カメラを持って行かなかったから、帰って来て、向井はソファに座る。渡辺がすぐ横に座り、俯いて小さな声で言う。
渡辺ー康二、膝貸して。寝る。
向井ーう、うん。
渡辺ー2時間で起こして?
向井ー分かった。
向井のウエストに腕を回し膝に頭を乗せて眠る。
向井は優しく頭を撫でる。
アルバム曲を聴きながら、渡辺は眠っている。
向井は小さく唄っている。
嬉しい。
渡辺が膝で眠っていることが。
手も繋いだし。身体を寄せ合い歩いたし。
向井ー今日は幸せな日や。翔太くんと手繋いで散歩して、コーヒー飲んで、今、膝で寝とる。
独り言を呟く。
2時間と言わず、朝まで一緒にいたい。だが、今はまだ無理。
渡辺を抱きしめてキスをするのは、まだまだ先になりそうだ。
向井ーはい。
目黒ー翔太くんは?
向井ー俺の膝で寝とる。
目黒ー良かったな。
向井ーん、名古屋では、ちゃんとユニット唄えるわ。
目黒ー明日からもう、休みないだろ?
向井ーん、リハも頑張る。
目黒ー翔太くん、起きたらマズイから切るね。
向井ーありがとう。
電話を切ると、回した腕が強くなり頭がふるふると動く。
向井ーごめんな、起こしたか?
渡辺ー目黒?
向井ーずっと心配してくれてる。
渡辺ー康二、コーヒー。
向井ーん、淹れてくる。
甘えたさんの声で「こうじぃ〜」と呼ばれたい。
まだ無理なんだろうか?
寂しい思いをしながらコーヒーを淹れる。
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