TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

生贄の花嫁~Lost girl~

一覧ページ

「生贄の花嫁~Lost girl~」のメインビジュアル

生贄の花嫁~Lost girl~

181 - 第23話 小さな願い

♥

17

2025年04月06日

シェアするシェアする
報告する

お茶会の間、花月はずっと無理して笑っていた。本当は奏がいなくて寂しかったんだよな。俺が喧嘩なんかしたばかりに…。瞳の奥は泣いていて、でもそれに気づかれないようにずっと笑っていた。皆それに気づいていても、誰もそれに触れることはできなかった。

 

好きな奴にそんな顔させるなんて…男として最低だ。

 

「奏、いるか?」

「なに、聖。僕に謝りに来たの?」

 

奏のしたことは許せない。花月を利用した。

 

でも…俺が謝って元に戻れれば…花月はきっと笑ってくれる。

 

俺は…花月のためなら……

 

「昨日は悪かった……。あんなに怒鳴ってすまなかった。」

 

「そんな簡単に謝るってことは非があったって認めるの…?本当にバカだよね、聖は。」

 

奏はもともとこういう奴だけど、別に俺は嫌いになったことなんてない。ただ本心をさらけ出すのが苦手なだけだって思ってる。

 

自分を守るために強がってる。

 

「花月のため……?自分が謝れば元に戻れるって思ってるわけ…?本当にバカだよね。」

 

俺のことはいくら言われたって構わない。俺らはそういう付き合いの中でもやってこれて、信頼し合ってる。そんなことで崩れるような関係じゃない。

 

「本当……聖が羨ましいよ。」

「え……?」

 

「何でそこまでできるわけ…?何で…自分を悪者にしてまで…人のために頭を下げられるの…?聖が謝ったって僕が聖を許すかどうかも分からないのに。」

 

「俺は……お前がそんな奴じゃないって信じてる。人よりも上に立とうとしているのだって、強がって見せてるだけなんだろ。お前は器用にこなしてるように見せるけど、誰にも本心は見せない。それを俺は知ってる。」

「な、なに、僕のこと分かるみたいなこと言ってるわけ?お前に僕の何が…」

 

「わかるさ……。俺らはずっと一緒に暮らしてきた。喧嘩した分、一緒に楽しんで泣いて笑って同じ時を過ごしてきた。強がるお前も努力するお前も知ってる。それがお前の良いところだってことも知ってる。だから……もっと自分を曝け出せ。自分を見せることを恐れるな。お前が本心を出せばきっと花月も…他の奴らもお前を今以上に認める。理解してくれる。作り物の自分で生きるのはやめろ。俺は…本当のお前と戦いたい。」

 

「聖のくせに偉そうなんだよ。まあ、僕は心が広いから許してあげるよ。それに今回のことは…僕も悪かったし……。花月を利用して…強がって……本当、僕って格好悪いよね。」

 

「お前、素直になったな……。」

「な、なんだよ。聖が本当の僕でいろって言ったんだろ。」

 

「そうだ。お前はお前でいいんだ。」

(「そ、そんなこと言ったって、花月は渡さないからね。花月は僕のものにするんだから。」

 

「それでこそ……ライバルだ。」

「いちいち言うことが恥ずかしいんだよ…聖は。」

生贄の花嫁~Lost girl~

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

17

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚