テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〇〇side・表紙撮影前(クランクアップから3日後)
楽屋の鏡の前。
ヘアメイクに整えてもらいながら、〇〇は小さく深呼吸を繰り返す。
〇〇「クランクアップから、まだ3日しか経ってない……」
青と白の花を手に取り、鏡越しにシルエットを確認する。
〇〇「映画の余韻、全然抜けてないのに……もう表紙と対談か……距離ゼロって……大丈夫かな……」
二ヶ月間の撮影。
笑って、泣いて、ぶつかって。
廉との距離も、役として自然だった。
〇〇「今日は仕事。集中しなきゃ。気まずくなったら意味ないし……」
軽く笑顔を作る。
でも指先が、ほんの少し震えている。
〇〇「昨日の告白……まだ、ちゃんと答えられてないのに……」
深呼吸をひとつ。
女優の顔に切り替える。
――――――
廉side・撮影前(クランクアップから3日後)
別室。鏡の前で衣装を整える廉。
廉「3日か……」
青い花を手に取り、視線を落とす。
廉「〇〇のこと、頭から離れへん……」
雨のシーン。
笑顔。
泣き顔。
廉「落ち着け、俺。今日は表紙と対談。仕事や」
深呼吸。
廉「でも無理はさせたくない……〇〇が笑っていられるように」
肩の力を抜く。
廉「よし」
――――――
スタジオ到着
スタッフ「姫野〇〇さん、入りまーす!」
スタッフ「永瀬廉さん、入りまーす!」
ライトが一斉に点灯。
〇〇「……やっぱり緊張する。でも笑顔、笑顔」
廉「〇〇、大丈夫か?」
〇〇「ああ、準備はできてる」
小さく頷き合う。
――――――
表紙撮影
カメラマン「テイク1、儚く自然に!」
〇〇は花を抱え、ゆっくり呼吸を整える。
廉も隣に立つ。
廉「〇〇、花もう少し上げてみ?」
〇〇「こう?」
カメラマン「いいですね、もう少し距離詰めて!」
肩が触れそうな距離。
〇〇「……近い……」
廉「大丈夫?」
〇〇「うん、仕事だから」
カメラマン「テイク2、自然な笑顔も!」
目が合う。
廉「今日も、綺麗やな……」
〇〇「え?」
廉「いや、花の持ち方な」
〇〇「……びっくりするからやめて」
廉「ごめん」
ほんの少し、空気が柔らぐ。
カメラマン「テイク3、ラスト!」
二人は静かに呼吸を合わせる。
――――――
対談インタビュー
インタビュアー「印象的だったシーンは?」
廉「雨のシーンですね。〇〇と一緒に演じられて特別でした」
〇〇「私もです。廉がリードしてくれたので安心できました」
インタビュアー「お互いを一言で表すと?」
〇〇「優しくて、頼れる」
廉「芯があるし……可愛い」
〇〇「……え?」
廉「役の話やで」
〇〇「……そういうことにしとく」
スタッフ「OKでーす!」
――――――
撮影終了後
スタッフが花束を渡す。
〇〇「ありがとうございます!」
廉「お疲れ、〇〇」
〇〇「あっという間だったね」
廉「せやな」
視線が合う。
少しだけ、静かになる。
――――――
楽屋・二人きり
ドアが閉まる。
〇〇「ふぅ……やっと一段落」
廉「ああ」
沈黙。
〇〇「……ありがとう、花束」
廉「お前も、お疲れ」
〇〇「……昨日のこと」
廉「うん」
〇〇「まだ、答え出せてなくて……」
廉「分かってる」
〇〇「整理したいの。ちゃんと考えたい」
廉「ええよ」
〇〇「……ごめん」
廉「謝らんで」
距離が近い。
廉「俺は急がへん」
〇〇「なんでそんなに落ち着いてるの」
廉「落ち着いてるように見せてるだけや」
一瞬、視線が絡む。
廉「好きやから、待てる」
〇〇「……」
言葉が出ない。
廉は青い花を一本抜く。
廉「これ、持っとき」
〇〇「返事と関係ないよね?」
廉「関係ない。今日の記念」
指先が触れる。
〇〇「……ありがとう」
廉「ちゃんと考えてくれたら、それでええ」
少し距離を取る。
廉「俺、先出るわ」
〇〇「うん」
ドアの前で止まる。
廉「〇〇」
〇〇「なに?」
廉「無理すんな」
〇〇「……廉も」
ドアが閉まる。
静かな楽屋。
〇〇「……どうしたいんだろう、私」
青い花を見つめる。
ーーーーーーーーーーーーー
※2日後。
映画の宣伝期間に入り、クランクアップ後も廉との仕事は多い。
今日は朝の情報番組「ZIP!」に出演。生放送での番宣トークとスタジオインタビューが控えている。
――――――
早朝・テレビ局入り
〇〇side
〇〇「……朝、早すぎる……」
まだ少し眠気が残る中、スタジオ入り。
でも廉と顔を合わせた瞬間、自然と目が覚める。
廉「おはよう」
〇〇「おはよ。早いね」
廉「宣伝期間やからな」
スタッフ「本番5分前です!」
〇〇(心の声)
「生放送……距離近いトークもあるよね。落ち着いて、落ち着いて」
――――――
ZIP!本番
アナウンサー「今話題の映画から、永瀬廉さん、姫野〇〇さんにお越しいただきました!」
拍手。
廉「おはようございます!」
〇〇「おはようございます!!」
アナウンサー「クランクアップされたばかりだそうですね?」
〇〇「はい、まだ5日前で……余韻が抜けていなくて」
廉「現場の空気が恋しいです」
アナウンサー「お二人、とても息が合っていましたよね」
廉「〇〇が合わせてくれたんです」
〇〇「いや、廉が引っ張ってくれました」
アナウンサー「印象的だったシーンは?」
廉「雨のシーンですね。感情が一番動いた場面で」
〇〇「本当に寒かったんですけど、廉がずっと声かけてくれて」
廉「震えてたから」
〇〇「言わなくていいから!」
スタジオに笑いが起きる。
アナウンサー「仲の良さが伝わりますね」
〇〇「仲は……良いです」
廉「良いですよ」
目が合う。
一瞬、静かに笑い合う。
アナウンサー「撮影中の裏話は?」
廉「〇〇、意外と負けず嫌いで」
〇〇「廉こそ完璧主義」
廉「完璧に見せたいだけや」
〇〇「十分完璧だったよ」
一瞬、廉が言葉を失う。
アナウンサー「今の一言、嬉しいですね?」
廉「……はい、嬉しいです」
カメラが寄る。
距離が近い。
〇〇(心の声)
「生放送でそんな顔しないで……」
――――――
エンディング
アナウンサー「それでは最後に、映画の見どころをお願いします!」
廉「はい。映画『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』は、余命一年と宣告された女の子と、そんな彼女を好きになった男の子の物語です。」
〇〇「限られた時間の中で、葛藤しながらもお互いに影響を与え合い、新しい自分を見つけていく、儚くて切ないラブストーリーになっています。」
廉「大切な人を想う気持ちの強さや、笑顔の意味を改めて感じてもらえる作品です。」
〇〇「観終わったあと、きっと誰かに優しくなりたくなると思います。」
廉「映画『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』は――」
〇〇「△月△日から公開予定です。」
廉「ぜひ劇場でご覧ください。」
〇〇「よろしくお願いします。」
二人で軽くお辞儀。
アナウンサー「ありがとうございました!」
本番終了。
――――――
撮影後・スタジオ裏
〇〇「はぁ……緊張した」
廉「全然そんなふうに見えへんかったで」
〇〇「内心バクバク」
廉「俺も」
〇〇「嘘つき」
廉「ほんまやって」
少し笑い合う。
――――――
楽屋
二人きり。
〇〇「朝から距離近かったね」
廉「カメラ寄りすぎや」
〇〇「雨のシーンの話、急に出すから焦った」
廉「思い出すやろ?」
〇〇「……うん」
一瞬、空気が静まる。
廉「今日もこのあと一緒の仕事まだあるな」
〇〇「まだ一緒だね」
廉「嫌?」
〇〇「嫌じゃない」
即答。
廉が少しだけ笑う。
廉「昨日より、ちょっとだけ距離縮まった気する」
〇〇「気のせい///」
廉「そういうことにしとく」
沈黙。
〇〇「……廉」
廉「ん?」
〇〇「宣伝終わっても、こんなふうに話せるかな」
廉は少し驚いた顔をする。
廉「話したいん?」
〇〇「……うん」
廉「そしたら、終わっても話そ」
〇〇「簡単に言うね」
廉「簡単ちゃうで。本気で言ってる」
〇〇は視線を逸らす。
〇〇「ずるい」
廉「またそれ言う」
少し近づく。
廉「返事は急がん。でも」
〇〇「でも?」
廉「俺のこと、ちゃんと見てて」
胸が跳ねる。
〇〇「……///見てるよ」
廉「ならええ」
スタッフ「次の現場、移動お願いしまーす!」
〇〇「はい!」
立ち上がる。
廉「今日も一日長いな」
〇〇「宣伝期間、頑張ろ」
廉「隣におるし」
〇〇「……うん」
楽屋を出る二人。
まだ答えは出ない。
でも朝の光の中で、
二人の距離は確実に少しだけ近づいていた。
ーーーー
#ZIP
#消えゆく君のために僕は笑っていよう
#永瀬廉
#姫野〇〇
・朝から透明感えぐい
・タイトル長いのにもう覚えた
・「消えゆく君のために、僕は笑っていよう」って朝から泣かせにくるやん
・雨のシーンの話出た瞬間スタジオの空気変わったよね?
・廉くんの「特別でした」の言い方やばい
・〇〇ちゃんの「安心して演技できました」優しすぎる
・仲良いですって即答自然すぎない?
・目合わせて笑うのリアルすぎて無理
・あの距離感で生放送は強い
・「十分完璧だったよ」は全国放送で言うセリフじゃない
・廉くん一瞬言葉詰まったよね?
・タイトルと二人の雰囲気合いすぎ
・儚いってこういうことか
・宣伝なのに感情こもりすぎてる
・朝から映画館行きたくなった
・この映画絶対泣く
・青と白の衣装リンクしてたの尊い
・距離近いのに静かな空気なの好き
・余韻抜けてないって言ってたの本当なんだろうな
トレンド入りワード
「消えゆく君のために僕は笑っていよう」
「特別でした」
「十分完璧だったよ」
朝から“儚い恋映画の空気”が全国に流れた回だった。
ーーーーーー
※ZIP出演後。
映画「消えゆく君のために、僕は笑っていよう」宣伝期間中のため、このあとも二人は一緒の現場へ移動。
――――――
移動中・〇〇のマネージャーの車内(後部座席)
後部座席に並んで座る二人。
運転席には〇〇のマネージャー。
〇〇「やっとちょっと落ち着いたね」
廉「朝番組って体力使うな」
〇〇「まだ朝だよ?」
廉「もう一日分働いた気分」
〇〇「分かる」
少し沈黙。
廉「今日、朝何食べた?」
〇〇「え、急に?」
廉「気になる」
〇〇「ヨーグルトとバナナ。時間なかった」
廉「少な」
〇〇「そっちは?」
廉「トーストと目玉焼き」
〇〇「ちゃんとしてる」
廉「朝は食べる派やねん」
〇〇「えらい」
廉「〇〇、絶対撮影終わったら甘いもん食べるやろ」
〇〇「なんで分かるの」
廉「顔に書いてある」
〇〇「書いてない」
廉「書いてる。“チョコ欲しい”って」
〇〇「……ちょっと欲しい」
廉「ほら」
二人で笑う。
〇〇「さっきの“特別でした”はちょっと照れた」
廉「ほんまに特別やったから」
〇〇「朝からああいう顔しないで」
廉「どんな顔」
〇〇「優しい顔」
廉は少し黙る。
廉「〇〇が安心してくれたなら、それでええ」
〇〇「……うん」
マネージャー「もうすぐ到着です」
〇〇「次、恋愛質問攻めだよね」
廉「覚悟しとこ」
〇〇「変なこと言わないでよ」
廉「〇〇もな」
車が止まる。
――――――
次の現場・バラエティ番宣(恋愛質問攻め)
スタジオ入り。
司会者「今日は話題の映画『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』からお二人に来ていただきました!」
拍手。
司会者「今回は恋愛質問攻めスペシャルです!」
〇〇「怖い笑」
廉「なんでも来い」
司会者「まずは、好きになったら自分から行くタイプ?」
廉「行きます」
〇〇「え、即答」
廉「後悔したくないから」
司会者「〇〇ちゃんは?」
〇〇「考えてタイプ」
司会者「慎重派?」
〇〇「たぶん」
廉「めっちゃ考えるやろ」
〇〇「うるさい」
笑い。
司会者「理想のデートは?」
廉「自然なとこ。散歩とか」
〇〇「いいね」
司会者「〇〇ちゃんは?」
〇〇「映画館とか」
廉「俺らの映画観に行く?」
〇〇「自分で言う?」
司会者「お互いにドキッとした瞬間は?」
〇〇「え?」
廉「あるやろ」
〇〇「……雨のシーン」
スタジオ「おお〜!」
廉「俺も」
司会者「それは役として?それとも……?」
〇〇「役としてです!」
廉「役としてやな!!ありたりまえに」
目が合う。
司会者「相手のここが好きだなと思うところは?」
廉「芯が強いとこ。あと笑った顔」
〇〇「……優しいとこ」
司会者「優しいってよく言いますよね」
〇〇「現場で本当に支えてくれました」
廉「〇〇も支えてくれた」
司会者「もし余命一年と言われたら、どうしますか?」
スタジオが少し静かになる。
廉「後悔せんように、好きな人とちゃんと向き合う」
〇〇「私は……笑っていたい。周りが心配しないように」
司会者「まさに映画の世界観ですね」
廉「この映画は、余命一年と宣告された女の子と、彼女を好きになった男の子の物語です」
〇〇「限られた時間の中で葛藤しながら、新しい自分を見つけていく儚く切ないラブストーリーです」
廉「『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』は△月△日から公開予定です」
〇〇「ぜひ劇場でご覧ください」
拍手。
――――――
収録後・楽屋
〇〇「疲れた……」
廉「恋愛質問攻めえぐいな」
〇〇「即答しすぎ」
廉「ほんまのことやし」
〇〇「ドキッとした瞬間とか言わせないでほしい」
廉「ほんまに雨のシーンやった?」
〇〇「……うん」
廉「俺もや」
少し静かになる。
〇〇「さっきの“好きな人と向き合う”って、本音?」
廉「……本音」
〇〇は視線を落とす。
〇〇「今日も一日長いね」
廉「でも隣おるやろ」
〇〇「……そうだね」
廉「宣伝期間、最後まで一緒に走ろ」
〇〇「うん」
答えはまだ出ない。
でも一緒にいる時間は、確実に増えていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
映画「消えゆく君のために、僕は笑っていよう」
怒涛の宣伝期間が、ついに今日で終わる。
朝の情報番組、雑誌の表紙、バラエティ、舞台挨拶。
毎日のように並んで立ち、同じ質問に答え、同じ笑顔を向けてきた。
そして最後の仕事は――
オールナイトニッポン 生放送。
今回限りの特別回。
主演の〇〇と廉が2時間、番組を回す。
深夜0時。
スタジオ前の静かな廊下。
【収録前】
〇〇「夜のラジオって独特の空気あるよね」
廉「ちょっと秘密基地感ある」
〇〇「分かる。昼とは違う」
廉「今日で最後か」
〇〇「うん」
廉「寂しい?」
〇〇「……ちょっとね」
廉「俺も」
〇〇「毎日一緒にいたもんね」
廉「朝から晩まで」
スタッフ「本番1分前です」
廉「急に心臓うるさい」
〇〇「大丈夫。噛んだら私がフォローする」
廉「頼もしいな」
赤いランプが点灯。
――――――
【オールナイトニッポン 生放送】
ジングル。
廉「こんばんは!オールナイトニッポン、映画『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』公開記念スペシャル!」
〇〇「パーソナリティを務めます、姫野〇〇です」
廉「永瀬廉です!」
〇〇「ついに宣伝最終日です」
廉「ほんまに走り抜けました!」
〇〇「毎日同じ作品について話してきたけど、毎回少しずつ感じ方が変わって」
廉「映画って不思議やな」
――メール紹介――
〇〇「ラジオネーム“笑顔の理由”さん。“お互いの好きなところを3つずつ教えてください”」
廉「急やな」
〇〇「逃げないで」
廉「……まず、芯が強い」
〇〇「1つ目」
廉「2つ目、現場で絶対弱音吐かへん」
〇〇「……」
廉「3つ目、笑うと一気に空気変わる」
〇〇「……ありがとう」
廉「〇〇は?」
〇〇「真面目」
廉「それだけ?」
〇〇「優しい」
廉「2個目」
〇〇「人のことよく見てる」
廉「……それ、嬉しいな」
スタジオに柔らかい空気が流れる。
――恋愛質問コーナー――
〇〇「“理想の恋愛は?”」
廉「隣におるだけで落ち着く人」
〇〇「シンプルだね」
廉「〇〇は?」
〇〇「無理しなくていい関係」
廉「……それやな」
〇〇「え?」
廉「この映画やってから、背伸びする恋愛ってしんどいなって思った」
〇〇「役が影響してる?」
廉「うん。限られた時間の中で、強がる必要ないやんって」
〇〇「……」
廉は一瞬、言葉を探す。
廉「大切な人が笑っててくれたら、それでええなって」
〇〇「役と重なるね」
廉「重なる」
――メール――
〇〇「“キュンとする瞬間は?”」
廉「ふとした時に名前呼ばれるとき」
〇〇「単純」
廉「単純でええねん」
〇〇「私は、不意に優しくされたとき」
廉「今日何回かあったやん」
〇〇「自分で言う?」
廉「いや、ほんまに」
〇〇「…黙れ笑…」
少し照れた空気。
――裏話トーク――
廉「告白シーン、実はテストのとき俺セリフ飛ばして」
〇〇「止まったよね」
廉「頭真っ白」
〇〇「私、小声で“セリフ”って」
廉「助けられました」
〇〇「でもあの沈黙が逆にリアルで、そのまま採用された」
廉「あの瞬間、ほんまに失うのが怖いって思った」
〇〇「……」
廉「役としてやけど」
少し笑ってごまかす。
――さらに恋愛質問――
〇〇「“好きな人ができたら自分からいきますか?”」
廉「いく」
〇〇「即答」
廉「後悔したくない」
〇〇「かっこいいね」
廉「〇〇は?」
〇〇「……様子見る」
廉「慎重派やな」
〇〇「失うの怖い」
廉「……」
廉は一瞬黙る。
廉「でも、言わなかったら伝わらへんで」
〇〇「分かってるよ」
廉の胸の奥が、少しだけざわつく。
廉side
宣伝期間。
毎日隣にいた。
笑って、ふざけて、真面目に語って。
役の延長なのか、本心なのか。
自分でも分からなくなる瞬間があった。
触れそうで触れない距離。
近いのに、越えない一線。
今日で、それも終わる。
廉「……」
〇〇「どうしたの?」
廉「いや、なんでもない」
言葉は飲み込む。
――終盤――
廉「改めて、映画『消えゆく君のために、僕は笑っていよう』は」
〇〇「余命一年の女の子を好きになる男の子の物語です」
廉「さまざまな葛藤の中で、新しい自分を見つけていく」
〇〇「儚く切ないラブストーリー」
廉「△月△日から公開予定です」
〇〇「ぜひ劇場でご覧ください」
廉「大切な人と観てほしいです」
ジングル。
赤いランプが消える。
――――――
【収録後】
静かなスタジオ。
〇〇「終わったね」
廉「ほんまに終わった」
〇〇「寂しい?」
廉「……うん」
〇〇「私も」
廊下を並んで歩く。
廉(心の声)
この距離が当たり前じゃなくなる。
また別々の現場。
別々の時間。
廉「また共演しよ」
〇〇「うん」
廉「約束な」
〇〇「約束」
笑い合う。
宣伝最終日。
深夜のラジオは、静かに幕を閉じた。
ーーーーーーーー
〇〇side
オールナイトニッポンが終わった。
赤いランプが消えた瞬間、スタジオの空気がふっと緩む。
さっきまであんなに笑っていたのに、急に静かになる深夜の廊下。
廉「終わったな」
私は笑ってうなずいた。
〇〇「うん。ほんとに終わっちゃったね」
“宣伝最終日”。
その言葉が、思ったよりも重い。
毎日のように一緒にいて、
朝も夜も隣にいて、
同じ作品を語って、同じ未来を見ていた時間。
それが、今日で一区切り。
エレベーターを待つ時間。
廉はいつも通りで、少し優しくて、少しだけ距離を保っている。
あの告白の日から、廉は変わらない。
急かさない。
責めない。
でも、気持ちは隠さない。
廉「寒ない?」
〇〇「大丈夫」
廉「送ろか?」
〇〇「マネージャーいるから平気」
廉「そっか」
ほんの数秒の沈黙。
その沈黙が、前より重く感じる。
前はただの“共演者”だった。
今は違う。
好きだと言われた相手。
エレベーターが開く。
乗り込んで、並んで立つ。
狭い空間。
距離は近いのに、触れない。
廉「今日、楽しかった」
〇〇「うん。私も」
廉「最後がラジオでよかった」
〇〇「なんで?」
廉「素で話せた気がするから」
胸が少し揺れる。
あれは“仕事”だったはずなのに。
でも確かに、どこか本音が混ざっていた。
好きなところを3つ。
理想の恋愛。
好きな人が余命一年だったら。
あの質問のときの、廉の目。
「一緒におる」
迷いがなかった。
私は、迷っているのに。
エレベーターが1階に着く。
外は冷たい夜の空気。
廉「じゃあ、またな」
〇〇「うん!ばいばい」
一歩、離れる。
その瞬間。
胸が、きゅっと締まる。
あれ?
こんな感覚、前からあったっけ。
車に乗り込む。
マネージャー「お疲れさま。ラジオよかった」
〇〇「ほんと?」
マネージャー「素だった」
“素”。
窓の外の夜景が流れていく。
頭の中に、廉の声が残る。
『待つ』
『好きなままやから』
『急がんでええ』
どうしてそんなに優しいの。
優しくされるたび、迷いが増えていく。
私はずっと、仕事が一番だった。
大好きな仕事。
ここまで来るのに、どれだけ積み重ねてきたか分かってる。
恋愛で揺れて、集中できなくなるのが怖い。
周りに迷惑をかけるのも嫌。
でも。
今日、エレベーターで離れた瞬間。
ほんの少しだけ。
「もっと話したい」って思った。
それはもう、仕事の感情じゃない気がする。
スマホが震える。
廉
「ちゃんと帰れよ」
短いメッセージ。
私は数秒見つめて、返信する。
〇〇
「子供じゃないです」
すぐに返ってくる。
廉
「知ってる」
その二文字に、笑ってしまう。
なんでこんなに安心するんだろう。
もし、私が好きになったら。
きっと簡単には戻れない。
でも。
もう、少しだけ。
ほんの少しだけ。
戻れない場所に、足を踏み入れてる気がする。
車の窓に映る自分の顔。
ほんのり、柔らかい。
〇〇(心の声)
整理したいって言った。
ちゃんと向き合いたいって。
それは嘘じゃない。
でも。
“好きになりたくない”って思ってる時点で、もう遅いのかもしれない。
宣伝は終わった。
でも。
私の中の何かは、始まってしまっている。