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「おい、瑠奈。余計なこと言うなって!」
「あ、はい」
「でもどうして私の顔に傷がなかったのかしら?」
――そういえば私も幼い頃、「お兄ちゃん、小さい頃、瑠奈と一緒に遊んでくれたでしょ?」
「そんな記憶ないぞ」
――あれ?じゃあ、あれは誰だろ? その時、「きゃあああ!!!!」
瑠奈が大声で叫んだ。瑠奈が悲鳴を上げた。すると背後に蛇があらわれた。兄を食べたと言われる蛇だ。
「な、なによこいつ! きゃあっ!」
瑠奈に襲いかかってきた。瑠奈は反射的に手を払いのけた。
その拍子に瑠奈は尻餅をついてしまう。
「痛いっ! く、来るな! このぉ! わ、私を食べても美味しくないぞ! た、助けてぇ! お兄ちゃん! 助けてよぅ……」
――あの時私は蛇を殴り飛ばしたんだ。そのせいで蛇は怒って私を……。
「お兄ちゃん……! お兄ちゃん!!」
「おい瑠奈!!落ち着け! お前は蛇なんか殴っていないだろう!!」
「え? どういうこと? 私が蛇をぶん殴ったって? 嘘だよ!嘘だ嘘だ!!」
――違う。「ち、違います。これは私の意思じゃないんです。お兄ちゃんに言われたから私はそうやって……」
――嘘をついてるのは私の方なんだ。
「私は……ずっと自分のことを悪い奴だと思い込んでいました。だってそうすれば、お兄ちゃんが褒めてくれると思って」
「瑠奈……」
「本当はお兄ちゃんを殺したくなかった。殺したくなかったのに、なのにお兄ちゃんが死んでしまって」
「お前が殺したんじゃない。俺が殺した」
「でもあの時は、まだ生きていたんですよ」
――嘘つきなのは……私の方だ。だから私は兄が死んだなんて言えなかったのだ。
兄の死を隠したのは罪の意識から逃れたかったからだ。
兄に罪を擦り付けてしまったから。
兄を守れなかったから。私は自分を守るために兄に罪を着せたんだ。
私は悪くないって思いたいがために。瑠奈は泣いた。そして兄の胸に抱きついた。
――兄さん。私は……自分が嫌いです……兄さんのことも……自分のことすら愛せなくなってしまったから。
――ごめんなさい。
――本当に、
――申し訳ありません。………………………………。
兄は私を守ってくれました。私が悪いんだ。私が全部悪いんだ。
何もできなかったのは私だったんだ。お兄ちゃんは悪くない。お兄ちゃんは何も悪くないのに。私が殺してしまった。お兄ちゃんが生き返ってくれたら
……どんなに良いか。そんなのは夢だ。叶わない願いだとわかっている。
「泣くな。瑠奈よ。ラバウルマンがついているぞ。
わしがお前を守ってやるぞ」
祖父の声が聞こえる。しかし瑠奈の視界は歪んでいたので祖父の姿を捉えることができなかった。
ただ祖父の足音だけが聞こえてきた。瑠奈の身体はガタガタと震えていた。
祖父はゆっくりと近づき、瑠奈を優しく抱きしめてくれた。そのぬくもりを感じながらも、心は冷えていくばかりであった。
(あとがき)最後まで読んでくださりありがとうございます。もし気に入っていただければ、感想・レビューなど頂けると幸いです。よろしくお願いします。
さて、本編では、主人公の女の子の過去について、少しずつ明かされていきます。
ちなみに、この物語の舞台となるのは現代の日本なのですが、主人公は実はパラレルワールドの住人です。
ですから、現代日本の描写については、多少間違っている可能性があります。
あと本作はフィクションですが、実在する人物名(人名を含む)が登場します。実在の人物とは関係ないので、悪しからず。