですけど、暮らすのはどちらの家にされますか?家の広さや場所を考えても、どちらでも問題ないかと。もしあれでしたらマンスリーマンションのようなものもありだと思います。いくつか候補もありまして…」
なんだよ、やっぱり最初から断らない前提で進んでたんじゃないか。つくづくこいつには敵わない。
ここまでお読みいただきありがとうございました!こちらで第一章は終了。なが。笑
わたくしごとですが…
最近この界隈降りてる人多い?気がします…まあnmmnですしね。あまり目立ってはいけないですが…流行りや飽きがある気持ちはわたしもわかりますし。主は好きになったら長いのでまだまだこの界隈にはウロウロしてると思いますが笑
この長編が終わったら一旦わたしも休もうかななんて思ってますが、癖は変わらないのでこんなこと言いつつまだまだ発散はしていくと思います笑
ちなみに中の人繋がりで🦑🎮も大好きです。🦑🎮も降りてる人多いですよね、わたしはまだ定期的に見てます笑 いつか🦑🎮の右サノと書いてみたい…みなさまの右サノは読み漁ってます笑
コメント
6件

あいしてます😭
ですよね😭まぁ私もいろんな界隈ウロウロしてる身だけど笑でもやっぱここは外せないんですよ🫶💗これからも楽しみにしてます😊✨
界隈降りてません! いつも内容も全部プロレベルで見ていて楽しいです!!!!