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今日もLupinに入り浸たって
たまにマスターに話し掛けて
お気に入りのものを呑んで
夢の中の二人に語り掛けては笑って
今回の君を待っている。
「…以前はどんな話をしたっけなぁ、」
「ご友人ですか?」
顔馴染みのマスターは聞いてきた。
「そうだよ、大切な友人なんだ。よく集まって話すのだけど、私も友人も何を話したか忘れてしまうんだ」
「それは困ってしまいましたね」
「うんうん。話したい事は4メートルの手紙にしたって足りないほどあるのに話す事が決まらなくてねぇ」
「ご友人はあとどれ程で?」
「さぁねぇ、でも会えない時間に比べたらもうすぐさ」
カチャカチャ、とグラスを鳴らす音や後ろでゆっくりと流れる音楽にたまに耳を傾けながら もくもくと雲を浮べ考える。以前話した事は何だったか、毒林檎?虎の少年?否、違う。さてさて何だったか。
「にゃあ」
ちらりと見た隣の椅子には、見慣れた模様の三毛猫が此方を見ながら老紳士のように優雅でそれでいて大人しく座っている。
「おやおや、客人だよ。マスター。」
「ええ、よく此処に訪れる三毛猫ですよ」
「ふふ。はじめまして、本当に優雅だねぇ。君のこと先生とでも呼んでいいかい?」
暫くしてから返事をするように
にゃあとまた一つ鳴く。
私もまた ありがとうと一つ返事をする。
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「ああ、決まった。」
言葉の足らない独り言だろうとそれに気付いたマスターはニコリと小さい微笑みを浮かべていた。
そうしてタイミング良く扉の鈴の音が鳴った
「…はじめまして、善い夜だねぇ」
「ああ」
「私以外には客人はこの猫しかいなくて暇を持て余していたんだ。良ければ一緒に飲まないかい?」
「それは構わないが、猫も人に含まれるのか?」
「んふふ、含まれないよ。でもこの猫は別さ、ちゃんとしたお客人だよ。」
「そうなのか…。隣席に失礼する」
「うん、どうぞ」
「…何か話したい事があるような顔をしているな、」
「おや、気付かれてしまった」
「少し子供の世話をしていてな、見慣れている」
「じゃあ、聞いてくれる?」
「ああ」
うん、矢っ張り君はどんな世界だろうと
何時だってこんなにも優しいんだ。
そうして話し始めた、
君に聞いて欲しかった沢山のこと。
ここは一枚の頁によって描かれた
幾度とある世界のひとつ。
今回の世界でも私は君に初めての恋をした。