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見合いの相手はカンジュ国一の貴族の令嬢、カンジュ国王の遠縁にあたる家柄だ
セイカの美男子ぶりに以前から思いを寄せていたそうだ
「ユイ、いるのか?」
部屋に入るとユイが背中を向けて座っていた、ユイは怒っていたり拗ねたりするとよくこれをする
「急に広間にも庭にも居なくなるから探したじゃないか」
「ユイ?」
「見合いの事を気にしてるのか?心配するな当日にきっぱり断るに決まってるだろ」
ユイの肩が震えている
「こっち向いて俺を見ろ」
ユイはただシクシクと泣いていた
ユイを強く抱きしめセイカは言った
「お前はなにも心配するな、一度会うのは王の顔を立てるだけだ、一度も会わずして断ったらそれこそ王がヘソを曲げるだろ」
「でも凄く凄く綺麗な女だって聞いた」
セイカは信じられないといった風にケラケラ笑った
「この世にお前より綺麗な男も女も存在しない、何度いえばわかる。それに例えお前より美しい人間がいても俺が愛しているのはお前だけだ、俺とお前は血と魂と心で愛し合っているんだ、お前以外の女も男もなにもいらない、お前さえいてくれたらいいんだ」
ユイの黒く長い睫毛が涙で濡れている
「ほら、おいで、お前が欲しい」
セイカは優しく優しくユイを抱いた、包み込むようにどれほど大切に思っているか伝えるように
愛を確かめ合ったあと、ユイはセイカにしがみついて離れようとしなかった
セイカはふと子供の頃の事を思い出した、
(そういえば昔も俺の手をぎゅっと強く握って離さなかったな)
「ユイ、見合いの日はお前も同席しろ」
「え、いいの..?」
「当たり前だ」
セイカの胸上に頭を置くとセイカの心の臓の音が聞こえる..
その音を聞きながらユイは眠りについた