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君は、雨の日だけ俺に優しい。
だから俺は、今日も天気予報を見ては「降れ」と願うバカだ。
放課後の廊下で、君はいつものように俺の前を通り過ぎる。
視線すら向けない。昨日までは笑ってくれたのに、今日は知らない男と腕を組んでいた。
胸の奥が、ぐしゃぐしゃに潰れる音がした。
それでも俺は、君の後ろ姿を追ってしまう。
「やめろよ」
自分の中のどこかが止めるけど、足だけが勝手に動いた。
階段の陰で、君はその男に言う。
「アイツ?あ〜、ただの都合いいおもちゃ。雨の日だけ送らせてるだけ」
わざと聞かせたみたいに、よく通る声で。
喉の奥が熱くなる。
笑われてる。利用されてる。
全部わかってるのに…。
それでも。
俺は今日も傘を持って、君の家の前で待ってしまうバカだ。
夜、スマホが震える。
《迎えに来て》
一言だけのメッセージ。
心が勝手に跳ねあがる。
君が俺を必要としてくれている気がして。
でも会った瞬間、君は言う。
「ねぇ、明日も送ってよ。他の人に雨のなか歩かされたらムカつくじゃん」
俺を見てるようで、全然見ていない目。
それでも笑ってしまう俺は、本当に終わってる。
帰り道、君は少し肩を預けてくる。
その重さだけで幸せになれる俺は、もっと終わってる。
雨脚が強くなるたび、君は俺に寄りかかり、
俺は君に溺れていく。
君はクズで、俺はバカ。
だけどそれが噛み合うたび、世界が壊れていく音がする。
止めたいのに、止められない。
だって君が求めているのは、
従うだけの俺 だから。
そして俺が求めているのは、
利用されてもいいから、そばにいる君 だから。
どちらかが壊れるその日まで、
この関係は続いてしまう。