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もうすぐ大阪に着く新幹線内で通知で目が覚める。仁人からの連絡で珍しいななんて思いなが開けばそこには。
『佐野さん、いままでありがとうございました。これからはただのメンバーに戻りましょ。本当に大切な人と幸せになってください』
「は?」
なん、こいつ。いきなり。意味わかんねぇこと送ってきてんの?
送り間違えかなんて思ったが佐野さんと打たれてるから俺宛で間違いはないっぽい。
それとともに仁人のヒートを知らせる通知も届く。
仁人には言ってないが仁人の二十歳の誕生日にやったチョーカーにはヒート通知機能やその他、多機能が備わっている。
「ウマネ、仁人ヒートきたっぽいけどマネからなんか連絡きてっか?」
「え?仁人くん?きてないけど…」
変なメールに、ヒートの連絡はなし。
考えれる仁人の行動なんてお見通しで。
「あー東京戻るわ」
「えっ!…いや、ま、そうだよねぇ…」
5日間の前2日間は前乗りの為撮影に影響はない。
ちょっとウマネと観光でもするかーと話てはいたけど仁人がヒートならそれどころじゃねぇ。
「ウマネは残っとけ。二人帰んのもったいねぇし。俺の分まで観光しといて」
「うん。撮影無理そうだったら早めに連絡してね」
「おう」
大阪に着いて早々、チケットを取り反対ホームの新幹線に乗り込み、東京に着き仁人の家に急ぐ。
どうせ、チャイムを鳴らしても意味がないと思いながら合鍵を使い家に入る。
「じんと?」
静寂の家に鼓動が早まる。
家の中をぐるっと見て回っても仁人がいない。
「はっ?なんで?どっかで?いや、んなわけ…」
屋外でヒートを発症して知らないアルファになんて嫌な想像が頭を駆け巡り嗚咽する。
想像を振り払うかのように頭を振って考える。
仁人が行きそうな別の場所…
「あっ」
一縷の望みを掛け走る。なんなら、そこに居てくれないと俺は多分俺で居られない。
自分の家の玄関の前に立ち、大きく深呼吸を繰り返す。
自分を落ち着かせる為に。
玄関のドアノブに手をかけゆっくりと引くと開くドアに安堵する。仁人がいる。
そこから溢れ出す仁人フェロモンに「抱きたい」というアルファの欲が引き出される。
玄関を後ろ手に閉め、再度深呼吸を繰り返し手元にあった抑制剤を口に押し込む。
仁人のためにも、俺のためにも。
落ち着きを取り戻したタイミングでもっとも香りの強い寝室に向かう。そこには。
「…ゃと……は、やと…はやと」
俺の名前を呼びながら俺の服に突っ伏し欲を吐き出す仁人がいた。
「どした?仁人」
「っぅえ…」
びっくりして大きな目をまん丸に見開いた後俺に抱きつく仁人。
「仁人、巣作ったん?」
「…?」
オメガが本能的に作り出す巣。
それは恋している相手または番のアルファが対象だと昔聞いた事がある。
でも俺は仁人の番にはなってない。まだ。
となると。
「無意識でこれかよ…」
嬉しいような歯がゆいような。
あーもういっそのこと番ってやろうか。
いや、仁人の気持ちんが大事だ。
「仁人、俺の事好きか?」
「すき……」
しゃがんでへたれこんだ仁人に目線を合わせ問う。
欲しい言葉をくれと願いながら。
「…じゃない」
落胆とともに覚える苛立ち。
「…チッ、巣作りまでしといて、ほんと、こいつ」
こいつの答えなんて待ってたら一生このままな気がする。
「仁人が素直になるまで手出すつもりなかったけどやめたわ」
もう、待つのはやめる。
なぁ、仁人。俺もやめるからさ。お前もいい加減素直になれや。
「_______」
「言われなくても」