テラーノベル
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wt様の腐向け。
brknのお話。
デスクに向かいカタカタとキーボードを打つ。
隣からは更に速い速度のタイプ音が聞こえる。
まだ来たばかりだというのにこなしている業務量がえげつない。
遡ること先月。
急に入ってきた新人。
何故か上の人達は彼に媚びを売っていて不思議。
確かに仕事は下手したら僕より出来ているけどあんなに優遇するのはおかしいと思っていた。
昼の休憩、彼の元へ訪れる。
「……ねえねえ、ご飯一緒食べない?」
「?……あ、自分ですか、良いですよ」
「ありがとー!早速だけど君めちゃくちゃ上司のオキニじゃ〜ん、有名人だったりする?」
「……いや、そんなことないですよ」
「え〜?じゃあ社長のご子息サマ?実家が太いとか!」
「初対面なのに攻めた質問しますね……」
「ありゃ、スミマセン」
「…まあ近いっちゃ近いっすね」
「えぇ!詳しく教えて!」
「あ!ごめんまた聞いちゃった……w」
こんなたわいもない会話をしていた。
彼は仕事もさることながら礼儀作法、身だしなみもきちんとしており内情を知らない僕もかなり好印象を抱いていた。
名前は……
「シャークんですね、今後もよろしくお願いしますよ……先輩」
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「ねえ、しゃ〜く〜ん!ここ分かんないんだけど教えて〜!」
「……これはこのシステムをアップロードしてから申請します、メモしといた方が後々分かりやすいと思いますよ」
「ありがとう!神!天才!」
……親に言われて普通の会社で働いてみたはいいもののこの人効率悪いな。
いや、前の企業での内容が内容だっただけでこの人が別に役立たずなワケでもないが。
「……〜で、これを保存して何かあったときにすぐ開けるようにしとくと便利です」
「本当に何でも知ってるね、やっぱり凄い企業とかに勤めてたことあると思うな」
……間違いではない。
親がIT企業のCEOだったからそのツテでそこで働いていた。
仕事はきちんとしていたはずなのに活力がないとかもっと人付き合いを上手くしろとか言われて一時的に追い出された。
全く酷い目に遭った。
……悪いことばかりでもないが。
「先輩なのに逆に教えてもらってごめんよぉ……」
「上がったらご飯行く?奢るよ」
「いえとんでもない、それに自分も用あるので行けません」
「りょーかい」
「あ」
「どうしました?」
「ごめん、作ってた資料全部消しちゃった、たはは……」
「はぁ!?保存は!?」
「いけると思って……」
「マジすか、この資料確か明日の会議に使うとか言ってましたよね……」
「はは、残業確定だwあはははw」
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終わった。
一週間の努力、さようなら。
なんで一週間もあって一回も保存してないの?
アホすぎ。
って、こんなこと考えてる暇ないし。
シャークん助けてよぉ……
あの定時帰りめ……
「やばいよぉ、終わんなさそう」
今日こそはきんさんに会いに行こうと思ったのに。
最悪すぎる。
「眠い眠い眠い死ぬ」
死に物狂いで作業を進める。
カフェインを摂る暇すら許されないこの状況。
「きんさ〜ん……」
今一番いてほしい人の名を呼ぶ。
今頃彼は何をしているのだろう。
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「きんとき……」
「まだ二日来てないだけだって」
「そうやって、ずるずるまだ三日、四日、五日しか来てないとか言うんだろぉ!?今来なきゃ意味ないんだよ!!」
「ぶる〜く〜!」
「きんときのこと嫌で来ないわけじゃないよ」
「そーだそーだ」
「いいですね、二人とも好きな人が高頻度で来店していて」
「きりやんとシャークん?どうぞ幸せに。」
「思ってねぇだろ」
今日も今日とてぶるーくが来なかった。
どうして?
「てか、別にシャークん好きじゃないって」
「客のクセに生意気な……」
「はいはい夫婦喧嘩ですそれは」
「お前めんどくさいな」
そうだ俺はめんどくさい。
小さい頃から我慢が利くとか穏やかそうとか言われてるけど全くそんなことない。
酒に絆されずとも重い気持ちはずっと内で渦巻いている。
「まあ約束通り明日は特別に休みね」
「どーしよ、ぶるーくの会社凸りたい」
「ダメに決まってんだろ」
「スマイルは黙って」
「なかむとの扱いの差ヤバすぎだろ」
「はいはい、二人とも争わないで」
流石に凸りはしないけど会いたい。
日に日に虚しさは募るばかり。
ぶるーく、次は絶対来いよ……
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