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山本麹は、目の前の男を見上げていた。
「へぇ……君が山本麹ってわけか。」
男――秤金次は、ポケットに手を突っ込んだまま、気怠そうに山本を見下ろしていた。髪が夕陽に照らされ、微かに輝いている。
「なんで俺と戦わせようとしてんの? 俺、賭け試合なら乗るけど、呪術師同士の潰し合いとか興味ねぇんだけど。」
「……お前、五条の弟子だったんだろ?」
山本が問いかけると、秤は軽く肩をすくめる。
「だったっていうか、まあ、あいつに借りがあるからな。でも今は、何より俺の月給がどうなるかのほうが大事なんだよねぇ。」
「……いや、呪術界の危機なんだが。」
「そうだな。」
秤は呆れたようにため息をつく。
「だからさ、俺にとってのメリットは何よ? ただで命張れって?」
「宿儺が暴れたら、大好きな賭け試合も成り立たなくなるんじゃないの?」
「……おっ、鋭いね。」
秤は山本をじっと見た後、ニヤリと笑う。
「お前、戦えるの?」
「……まぁ、そこそこには。」
「なら、いいや。」
秤はポケットから手を抜くと、突然山本の顔を掴んだ。
「なっ……⁉」
次の瞬間、秤の呪力が山本に流れ込んだ。
「お前の呪力……面白ぇな。なるほど、これが“発狂”か。」
秤はニヤリと笑いながら、山本を放す。
「決めた。俺、お前に賭けるわ。」
「……どういう意味だ?」
「五条の後釜なんてやりたくねぇけど、もしお前が勝ったら、俺のボーナスも上がるかもな?」
山本はため息をつきながら、呆れたように言った。
「……本当に金のことしか考えてねぇな。」
「当たり前だろ? 俺はギャンブラーだぜ?」