(注意点)
リクエスト作品です
100%妄想です
怪我などで苦しむ痛々しい表現があります
言葉遣いなど解釈違いでしたらすみません
長文で申し訳ないです
大丈夫な方はこのままどうぞ
最近、小柳は個別で依頼者から受けた暗殺をいくつかこなしていた。
その中の一つがヒーローとして見過ごせないほどの残酷なものだった。
結局それは引き受けなかった。
悪事を知ってしまった以上、放置すると市民が危険に晒されるので、
その組織の情報を情報屋に回し、そこ経由で最終的にほとんどの幹部が警察に捕まった。
残された幹部の報復の目は、小柳に向けて強く怪しく光っていた。
とある任務での戦闘後、4人はのんびり帰路を歩いていた。
最近4人みんなそれぞれの別の仕事で忙しくしていて、今日の討伐は 疲れからか だいぶ手こずってしまった。
星導「もう動けませーん、小柳くーん おんぶしてぇ。」
小柳「俺だって仕事続きでマジ体きちぃんだよ。」
叢雲「僕も術の改良で連日夜更かししてもうた。めっちゃ眠いわぁ。」
伊波「はいはいみんなー、あと帰るだけだから頑張るよー。」
小学生の先生のように手をパンパンと叩いた。
みんな終わった疲労感で感覚が鈍っていたのだろう。
突然、四方八方から吹き矢の雨に襲われた。
別の敵の存在に気付けなかった。
位置的に小柳だけが避けることができたが、
3人には何本か刺さってしまった。
強い体の痺れにより、ドサドサと伊波たちの体が崩れ落ちた。
吹き矢の先には痺れ毒が塗ってあるようで立ち上がれない。
ゾロゾロと周囲から黒い服の男達が現れると、
倒れた3人を踏みつけながら立つ。
その男達は、あの時小柳が壊滅させた組織の幹部たちだった。
小柳「おいやめろ!3人から離れろ!」
嵌められた。
そのメンツを見てすぐに分かった。
これは俺への報復だ。
みんなニヤニヤと嫌な笑みを小柳に向けてくる。
小柳「3人は関係ない!やりたきゃ俺1人をやれよ!」
幹部「お前はなかなか腕が立つ。
こうでもしなきゃ優位に立てないからな。」
星導「え?!どういうことですか?!この人たちは誰?!」
伊波「こんな敵の情報、俺たち聞いてなかったよ!?」
叢雲「あかん、この吹き矢、痺れ強くてまだ動けんわ。」
小柳「俺が警察に情報回して捕まった極悪組織だ。だからこれは俺の問題なんだ!てめぇら直接俺に来いよ!」
刀の切先を一人一人に向けて睨む。
小柳「堂々やれ!卑怯だろうが!!」
幹部「悪とはそういうもの。ヒーロー達も強いのは知ってる。念には念をってやつだ。」
そう言うと、3人の首筋それぞれに、謎の注射器を近付けた。
小柳「おい!!何する気だ?!」
幹部「選ばせてやろう。こいつらに1本ずつこの致死毒を打ち込むか、お前が3人分をここで打ち込むか。
解毒薬は持ってない。3人が死ぬか、お前1人が死ぬか。簡単な話だろ?」
事を察した星導が叫んだ。
星導「ダメ!罠です!3人分も打ったら即死は免れない!俺に打ってください!」
叢雲「僕は毒に耐性ある!やから、僕に!」
伊波「ロウは正義を執行しただけで、なにも間違ったことはしてない!4人でなんとかしよう!」
小柳は伊波たちの方を見ることもなく、1人で何か考えている。
数秒後、唇を噛み締め、諦めたように納刀した。
各々の静止を無視して真っ直ぐと歩き、3本を受け取る。
そして迷うことなく3本とも自分の首筋に打ち込んだ。
3人は慌てて立ちあがろうとするが、叢雲でも動けない強い麻痺毒だ。
誰も体が持ち上がらない。
力が入らない。
さらには体も隣に立つ幹部たちに踏まれていて身動きも難しい。
すぐに猛烈な症状が小柳を襲った。
息が荒くなり体が震え、膝がカクンと折れて地面に両手をついた。
口から苦しそうな声が「グッ、、んぅ、カハッ、ヒュ、、」と漏れ続ける。
そして最初に胃がひっくり返るような気持ち悪さに襲われ、ビタビタと地面に吐き出すと、
直後には大量の血液がゴバッと口から溢れ出た。
盛大に咳き込むが不快感は増していくばかり。
幹部「さすがヒーロー、その頑丈さが仇となってすぐには死ねないみたいだな。せいぜい苦しんで我々を楽しませてもらおう。」
ショーを見るかの如く、わざとらしく拍手をしてくる。
癪に触り文句のひとつでも言いたかったが、もう体を支えていられなくなり、完全に地に臥した。
伊波たちがなにか叫んでる、気がする。
3人の声が遥か遠くに聞こえる。
もう誰の声もくぐもっていて聞き取れない。
まあ、仲間に見守られて、仲間を守って死ねるのなら、ヒーローとして本望かもしれない。
いや、ヒーローなら負けてんじゃねえ、勝てよ。立てよ。
グルグルと苦しみの中で、諦めと闘争心が葛藤している。
深海に沈んでいくような感覚を、無理やり引き上げてきたのは猛烈な毒による体の痛み。
そう簡単には楽に死なせてくれないようだ。
ガクガクと体を痙攣させながら、体内外から刺すような痛みに、
地面を掻きむしりながら のたうち回る。
吐血と共に、声にならない音を悲痛に絞り出す。
小柳「ぁ、!、ゔぁ、!!グゥゥッ!!、ッッ、カハッッ!!」
伊波たち3人はジタバタともがきながら必死に小柳の名前を叫び続けていた。
叢雲は「動け僕の体!!なにしとん!動けよぉ!!」と悔しそうに拳を地にガンガンと叩いた。
怒りに身を任せて星導は、顔面の割れをどんどん広げて暴走モードに入ろうとしていた。
伊波「待って!ここで暴走したら俺たちも小柳も危ない!」
以前星導が暴走した時、3人も危険な目に巻き込まれた記憶が蘇った。
でも救うにはどうしたらいい?!
小柳は1人で己と戦っていた。
最後まで折れないプライドだけが意識を繋ぎ止めて、絶対に「助けて」とは口に出さなかった。
3人は動けない。
今自分を助けられるのは自分だけだ。
白狼の力を信じろ。
耐えろ 耐えろ。
白狼の底力なめんなよ。
そのうち小柳の喉の奥から、狼のような低い唸り声が「、、グルルルヴゥゥ、、!!」と漏れ出した。
まるで自分を鼓舞し、相手を威嚇するように。
星導はもしかしたらと思い、小柳に指示をした。
星導「小柳くん!俺の顔みて!あの時の満月みせてあげる!」
大きめに割れた顔面に
褐色の満月を映し出す。
小柳は咄嗟に星導に振り返り、
ジッとその月を見つめる。
過去にとある時期の満月を見て、獣化した小柳に会ったことがある。
跳ね上がるその獣化の力に賭けてみよう。
やはりあの時のように両目が赤くなり、牙も爪も鋭く伸びた。
こうなった時の小柳は暴走状態になるが、肉体強化で回復力も跳ね上がる。
死ぬよりマシだ。
全然いい。
本当に俺たちのために、ごめん。
今俺にやれることはこれしかないんだ。
小柳くん、毒に、こんなやつらに、負けないで。
小柳はガバッと立ち上がると、敵に向かって「ガァァァァ!!!」と吠えた。
相手は生身の人間。
白狼本来の戦闘能力になす術なく次々に切り裂かれていった。
まさか死なないと思っていなかった幹部の人間達は、対応に遅れ「悪かった!助けてくれ!」と逃げ惑う。
そんな命乞い、もちろん耳に入るわけがない。
血飛沫が吹き荒れ、血肉舞い散る。
紅色が辺り一面に吹雪き、
その中で踊るように紅の瞳が妖艶に微笑む。
現実離れした血生臭い光景だったが、
どこかとても美しく見えた。
小柳はただひたすらに吠えながら、片っ端から倒していき、あっという間に敵を全滅させた。
そしてシンとした静寂。
空を見上げた小柳は満足げに目を閉じた。
まるで終演の合図かのように。
3人がこのあとどうしようかと一瞬戸惑ったが、
息を切らせて立ち尽くしていた小柳は、力を使い果たしてドシャリと倒れた。
姿も元の姿に戻っている。
まだまだ苦しげに肩で呼吸をする小柳に、やっと動けるようになってきた叢雲が急いで解毒薬を打ち込んだ。
叢雲「ほんま、、無茶苦茶なことせんといてってぇ、、心臓止まるかと思うたわ。」
伊波「目の前であんな苦しむ姿、見たくなかったよ。マジでさっきのも色々トラウマ映像、。」
星導「帰ったらちょっとお説教ですかね。」
叢雲「ちょっとですまん!大説教やろ!」
星導「確かに、あの満月を引っ張りつれてくんの結構大変なんですよぉ?」
伊波「まあ、頑張って戦ってくれたから、多少は多めに見てあげるか。」
まだ少し顔色の悪い小柳を背負って拠点へ帰った。
しばらく3人は先ほどの光景が脳裏から離れないだろうと感じた。
帰還して最悪なことが起きた。
小柳が回復して目を覚ましたので、
いざお説教!と思いきや、本人の記憶がすっぽりとなくなっていた。
獣化すると前後の記憶が無くなるらしい。
なんとまぁご都合の良い言い訳だ。
ゼロから百まで事細かに説明し、人ごとのように「へぇー」なんて返される。
伊波「もう2度とあんな危ないことしないでよ!」
小柳「でもナイスガッツじゃん俺。」
得意げな顔すらしている。
3人でボコンと小柳の頭をチョップしたら、
不満げな顔をされた。
小柳「だって誰しも仲間は守りたいやろがい!」
伊波「みんなそう思ってるの!」
叢雲「ほら復唱しろ!狼はもう危険なことしません、りぴーと あふたー みー!」
小柳「へーい、しませーん。」
星導「絶対しますねこの感じ。お説教延長します?」
最後までお説教は上手くまとまらなかったが、
結論みんな各々、仲間を危険に晒したくはないということだ。
この根底はどんなに話し合っても、みんな覆らせることはできないだろう。
結局いつもの楽しそうな小突き合いトークは夜遅くまで続いた。
コメント
13件
新曲聴きながら見てたせいで涙腺が…あれれ、おかしいなぁ…((( 仲間を守りたいって言葉が狼から出てくるとは… 推しの苦しむ姿と仲間を守るために自分を奮い立たせて戦おうとするのがもう…最高で… ヒーローショー見たあとのこれは最高や🥺
早い早い早い早い !!まだリクエストしてから日にちそんな経ってないですよね?!しかも予想を遥かに超えた神作ありがとうございます!吐血&獣化まで書いてくれるとは、、、無事に楽之内になれそうですね。(いつまで引きずるんだこのネタ)心做しか私の内なる落花生も喜んでおりますよ?「サイコウダヨー」ほらね!?!?
最&高!!!! 最後でカゲツがリピートアフターミーって言ってるとこを平仮名で書いていて凄いカゲツっぽいなぁ✨✨ってなりました!!!こんな事言っていいのか分からんけどやっぱヒーローが苦しんでるの好きだわ.....😍 てか、しましまねずみ様の作品全部大好き、愛してる💗💗