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嫌いなやつと同居【リメイク版】
母「赤。ちょっと、話があるの」


赤「……なに?」


母の声色は、いつもと違って真剣だった。

だから俺も、思わず真顔になる。

そして――


母「お母さんの友達の息子さんたちと、同居してほしいの」


赤「……はああああああ!?!?!?」


 



俺の名前は赤。

今、人生最大級のピンチに直面している。


 


「自立して一人暮らししたいって、赤が言ったんでしょ?」


「う、うん……それは、そうだけど」


「でも一人は心配なの。だからそのことを、友達に相談したの。そしたら――」


“私も、ちょうどそれで悩んでたのよ”って、言われたらしい。


で、何を思ったか、そのまま話がトントン拍子に進んで、結果。


 


「赤をそこの家に住まわせることになったの!」


「“なったの”じゃねぇよ!!」


 


俺が、どれだけ他人と関わるのが嫌いか知ってるだろう。


俺は――

人が嫌いだ。


昔、いじめられてた。

理由は簡単だった。

俺に、耳としっぽがあるから。

それだけで、キモイって言われて、殴られて、笑われて。


だから俺は、人なんて信じない。

関わらない。

それが一番、楽だから。


 


「でも……赤が一人きりでいるのも、心配なのよ」


「……お母さん」


 


「お願い……!」


母の声が震えた。

こんなふうに強く、必死に言われたのは初めてだった。


「赤は……赤は知ってるでしょ? お母さんの病気」


 


――そう。母は、重い病気を患っている。


その現実から逃げた父は、家を出ていった。


 


「お願い。赤……。今のうちに、誰かと繋がっていて欲しいの」


 


……母の願いを、無視なんてできない。


 


「……わかったよ」


 


こうして――

俺の地獄の同居生活が、始まった。


 



それから、約一ヶ月後。


俺は新しい“家”の前に立っていた。


 


「はぁ……最悪」


玄関のドアに手をかける。

重たく感じるのは、きっと気のせいじゃない。


 


――ガチャ。


 


開けた瞬間。


「おおー!来た!」


「君が赤?」


「こんにちはっ!」


 


3人の男子が、走ってこっちへやってきた。


元気よく、笑顔で、しかもいきなり呼び捨て。


 


(……一番嫌いなタイプ)


 


「えっ……今なんか言った?」


「赤くん……?」


「なんかボソッて言ってたよな?」


 


コソコソと話し出す3人。


聞こえてないとでも思ってんのか。

耳、ついてんだけど。――2つも。


 


「邪魔。どいて」


「えっ?」


「通れないんだけど」


 


ピシャリと言い放って、俺は部屋の中へ足を踏み入れた。


 


(母さんのために来ただけ。仲良くなんて、する気ない)


 


それが俺の、同居生活のはじまりだった。


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