若井 side …
鳥の鳴き声で目が覚める。スマホで時刻を確認すると、午前7時半だった。重い体を動かし、伸びをする。
昨日の夜、俺と元貴は体を重ねた。それも、元貴が仕掛けたことだ。元貴はいつも俺の言いなりで、元貴から誘われても俺は断ることが多い。そんな元貴が、薬やらの手口を使って俺と体を重ねた。その事実がどうにもおかしくて、少し違和感が残っている。昨日の元貴はどこか、楽しそうな苦しそうな表情をしていた。
元貴は俺が浮気をしていることを知っている。なのに俺を責めたり、怒ったりはしなかった。俺も何故浮気をしているのかよく分からなくなってきていた。でも、今なら何故俺が浮気をしているのか分かる気がする。それは、俺が元貴に求められたかったからだと思う。元貴に俺を求めて欲しい。泣きながら俺の名前を呼んで欲しい。そんな歪んだ欲求から生まれたことなのだろう。昨日の夜、元貴は行為中に俺の事を”好き”と言ってくれた。そして、俺を更に求めてくれた。そんな事で俺の心にぽっかり空いた不自然な穴は埋まった。
「…元貴に悪いことしたな」
俺は自分の元貴への愛の異常さに気づいた。許してくれるかは分からない、いや許してくれることは無いだろう。だが謝りたい。そして、『大好きだよ、大丈夫』と元貴を優しく抱きしめたい。俺は隣で眠る元貴の方へ体を向けたその時だった。元貴の姿がない。
「…元貴?」
布団の中に潜っているのかと思い、布団を捲り上げたが元貴の姿はない。おかしい。昨日の夜、元貴は俺に好きにしてと言い、俺と体を重ねたあとぐったりと疲れたように眠ってしまったんだ。相当疲れていただろう。俺は寝室を出て元貴を必死に探した。何度も名前を呼んだ。だが、どこにもいなかった。悪い考えが頭を埋め尽くす。元貴はどこへ行った?元貴は無事なのか?心配と恐怖で変な汗をかく。その時、不意にある考えが頭をよぎった。
「…寝室のベッドの奥」
そういえば見ていなかった。元貴は寝返りをうった時にベッドから落ちたのかもしれない。少し胸の鼓動が落ち着いた気がした。俺は急いで寝室へと向かった。
俺は恐る恐る、ベッドの奥を覗くとそこには元貴の姿があった。はぁと一安心しベッドに座りこもうとしたその時だった。
あれ…?何かがこぼれている。
元貴の方を見ると、元貴はコップを持っていてそのコップから水がこぼれていることに気づく。そして元貴の口元を見ると、元貴は口からも水をこぼしていた。明らかに不自然だ。一度納まった胸の鼓動が徐々にドクンドクンと音を立てる。もしかしてと悪い考えが頭をよぎる。
俺は元貴の肩を掴み、元貴を仰向けにした。その瞬間、悪い考えと状況が一致した。元貴の体で隠れていた”それ”が見えた。大量の薬だ。元貴の左手付近を見ると、そこには薬のビンが転がっていた。俺は恐る恐るビンを広い、何の薬かみるとそのビンには『睡眠薬』と大きく書かれていた。睡眠薬を大量に飲み、元貴はこうなった?訳が分からない。
「元貴!!!」
大声で名前を呼び元貴の体を揺らすが、反応はない。俺は元貴の首元に触れた。その瞬間一気に血の気が引いた。元貴は冷たくなっていた。
「嘘だ…救急車…!!!」
俺がスマホを取った時だった。元貴の連絡先から通知が来ていた。俺は元貴のスマホを奪い取ったはず。まさか元貴が探して、見つけ出した?俺は恐る恐るその通知を見る。そこには、元貴から最後の言葉が送られていた。
「あいしてるよ ひろと」
「泳がす貴方と泳ぐ僕」、今回で
完結させてもらいます…!!!
ここまで読んでくださった読者の皆様、
本当にありがとうございました🙏🏻✨✨
裏話などを聞きたい場合は、
コメントで聞いてみてください!(?)
答えられる範囲で答えさせてもらいます…!
そして、明日から更新できるかは
まだ未定ですが、新しいお話の題名だけ
公開させてもらいます…!
新しいお話の題名は「Part of me」です!
どんなお話になるかは、連載されてからの
お楽しみ…ということで🥺
あと、聞きたいことがあるんですけど
皆さんはどんなお話が好きですか?
えっちな感じなのか、それとも暗い感じ…
是非コメントで教えてください🙏🏻💦
皆さんの意見によって 今後の作品の
ジャンルも 考えようと思います!
長くなりましたね…すみません…
では皆さん!また次のお話で^^
コメント
11件
一気見しました…。 まさかの結末に号泣してますよ、、
全部一気に読ませて頂きました!本当はお互いに愛し合っていたことに気づいたのに最後自○しちゃうの悲しすぎます😭他の作品も見させて頂きます!
えええええええ、やっとクズ井さんじゃなくなってhappyendだ!って思ったら自◯しちゃったああああ?!てか最後の「あいしてるよひろと」でもう泣きそうになったあいああ