闇市場に来たギャンがなにか目に止まるものを見たらしい
だお総愛され
どこからか微かに聞こえてくる幼子の声は、大声で汚く笑う成金達の声量に掻き消されている
普段聞くことのない桁の高い数字の数を叫び競い合っている声もよく耳に通る…この不愉快極まりないこの場は違法な薬や怪しい宝石を取引している、いわゆる闇市場だ。
(…普段はこんなとこ来ない…いや、来たくないのだが、まぁウチの領土を拡げるためだ、致し方ない)
そんなとろに足を運んでいた名高いギャング…餡ブレラのボスであるアルフォート・ウェスカーはひとつため息をついた。
この市場はどこか血生臭い…いつもは人身売買でもしているのだろう、穴を求めたクソ野郎か特殊性癖でも持っていない限り、こんな所に好んでくる者はあまり居ない。
面倒くさそうな表情で足を組んでいる彼の隣には、護衛替わりとしてウェスカーの隣に立たせられていた有坂。眠いのか3分に1度あくびをかいている
(終わったらオーナーの所まで行って…それから__…そうだな、スプレーやるか薬売りにいくか…)
ウェスカーはこの後の予定を頭の中で組み立てていると、とうとう最後の商品が出される時間になったようだ、周りが一気に騒がしくなり始めた。
「さぁさぁ!とうとう最後の目玉商品!
__こちら、今を輝く有能警察官!青井らだおの闇ボイスが主録されている録音機でございます!」
赤いテーブルクロスの上に置かれた録音機と自称されているスマホ、その画面に浮き上がっている1列の文…「らだおボイス」それだけ、たったそのひとつだけで、一気に会場が湧き上がった。
青井らだおのボイスなんて存在したのかと驚愕して目を見開いて驚いている者や、偽物だとコソコソ隣の客とお話している者が大半の中、ウェスカーは口元に手を当てなにか考え込んでいる。
「…今あの司会者、青井って言いました?」
「あぁ、確かにそう言っていた」
「闇ボイスって、成瀬力二が売ってるやつですよね?らだおくんのあるんだ」
「…いや、非売品じゃないか?」
らだおにボイスを取らせるだけ撮らせ、成瀬が自分の懐にしまったのか…それともらだおの日常会話を録音したものか、ウェスカーはそのどちらかが正解と考え非売品だと判断した。とても単純で、最も可能があると言えるだろう
「どうします?潰しますかここ、これが高値で売れたら、いずれ彼も売りに出されそうじゃないですか?」
「…いや、まだ潰す時ではない。あのボイスは私達で保護しよう」
「?、…一体どうして?ここ潰してアレを奪い取れば、金もかからないし早いでしょう」
「__…私も彼のボイスについて気になるし…そうだな、もしらだおくんが市場に出されても私がヒーローのように助ければ…__ 」
ウェスカーは悪巧みを考えるような表情でなにかを呟き始めた、当たり前によからぬ事でも考えているんだろう。そんなボスの横顔を見た有坂はため息をついて、少し自分にも分けて貰えないかな、なんてウェスカーと似たような事を考え始める。
そうこうしている内に、どうやら最後の取引が始まるようだ。
「さぁ!この闇ボイス、八千万からスタートです!」
「九千万!」
「9500万」
「1億!!」
「一億一千万!!」
値段が上がりにあがり続け、とうとう2億ピッタリで人の声がしなくなってしまった…とうとう落札かと司会者がマイクを口元まで持ち上げようとすると、1度聞けば印象に残ってしまうような渋い声が客席の真ん中から会場中に響いた。
「3億」
「さささっ、さんおく?!ほっ、ほかに出されるお客様はおりますか!」
「…あの男…さっきからずっと居たのか」
「気配を隠すのが上手いですね」
あの3億の男は多分、というか確実にMOZUのボスであるヴァン ダーマーだ。
彼もこの市場がある敷地を狙っているのだろう…いずれかここを賭けた抗争でも起きそうだとウェスカーは少し悪寒を感じたが、今はそんな事考えている暇は無い、ヴァンダーマーより高値を出さねば彼の元にらだおボイスが届いてしまう。
「三億五千万」
「…4億」
「四億五千万!」
「…」
四億五千万でとうとうヴァンダーマーの口から数字が聞こえなくなった、ウェスカーは勝ち誇ったような表情で司会者の落札という言葉を待っていると、またもや聞き覚えのあるカタコトに遮られた。
「5億!」
「ご、ごおく…?!…あっ、5億出ました!さぁ5億以上の方h
「…5億五千」
「6億!」
「…ッ六億四千!!」
5億の男は…あの負けず嫌いそうな様子から見るに、ALLINのボスのMon Dであろう。
ロスサントスの三強とも謳われるギャングのボスが3人集まるのがこの血と汗臭い闇市場だとは
そのうえ彼らが負けじと競っているものは、たった1人の男の、一言二言だけであろう声なのは…そこらの一般市民が聞いたら驚くだろう。
「6億よん千5百!!」
「6億__…」
「ボス、あの人10億は積む気なんじゃないですか?無謀でしょう、この前抗争して金銭的に余裕はあんまりないんですから…」
「…いやだ!ほしい!!らだおくんのボイスほしいのーー!!!」
「……」
まるでスーパーで菓子をねだる小2男児のようだ、まさか大の大人…しかもギャングのボスがここまで駄々をこねることあるのかと有坂は呆れて説得すら諦めようとしている。
…お金の積み合いは中々終わらないが、ウェスカーは苦しげな表情である…6億積んでも涼し気な表情のMon Dの勝ちか、そう会場にいる皆が思っていたその瞬間、
バンッ!
大きな音を立て、入口の大きな扉から大量の警察官達が押しかけてきた。
「見つけたぞ悪徳市場の会場!お前ら皆大人しくお縄につけー!!」
「逃げらレるお思うナよ~」
「グレ投げていいっすか!!!」
「ステイ!壺浦ステイ!!」
どうやら、この敷地は警察も目をかけていたようだ、ドアを足蹴りで壊してまで入ってきた。
前線には特殊刑事課に猫やタコス、指揮を執っているのは皇帝なずぴ等々。後ろにはミンドリーも待機している…ガン凸最強の布陣と言っても過言では無い。
会場にいる成金達は金が惜しいからか、逃げようと普段滅多に動かさない足を必死に動かすが…普段走り回っている警察から逃げ切れる訳もなく。まるで死んだセミがアリに食べ進めていくように、続々と成金達は警察官に捕まっていく…
「警察まで来るなんて…特殊刑事課までいるんでさっさとズラかりましょ…ぅ…__
…あれ、ボス?」
このままでは自分達も捕まるので、裏ルートから逃げようと真横にいたウェスカーに有坂は声を掛けるが、彼の決断を下す声が何故か聞こえない。
ふとウェスカーがいたはずの座席を見ると、そこには誰も座っていない…焦って周りを見渡せば、司会者がいるステージまでウェスカーは全速力で走っているではないか。
「ぼす?!?!」
「ちょっ、!?なにしてんスか!?!?」
有坂はボスに向かってそう困惑の声を掛けると、自分の右側で同じようなセリフを発している男の声が。
少し目線をそらすと、ウェスカーと同じくMon Dまでもステージまで走って言っていた。隣の男は護衛出来てたRBらへんだろう。
いやそんな推測を今している暇は無い、ステージの上なんて上がったら目立ちに目立って捕まる、例え捕まらなくても指名手配にかけられるだろう…
…彼らボスがステージ上がる理由は、まぁ十中八九らだおボイスを盗る為だろう、逆にそれ以外ない。
青井らだおは魅力的だ、老若男女皆好きになる程人柄がいい。それに彼について知りたいというのは悪い事では無い。
……だからと言って
「どけッ…カス!!!」
「誰がカスじゃこんのクソ発情期坊主が!!!!そのボイスから手を引け!!!」
あんなお互いの顔に引っ掻き跡が残るまでする必要はないだろう。
「そんなにラだおのボイスほしいんダ?どうせそれでキモイことすんでしょ、オレ知ってる」
「それはお前にも言えるぞモンちゃん…焦って煽っちゃって、俺に取られるのが嫌なのかぁ~…?」
間合いを図りあいながらそう口プを続けるボス2人。双方共ステージ上まで上がりたいようだが、また双方とも相手をステージに上がらせないようにしている…このまま泥沼牽制合戦していたら警察に捕えられることは確定だろう。
…そういえばもう1人青井らだおのボイスを狙っていた男がいたような__
「…ッあ?!アイツ!!」
「ハっ、?…ちょオイ!!」
ウェスカーがふと何かを思い出したようにステージに目を向けると、そこに駆け足で上がっていくヴァンダーマーが見えた…きっとあのボイスを持って逃走する気だろう。
それだけは許さんと言わんばかりにウェスカーは世界記録並の速さでステージまで上り、ヴァンダーマーの背後まで追いついた。
そして…醜いと言わざるおえない表情で、ウェスカーはヴァンダーマーが着ていた…高そうなファーのついたコートをこれ以上無いほどに引っ張り、彼に、ボスらしからぬ転び方をさせた。更に彼らしくない 「この███野郎!!!」という雄叫びが聞こえてきたのも、幻覚ではない。
「ひっかかるほうが悪いんだよボケ!!」
そう叫びながら、彼はやっとありついたボイスの画面が開かれたスマホを勢いよく手に取り、そのまま事前に調べた逃走用の扉から脱出しようとしたところ、スマホを手にした勢いが余ってしまい…彼は録音再生ボタンを押してしまった。
ひとつだけ…幸いな事に、このスマホの音量は約1m以内の人間にしか聞こえない程度の音量に設定されていた。
だが、神は誰に味方したのか…その1mの範囲内に、例のボスが3人いた事を覗いて、全てが上手くいっていた。
「…なんでここにギャングボスの3人が並んで倒れてんだ?」
「さぁ…?この市場に欲しかったものが出てたとかじゃないすか?」
「まぁ詮索しても答えは出ないだろうし、もういっか…じゃぁ、そこ3人はらだおくんが護送お願い」
「おっけ〜」
数分後、何故か気を失っていた名を馳せるギャングボスが3名倒れているのを発見したミンドリーと、いまさっき起きて応援に連れてこられたらだおが彼らを囲んで話していた。
有坂や他の護衛できていたであろう者たちはそそくさとボスを捨てて帰って行ったようだ。
「うわっ、ヴァンさん顔傷できてんじゃん…これここの3人で喧嘩したのかぁ…?」
その喧嘩の原因は自分だなんて考えもせず、青井はMon D、ヴァン ダーマーと順番に手錠をかけて行っていき…ウェスカーの番が来たその時。彼の片手に見知ったスマホが握りしめられていた。
「…?これ成瀬のスマホカバーじゃん」
「そういや無くしたとかなんとか言ってたな…って、めっちゃ画面割れてんじゃん…」
ウェスカーに手錠をかけるため、成瀬のスマホを手に取り液晶をちらりと確認すると…彼のスマホの画面は、不運な事にわれており。ボイス収録のアプリが開かれていることは分かるが【_|/ら/___ボ_/_ス】と、解読できなさそうな文字が並んでいた…
ぼ…すと続いていたこともあり、誰かのボイスだろうかと己の好奇心に触れてしまった青井は、悪い事だと思いつつも、ついそのボイスの再生ボタンを押した。
少し雑音が入った後、物心ついた頃から聞いていた…あの「声」が耳に入ってきた。
『…ばーか』
発言の身に覚えのあったそのセリフ、「これは非売品にするから」「記念だから」と無理やり取らされた己の恥ずかしめ…
出来る限り消していたその記憶がフラッシュバックしたその時、顔を紅潮させた青井がまず発した言葉は
「…なっ、」
「なるせぇぇええ!!!!!」
その後、成瀬 力二はらだおのボイスを取り戻したついでにご本人に「ばか」を頂き…幸せそうにしていたが。
…何故からだおを想っている、名だたるギャングボス3名に「らだおボイスをよこせ」「らだおの「ばか」ボイスまだ?」等と詰められイラついているらしい。
周りはその光景を不思議がっているが…誰も何も話しやしないので、真相は闇の中に葬られていた。
前の更新いつだっけ…??
少し前に書いたものを改良して持ってきました。
こういうのが書きたかったんだ…!!
あとついでに赤面あおいのも欲しかったので描いた、最後に載せます。
全然言えてなかったんですけど、フォロワーさん260人ありがとうございます。
来年の年末終わりぐらいにわたくし別の県に引っ越すことが決まったので、小説やイラストの更新はあまりないかもです。
おつ!
コメント
3件
需要しかないらだおの「ばーか」タヒねるッッ!!!
ハァッ‼︎らださんの「ばーか」は破壊力ありすぎでしょ?!!!私も倒れました最高です✌️