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🐉side
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眠れない夜、俺はベランダでタバコを吹かせていた。煙がふわりと舞って消えていく。今日はなんだか何もかも上手くいかなかった。もっと上手くやらなきゃ。失望されないように、もっともっと。考えすぎて眠れない。朝が来るのが怖い。また明日も上手くいかなかったとしたら、俺はどうなってしまうのだろうか。無意識に俺はたっぴょんに電話をかけていた。
「どーした?」
低くて重たい声。だけど優しく包み込んでくれる声。
「今どこ」
「外。なんかあった?」
「……いや、別に」
何かあったというのは、なんだか面倒臭いヤツになっちゃいそうだと思った。何もない、と言ってもどっちにしろ嘘になってしまうのは決まっていた。
「ジヨン、今どこ」
「家だよ」
「……ちょっと待ってろ。」
そう言って電話を切られた。「待ってろ」なんて言うし、あいつの事なんだから今から絶対家に来る。そーゆーとこあるから俺がいつまでもお前に引っ付くんでしょ?自覚ないのかな。
なんて、夜空を眺めながら淡い期待をした。
静かな夜にエンジン音が響いた。どうやら車まで出してやってきたようだ。窓から手を出して、ひらひら振って見せた。やっぱり俺の期待を裏切らない。俺は急いで家から出て車に乗り込んだ。
「たっぴょん来てくれたの?」
「ジヨンがこんな時間に電話することなんかあんま無いし……」
なんて照れ隠しなんだか分かんないけど車を走らせた。いつも音楽が車を揺らしているのに、今日は静かだ。
風の音、手がハンドルに擦れる音、早く動く夜景。なんか今まで寝れなかったのに、不思議とまぶたがゆっくり、落ちていった。
目が覚めると運転席にはたっぴょんはいなかった。暗くて、ぽつんと1人になってしまったみたいだ。そう思ったらドアが勢いよく開いた。びっくりして肩がヒュンと上がった。
「ちょっとは寝れた?…これ」
寝れていなかったのは、どうやら勘づかれていたようだ。なんだか見透かされてるみたいで、ムカついた。差し出されたのはコンビニで買ったであろうあったかいレモンティーだった。
「ここ景色綺麗なんだ。ジヨンに見せたくて。降りなよ」
「うん。色々さ、ありがとう。」
「………ぁ、うん」
たっぴょんの左手にはアイスのブラックコーヒーがあった。
少し歩くとひらけた場所にきた。なんだか空が近くて掴めそうだ。建物のあかりが星みたいにキラキラ光って見えた。ライブでみるペンライトの光みたいに。まあ、深夜に見ると、そこまで多くは感じないが。こんなに大きな街に暮らす、Gdragonというアーティスト。それは、とてもちっぽけである。世界に知れ渡ったからと言って、一人の人間なのだ。自己嫌悪に浸る日もあるし、上手くいく日もいかない日もある。もちろん老いるし、いつかは朽ちる。
「たっぴょん、俺いなくなったらどうする?」
「いなくならないだろ。ずっとそばに居るし。」
なんだか嬉しいような、寂しいようなそんな気がした。“ずっと”なんて言葉は嫌いだ。それは、絶対ではなく永遠なのだから。
買った飲み物飲みながら、話した。これからの事とか、今のこととか。
だんだん辺りが太陽の光に照らされて、鳥が一斉に鳴いた。そして、夜空と朝の光をかき分けるように飛び立った。ふわりと昔の俺らを思い出した。風が少し冷たくて、肩を竦めた。たっぴょんは優しく、上着をかけてくれた。
「ずるい、そーゆーの」
「なんで?」
「離れらんないじゃん」
たっぴょんは何も言わず目を細めた。
「……そろそろ戻ろう」
俺の家に着いた頃にはすっかり朝になっていた。たっぴょんとなら、寝れない夜、あってもいいや。なんて言おうとした言葉は、風でまう葉と一緒に落っこちた。いいんだそれで。
「ありがとう」
そう言って背を向け家に戻った。
家に帰ると1件の通知があった。たっぴょんからだった。
『また寝れなかったら、電話しろよ』