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於田縫紀
しめさば
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森のドラゴン討伐から数日後。ユウキたち四人は、街の中心広場に立っていた。
「うわ……すごい人だ」
ミリアが目を丸くする。
広場には、村人や冒険者、商人たちが集まり、ユウキの姿を一目見ようと押し寄せていたのだ。
「ドラゴンを討った新米魔剣士だって!」
「黒い剣、かっこいいな!」
「街の英雄だって噂になってるぞ!」
噂は瞬く間に広まり、街は祭りのような熱気に包まれていた。
ユウキは少し戸惑った。
(え……俺、まだ新人なんですけど……)
レイナが肩に手を置き、笑顔で言った。
「気にするなって。これが英雄のリアルってやつだ」
カイルは弓を背にしながら冷静にうなずく。
「でも……早すぎる評価も怖いな」
ミリアは元気よく手を叩く。
「いいじゃん!ユウキくん、みんなに愛されてる〜!」
街の人々は次々と声をかけてくる。
「魔剣士さーん、握手してください!」
「ユウキ様、写真撮ってもいいですか?」
ユウキは少し照れながらも、できる限り応える。
「はい……ありがとうございます」
その時、ギルドマスターが広場に現れた。
「ユウキ殿、君の活躍は街中に知れ渡っている」
ユウキは立ちすくむ。
「これは……」
マスターはにっこり笑い、周囲を見渡す。
「正式に冒険者ランクを認定する。君は……」
人々の期待の目がユウキに注がれる。
「え、新人が……昇格?」
「Aランク!?」
マスターはゆっくりと告げた。
「Sランクはまだ早い。しかし、Aランク冒険者として認定する」
歓声が広場に湧き上がる。
「やった!Aランクだ!」
ユウキは顔を赤らめ、深く頭を下げた。
「ありがとうございます……まだまだ未熟ですが、精一杯頑張ります」
レイナは肩に手を置き、ささやいた。
「でもこれで終わりじゃない。これからもっと厳しい世界が待ってる」
ユウキは剣を握り直し、心の中で決意する。
「わかっています……でも、頑張ります」
広場のざわめきの中、子供たちが駆け寄ってきた。
「魔剣士さーん!サインください!」
「かっこいい〜!」
ユウキは微笑みながら剣の柄に手をかけ、サインを描く。
その瞬間、グラムの声が頭の中で響いた。
『主よ、これはまだ序章だ』
「序章……?」
『力はまだ完全ではない』
ユウキは剣を強く握る。
「もっと強くなる……必ず」
その夜、四人はギルドに戻り、次の任務に向けて情報を整理していた。
「ドラゴンは単独だった……だが」
カイルが地図を指差しながら言う。
「近くの山岳地帯に、魔物の目撃情報が増えている」
レイナは眉をひそめた。
「単独じゃない……集団かもしれない」
ミリアは杖を握りながら興奮気味に言う。
「次はもっと強いやつが来るのかな?」
ユウキは窓の外の月を見つめる。
「……どんな敵でも、俺は仲間と戦う」
そこへギルドマスターが入ってきた。
「ユウキ、近いうちに重要任務が来る」
「任務……」
「近隣の王国との合同討伐だ」
「合同……」
ユウキの心臓が高鳴る。
(まだ新人だけど、やるしかない……)
夜、ユウキは自室で剣を手に取り、静かに呟いた。
「これが俺の冒険……始まりなんだ」
グラムが静かに応える。
『主よ、力を磨け。真の魔剣士になるために』
ユウキは力強く頷く。
「はい……必ず強くなる」
外では夜風が吹き、星が瞬いていた。
落ちこぼれだった高校生が、異世界で最初の一歩を踏み出し、
その名は街中に知れ渡った。
だが――
英雄として迎えられた少年を待つのは、さらなる試練と未知の敵。
ユウキはまだ知らなかった。
彼の冒険は、ここから本当の戦いへと突入していくことを。