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御本人様との関係は一切ありません。フィクションでございます。
side wki
2025年12月24日
俺は冬になると高校生のあの頃を思い出す。
・・・
2013年12月15日
「 もうすぐ、クリスマスだね 」
口を開けると出る白い息を出す彼は
首元をマフラーで隠して
俺をじっと見詰めてはニコッと微笑む。
「 そうだね、早いなぁ… 」
ふと空を見上げる。
夜の星空は凄く綺麗で心が安らぐ。
「 若井、クリスマス空いてる? 」
「 うん、もちろんだよ 」
俺は元貴の顔を見てそう言った。
元貴と俺は恋人という関係。
同性同士だから元貴とはそういう関係にはなれないと
思っていたけれど…
元貴だから恋人になれたんだとわかった。
これからもこの幸せが続くように、ただ祈るばかりだった。
でもこの幸せはとある日の事件を境に
全て崩れ落ちてしまった。
・・・
2013年12月24日
久しぶりのデートだったから
楽しみすぎて待ち合わせよりも早く来てしまった。
どこかげ時間潰そうかなと思っていた時
「 若井∼! おまたせ! 」
俺の所に走ってくる元貴。
いつまでも愛おしいと感じた。
「 待ってないよw 」
「 まだ、来ないと思ってた、」
ふぅと軽く息切れをしている元貴の背中を
そっとさすって一言。彼は呟いた。
「 …楽しみすぎて早く来ちゃったの 」
「 あと、若井はこういう日に限って早く来るでしょ? 」
「 だから待たせたくなかった、寒いし、」
えへへと笑いながら言った元貴。
どこからその笑顔と言葉が出てくるのかな。
俺は元貴のそういうところが本当に好きだ。
「 ほんと、可愛すぎない、? 」
「 可愛くない! 早くいこっ 」
俺は元貴のその言葉を聞いた後、
すぐに彼の指と自分の指を絡ませ、恋人繋ぎをする。
繋いでいる手を俺のコートのポケットにいれると
元貴は安心したのか照れ笑いをする。
「 見て、めっちゃ綺麗じゃない?! 」
元貴は大きなクリスマスツリーを指差す。
ピカピカと光っていて本当に綺麗だ。
元貴は目を輝かせてツリーを見ていた。
夜でかつツリーが光っているからか、彼の横顔は更に輝いて見えた。
「 夜ごはん食べて、ホテル行くか 」
「 毎年恒例のプレゼント交換したいもんねw 」
俺が提案すると、元貴はすぐにOKしてくれて
予約していたお店へと向かう。
「 ここだね 」
「 え、おしゃれすぎ、」
俺が先導して中に入り、席へと案内される。
特に綺麗に夜景が見れる席を予約した。
「 夜景綺麗…。ありがとうね 」
元貴はニコニコ微笑んで夜景を写真で撮った。
席に座るとメニューと水をいただいたので
元貴と一緒にメニュー見て注文する。
「 若井、」
俺はスマホの画面から視線を元貴の方にやる。
彼は俺の手に触れて口を開いた。
「 将来、バンドを組もうと思ってて 」
「 若井にもギタリストとして入って欲しいの 」
不安そうに元貴は俺を見て言った。
俺と元貴は中学校で出会った。
当時、元貴があまり学校に来ておらず
交わることはないと思っていた。
中学3年生の頃、修学旅行の班が一緒でそれを機に仲良くなった。
彼が学校に来ない理由は「 曲を作りたいから 」という
単純なもので、動画をあげていると他のクラスメイトからの
情報を聞いたので実際に修学旅行が終わった後に聴いてみた。
俺はそれで元貴のファンになった。
柔らかい声とアコギの音がマッチしていて
もっと元貴と仲良くなりたいと思うようになった。
それで色々あって今は付き合っている。
俺は幸せだなと感じている。
もしバンドを組めば元貴の歌をこれからもずっと
近くで聴くことができるんじゃないかと思った。
「 うん、いーよ! 俺で良ければ 」
そう返事すると彼はパーッと顔を明るくして
「 ありがとう!若井がいいの! 」
満面の笑みでそう言われた。
俺がギターを始めたきっかけが元貴の隣で弾きたいからというのは内緒ね。
元貴がやりたいという事は全て叶えたいから
俺も嬉しくて小さくて可愛らしい元貴の手をぎゅっと握って
「 バンド頑張ろうね 」
とそう言った。
・・・
ご飯を食べ終えたのでホテルへと向かった。
部屋に入って荷物を置くと元貴が口を開いて
「 今日、やるの? 」
「 え、…うん、やりたい、」
元貴からそんなことを聞かれるのは久しぶりで
すぐにそう答えた。
「 …腰、しんどいよね、」
元貴とやるといつも止まらなくて
やった翌日に元貴にこっぴどく怒られるのが日常茶飯事だった。
腰もだいぶ痛そうにしている日もよくあるし…
俺はやってるときの元貴の顔見ると
絶対に抑えることできないから
元貴とそういう雰囲気になった時だけやるようにしていた。
「 ううん、僕もやりたいから… 」
「 若井もそう思ってくれて嬉しいというか…// 」
元貴は顔を赤くしてはどんどん小声になっていき
最終的にはごまかすように俺に抱き着いてきた。
「 はぁ、ほんと、反則だね、」
俺はすぐに抱き返して首筋や鎖骨に何度も口付する。
「 んん、//…やだ、久しぶりで…恥ずい、// 」
元貴は俺を上目遣いで見詰めた。そして反応もやばい。
そのせいで俺は性欲で支配されていった。
「 あのさ、」
「 映画見てから…やりたいんだ、」
「 ポップコーン、あと飲み物を買いたい、」
元貴曰く、ラブロマンス映画がみたいらしい。
結構激しいものでその後にやると雰囲気が醸し出されて
気持ちよく出来るんじゃないかという提案だった。
好きな俳優が出ていて見たいけど1人じゃ見きれないと。
そういうところも愛おしくてたまらない。
「 じゃ、行ってくる 」
元貴はスマホと財布、カードキーを持って玄関前へ行く。
「 元貴、夜は1人だと危ないからっ、」
「 俺に行かせて 」
「 いーの、今日は、若井に甘えてばかりいるから 」
元貴は俺の方に近寄って
「 滉斗、行ってくるね! 」
そっと俺の口元に口付をしたため
静かな部屋にリップ音が鳴り響く。
彼はニコッと微笑み、手を振ってから部屋を出た。
俺は部屋の扉を閉めて扉によりかかるように座り込む。
きっと今の俺の顔は熱を帯びているの顔が赤いだろう。
元貴に滉斗と呼ばれると気が狂うんだ。
早く帰ってきて欲しい、そう思った。
それが俺と元貴の最後の会話だった。