弱くても

私は今年、社会人になった

誰かが言ったひょんな言葉が

ずっとずっと胸に残って一人傷付いて

見えないとこで泣いてる

（君！）

ん、？

気のせいか

そう思ったけど小さな影が走ってくる

それは、可愛らしい女の子だった

（あなた、どうしたの？）

（私、？）

（ああ、行く場所、なくなっちゃって）

私もこの子くらいの時に行く場所がなくなったことがあると聞いたことがある

今回ばかりは、同情するしかない

（私の家、来る？）

（いいの？）

（うん、じゃあ、行こ？）

この不安はきっと、希望のせいだ

愛を知ってしまった私達はみんな欲張りで

幸せじゃなきゃ怖くなるから

私が一番よくわかっている

（お姉ちゃん、どうしたの？）

（いや、なんもないよ）

（そう…）

私は”ありのまま”に蓋をして

嘘を食べて生きてる

（なんかあったら私に言ってよ！）

（何もできないけど、住まわしてもらってるし）

（じゃあ、聞いてもらってもいい？）

（もちろん！）

私はさっきのことを話した

お姉ちゃんは涙しながら話してくれた

（私が言えることじゃないけどさ）

（お姉ちゃんがそんな今日を許せるなら）

（その涙に頼ればいいんじゃない？）

（え、？）

（弱くても強くあれ）

（どういうこと？）

（私が好きな言葉）

（どれだけ明日が怖くても）

（信じた自分で歩いてこそ全てが輝くって）

（変わらないお姉ちゃんの愛も）

（お姉ちゃんが消したい昨日も）

（どれも本当なんでしょ？）

（うん）

（じゃあ、そうやって強く胸を張ればいいの）

私より若いのに、凄いな

この子とずっと過ごしてると

毒にも薬にもならない

そんな言葉が欲しくなって

でもいつも逃げ出すのは

誰でもない自分自身からだった

“明日からこうするんだ”と私は何度誓っただろうか

（でもさ、変われないのが人ならば）

（変わらぬまま歩くのもいいんじゃない？）

（なんで…？）

（ずっとお姉ちゃんと一緒にいるから分かるよ）

この子は、私のことをわかってくれてる

（そんな時こそ、弱くても強くあれ、だよ！）

（明日が怖くても）

（迷い止めないで歩いてこそ何かに出会えるから）

（それが笑顔でも、涙でも）

（どれも人生だから）

（誰だって強くないから）

（遠回りでも、近道でも）

（手探りでいいんだよ）

（道しるべなら）

（いつでも心が知っているから……）

それは、突然だった

急にいなくなってしまった

あの子は一体……？

（（弱くても強くあれ…））

え…？

（（弱くても強くあれ））

（（明日が怖くても））

（（信じた自分で歩いてこそ全てが輝く））

（（変わらない愛も））

（（消したい昨日も））

（（どれも本当さ））

（（そうやって強く胸を張れ））

そう言って背中を押してくれたような気がした

やっぱり君は＿＿＿＿＿＿＿

全部思い出したよ

ありがとう