テラーノベル
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「なあ、最近しゅうとの様子、おかしくねえか?」
此のおかしな状況に呑み込まれ、暫しの日が経過していた。相変わらず、四人を取り巻くものは変わらない。自分達だけが別の世界へと迷い込んでしまっている。
だが、それ以外は全てが今迄通りで。この日は事務所で全員が集まっての打合せがあった。オンライン上ではなく、実際に足を運ぶ必要がある仕事。
恙なく仕事をこなし、休憩時間。珈琲を飲みながら各々が時間を過ごしている。その時、不意にふうはやがそう言った。
「え?」
「前より寝ている時間が長くなってるな、と思って」
疑問の声を出すりもこんに、ふうはやはそう返答をする。彼が向けた視線の先。そこには、ソファに寝転がって静かに寝息をたてているしゅうとの姿があった。
元よりしゅうとは睡眠が原因のトラブルを持っていた訳ではない。しかし此処最近、少しでも空いた時間があるとすぐに眠ってしまっていた。
まるで、寝て何かを回復しているかのように。
「まあ、確かにそうだな」
かざねがそこに割り込んでくる。
「だが、此の世界の状況で、夜にぐっすり寝れてる訳じゃないだろ? 昼間の方が安全だから、寝れる時に寝てるだけじゃねーかな」
かざねの言うことは最もだった。だが、ふうはやはその話が何処か腑に落ちない。何か言わなくては、と思うが上手く言葉が出てこなかった。
「後十五分くらいで再開しますので、準備をお願いします」
スタッフが姿を現し、メンバーに告げた。
「しゅうと、起こさないと」
開始時間が決まった為、準備をしておかなくてはいけない。眠っているしゅうとを起こす必要が出た。
「俺が起こすよ。しゅうとー、そろそろ始まるから起きろー」
かざねがしゅうとの肩を揺する。すぐには起きなかったが、何度か繰り返すことで彼の瞼が揺れた。
「ん…」
「おはよ」
「はよ…」
まだ眠そうだったが、段々と覚醒してきた様子。瞼をしぱしぱさせながらも身体を起こしていた。
「まだ眠いか?」
「いや、ちょっとすっきりした」
「後十五分で再開だって」
「わかった」
寝起きとはいえ、受け答えははっきりとしている。ふうはやが指摘したことは、余り気にする必要がなかったのではないかとりもこんは思う。
(いや、そうとは言えないか)
りもこんは、皆に黙っていることがあった。それは重要なものだったが、今はまだ言う時期ではない。
(ひとまず仕事に集中しよう)
ふざけすぎて終了が遅くなってしまえば、やりたいことも出来なくなってしまう。しかし仲間達に違和感を感じさせてはいけない。そう思いながらりもこんは此の部屋を立ち去るのだった。
「やっと終わったな!」
少々時間はかかってしまったが、仕事は無事に終了した。遅い時間になってしまった為、スタッフが送迎を申し出てくれたがまだ電車は動いている。手間をかけさせてしまうことが申し訳ないと、四人は断って帰路に着いた。
途中、ラーメン屋に寄って空いた腹を満たす。ふと目に入った店にしたが、味は良かった。
次の撮影の話をしながら、四人は道を歩く。繁華街である此処は、夜中に近い時刻になっても街灯が煌々と灯っている。
人の往来もまだ多い。そんな中、駅までの道を彼等は歩いていた。
「次の撮影に使う為のシステムの構築具合はどんな感じだ?」
「まだちょっと時間が掛かりそうかな。出来るだけ急ぐけど」
「いや、りもこんもう少し時間かけて大丈夫だわ。俺の方の建築が終わらん」
「え、まじ?」
「ちょっと凝りすぎてる」
「手伝えるとこは手伝うから言えよ?」
「サンキュー」
そんなことを話していた時だった。不意に、かざねが足を止めたのは。
「ん? かざねどうした?」
他の面々は不思議そうな顔をしながら、立ち止まるかざねを振り返る。が、その時だった。しゅうとも何かに気付いたのだろう。表情が、変わった。
「伏せろ!」
そう怒鳴ったのは果たしてどちらだったか。反射的にりもこんとふうはやは身を屈める。その頭上を、何かが勢いよく通り過ぎた。
「な、何だ⁈」
何が起きたのかをすぐには把握出来なかった。ふうはやが顔を上げた先に見えたのは、自分達を守るように前に立つ、武器を構えたしゅうととかざねの姿だった。
「此処、人が多い場所だぞ⁈」
思わずそんな言葉が漏れたが、かざねが武器を持っていない方の手で先を指す。そこには、今迄繁華街を歩いていた人達は存在していない。代わりにいたのは、途轍もない数の影だった。
「ど、どういうことだ⁈」
驚きを隠せないでいると、しゅうとが言う。
「周りにいた人達が、突然影に変わったんだ」
「まじ…?」
「ああ」
人間が影に変貌した。その言葉が何を意味するのか、深く考える時間は今はない。だがふうはやは、脳裏に残るひとつの光景を思い出していた。
「と、兎に角此の状況を打破しないとね」
少しばかり驚きが残っていたが、りもこんも立ち上がる。このままで事態が好転することなどない。今、四人がしなくてはいけないことは、此の影を全て消し去ることだった。
「ふうはや、お前は力を使おうとするとデバフがかかるだろ? りもこんの戦闘経験も少ない筈。俺らが大きく動き回って影の数を減らすわ。狩り損ねた分の片付けを頼む」
かざねの言葉にふうはやは頷く。だが、その横でりもこんは少しばかり不服そうな表情をしていた。
「かざね、行くぞ」
大鎌を肩に担いだしゅうとがかざねを促す。頷いたかざねは、出現させた日本刀を構えた。以前はナイフを使用していたが、如何やら敵の数が多い為より殺傷能力の高いものにしたようだ。しゅうとの言葉を合図に、二人は影へと身を躍らせた。
その後ろ姿を見送りながら、ふうはやは神経を集中させる。爪が鋭く伸び、影を切り裂く為の武器となる。
「お前も大分力を使いこなせるようになってきたんだな」
りもこんの言葉に頷く。あの二人は余り戦うなと言うが、ふうはやとて足を引っ張りたい訳ではない。夜な夜な、影と戦っていたことを言う心算はないが、足手纏いにはならないことは伝えたかった。
「りもこん、お前は安全な所にいろ」
しゅうととかざねが仕留め損ねた影が襲ってくる。それを爪の一閃で切り裂いたふうはやはそう言った。りもこんはまだ力を使えていないと以前言っていた。このまま戦闘に巻き込まれてしまえば、大変なことになりかねない。
だが、彼は首を横に振った。その意味が分からず、ふうはやは首を傾げる。
「俺も、戦えない訳じゃない」
「まじ?」
その時だった。ふうはやの背後から、影が突如として襲い掛かってきた。攻撃に転じようとするが、間に合わない。傷を受けることをふうはやが覚悟した時だった。影が、動きを止めたのは。
「え?」
何が起こったのか分からなかった。だが、よく目を凝らすと影に何かが巻き付いているのが見える。
「糸…?」
それは糸だった。細い、細いそれらが影を雁字搦めに縛り、動きを取れなくさせている。
「…これが、俺の能力」
りもこんが言葉を紡ぐ。振り返った先にいた彼は、腕からぽたぽたと血を流している。血は指先へと伝い、そこから細い糸が幾重にも影に巻き付いている。それが、動きを阻害していることに繋がっていた。
「りも、それ…」
「これが、俺の使える力だ」
指が僅かに動かされる。それにより、影が向きを変えた。そして、他の影達の方へと突っ込んでいく。
「あんま強い訳じゃないが、敵を操ることが出来るんだ」
影ひとつの攻撃力は余り高くはない。だが、戦うことではなく別の用途にりもこんは使用した。
「!」
影はかざねの死角から襲い掛かってきた敵の間に身体を滑り込ませた。かざねを守るように立ち塞がり、攻撃を受けるとその身は消滅する。
「え、今のりもこん⁈」
突如として現れた影が自分を守ったことに、かざねは驚きを隠せない。だが、詳しい状況を尋ねるよりも前に今はこの状況を脱しないといけなかった。
「影、数多すぎないか⁈」
最前線で大鎌を振るうしゅうとが声を荒げる。今までとは比にならない程の影が、何体も四人に襲い掛かり続けていた。「しゅうと!」
影の攻撃を受けた訳ではない。だが突然、しゅうとが膝から崩れ落ちた。かざねの慌てた声が響く。彼は何とか立ち上がろうとしていたが、力が入らないのだろう。手から零れ落ちた大鎌が地面に静かに転がる。
動けない者は恰好の獲物になりうる。しゅうとに焦点を当てた影達が一斉に襲い掛かった。
かざねも間に合わない。此処までか、としゅうとが覚悟sた時だった。巨大なモノが、立ち塞がったのは。
「ふうは…や?」
思わず疑問形へとなった。それもそのはずだ。しゅうとの前に立ち塞がったのは、ふうはやの面影を残した異形。異様なまでに伸びた、鋭い爪を冠する腕とぎょろりと見開いた目玉。
『グォオオォッ!』
ソレは咆哮を上げ、影へと一斉に飛びかかった。影を引き裂き、食いちぎり、次々に消し去っていく。
「あれは…」
驚きと、恐れと。そんなよく分からない感情が込められた声でりもこんが呟く。ふうはやが何故、あんな姿へと変貌したのかは分からない。
「でもあいつ、俺達のこと守ろうとしてくれてる」
息を切らしたかざねが側へと寄る。立ち上がることの出来なくなったしゅうとの様子を確認しながらも、ふうはやの戦いを見守った。
決着は、早かった。異形と化したふうはやは瞬く間にその場にひしめいていた影達全てを屠った。
「ふうはや!」
街に、静寂が訪れる。それを確認したのだろうか。異形が、その場に倒れ込んだ。
りもこんが側へと駆け寄ると、剥がれていく黒の中から意識を失ったふうはやが現れた。身体を揺するも、完全に意識が落ちていた。
「ひとまずこの場を離れよう」
しゅうとに肩を貸して立ち上がらせながら、かざねはりもこんにそう声を掛ける。
「分かった」
りもこんもふうはやの身体を支えようとするが、完全に意識を失っている人間の肉体は重い。りもこん自身、力が強い訳ではない。少しの逡巡の後、彼は再度腕から血を零した。
「しゅうと、君が動くのも手伝うよ」
伸ばされた血の糸により、ふうはやとしゅうとの身体を操る形で動かすことに成功する。
「りもこんのそれ、使い方によっちゃ便利なんだな」
「まあね。その分、戦闘力は弱いけど」
街は何時の間にか、何時もの喧騒へと戻っていた。先程まで戦闘が繰り広げていたことなど、知らないように。
「…こうして見ると、やっぱり俺達は別の世界にいるんだな」
しゅうとの呟きに、二人は同意を示すように頷くしかなかった。
意識を失っているふうはやを連れ歩くのは中々に困難なこと。故に彼等は最も近いしゅうとの家へと身を寄せることにした。
「悪い。俺、もう無理だ」
玄関の鍵を開け、中へと入ってすぐにしゅうとは限界を訴える。その瞳は今にも閉じてしまいそうだった。
「風呂とかキッチンとか、何でも好きに使っていいから」
そう言い残して、しゅうとの身体はガクンと力を失った。かざねが支えていなかったら、床に激突してしまっていたことだろう。
「しゅうとん家、布団って幾つあるか知ってる?」
「流石に分からん」
「だよね。とりあえず…二人共同じベッドでいっか」
寝室の扉を開け、ベッドにしゅうととふうはやを寝かした。二人共、深い眠りへと陥っており暫くは何をしても起きることはないだろう。故に同じベッドでも不都合はないと結論付けることにした。
「疲れた…」
流石に大の男二人を運ぶのは骨が折れた。このまま眠ってしまいたかったが、風呂にも入りたい。二人は話し、交互にシャワーを浴びた。
「俺ら、サイズあんま変わらなくてよかったな」
よく泊まりに来ているかざねの知識により、勝手にクローゼットを開けて部屋着を失敬した。その際、毛布を発見したのは大きい成果だ。
二人してさっぱりし、かざねはソファ、りもこんはカーペットの上にそれぞれ毛布に包まって寝転がる。電気は既に消し、何時でも寝れる状態だ。
「かざね…」
静かな室内に、りもこんの声が響き渡った。
「…なに?」
「お前ら、隠し事してるだろ」
その言葉に、かざねは返事をしない。しかしりもこんにとって、それは明確な返答だった。
「…隠したいのは分かる。けど俺ら、仲間だろ? 苦しいことも、ちゃんと共有したい」
今回の件でりもこんは悟った。自分もだが、全員が互いを思う余りに隠し事をしている。しかしそれでは、解決するどころか悪い方向へと進みかねない。それは、りもこんが得た情報の影響も受けていた。
暫しの静寂。しかし少ししてかざねはひとつ。
「分かった」
そう、言った。
力を合わせなければこの状況を脱することは出来ない。だからこそ、隠し事をするべきではない。
思いが伝わったことに安堵すると、りもこんは急激な睡魔に襲われる。それに抗うことなく、眠りへとついた。
「………」
全員が寝静まった家の中。かざねは一人、暗闇の中で身を起こす。おもむろに自身の左胸の辺りの服を強く掴んだ。
「早く、しないと」
「心配かけて悪かった」
ふうはやが目を覚ましたのは、次の日の夜だった。ほぼ丸一日、彼は寝続けていたことになる。同じ布団に転がされたしゅうとは、ふうはやよりも早く目覚めていた。だが、それでも昼過ぎだった。
目覚めてすぐ、腹が減ったと言うふうはやの為にしゅうとが食事を用意する。ついでとばかりに、全員で少し早い夕食を食べることになった。
食事が終わり、湯気の立つコーヒーをしゅうとが用意してくれた。それを前に、ふうはやは謝罪の言葉を述べたのだ。
「あれには驚いたよ」
りもこんがそう言うと、他の二人も頷く。説明を求めると、ふうはやもよく分からないのだという。
「けどあれ、俺が少し前に見た姿と一緒なんだ」
彼が水面で見た、呪いに侵食された自身の姿。あんなものにはならないと誓っていたが、仲間のピンチに助けたいと強く思ったことがトリガーとなったのだろう。気付いた時には姿が変貌し、影達を次々に屠っていた。
「それだけ強く思ってくれたことは嬉しい。だがふうはや。お前、呪いが進行してるんじゃないか?」
「多分、進んでる」
ふうはやは上半身の服を脱いだ。その肌には、黒い蔦のようなものが這っていた。
「これ、呪いを受けた時から身体にあったんだけどさ、広がってるんだ」
「何時からだ?」
「力を使い始めてから」
黙っていても仕方がないと思ったのだろう。ふうはやは、何度か影と戦ったことを話した。その度に呪いを扱う精度を増していたことを。だが、代わりとして呪いが身体を浸食していっていることに気付いた。
「でもそれら、お前達もだろ?」
自分のことばかり言っているが、と前置きをしてふうはやは指摘する。それまで何も言っていなかったが、鋭い指摘に三人の目が泳ぐ。
「これは祝福された力なんかじゃない。呪いなんだ。そりゃ、何かしらの代償はあるだろ」
その言葉に観念し、先に言ったのはりもこんだった。だが、彼は侵食こそあれど、使用頻度が低かったことから然程進んでいる訳ではないという。
「俺よりもさ、かざねとしゅうとの方がやばいだろ。特に、しゅうと」
ずばりと指摘され、しゅうとはははっと乾いた笑いを零した。りもこんの指摘は、まさにその通りだったからだ。
「呪いの使用時間が身体の負担に直結してる。なんだけど、回数が増えるごとにその負荷も蓄積しているんだ」
「だからあんなに寝てるってことか?」
「そういうこと。寝てる割に回復しきってる訳じゃない。だからいずれは戦うこと自体が出来なくなるかもしれない」
彼の呪いは目に見える形で肉体に現れている訳ではなかった。だが、四人の中で最も負担は大きいだろう。
「かざねは?」
「俺も侵食されてるよ」
彼も服を捲り上げる。晒された腹部は、心臓に突き刺さる針を中心にどす黒い糸が上半身を覆う勢いで広がっている。
「ただ、俺はさ遺書から身体全部が変質させられてる。これが広がり切った時、どうなるかは全くと健闘がつかん。だけど、いい方向には向かないだろうなとは思ってる」
四人共、呪いの侵食を確認することが出来た。導き出された結果として、このままでは呪いに呑み込まれてしまう。
「なんか打開策、ある?」
戦い続けて解決するのならばそうするしかない。しかし、今迄の状況から考えるに、それの可能性は低い。
少しばかりの沈黙が流れる。しかし、遂にふうはやが口を開いた。
「…本当は言う心算、なかったんだけどさ」
そう前置きをして語られたのは、彼が影を食って見た光景。
「あの影、元々人間だったみたいなんだ」
「え?」
ふうはやは語る。自分が影を食うと、その影の最期の情景を感じることが出来るのだと。それらの殆どが、別の影に襲われて侵食をされるシーン。彼等は痛み、後悔、悲しみなど様々な感情を抱き、苦しみながら意識を閉じていた。
そしてそれらが最後に零すことの多い言葉があった。
『妬まなければよかった』
『死を、望まなければよかった』
多くは、何かしらの後悔を抱えていた。どれもが、負の感情。ふうはやは推察する。強い負の感情を抱いている人間が此の世界に引きずり込まれ、影になってしまったのではないかと。
「それなら何で、俺達は引きずり込まれたんだ…?」
当然の疑問だった。彼等いんくの四人は困難はあれど、順風満帆に活動をしている。もしかしたら四人の中の誰かが暗い感情を抱いていたかもしれないが、だとしても全員が条件に合致するとは言い難い。
「……そのことについて、なんだけどさ」
言葉を割り込ませたのはりもこんだった。彼は、自分が力を使って他者を操ると、魂を通して何かしらの本質を垣間見ることが出来るのだと言う。
「俺達、呪いにとって都合のいい存在なのかもしれない」
彼の話によると、この世界には呪いが満ち溢れているのだという。それは分かる。影が、その証明だ。
そこに投入された、呪いに侵食されたいんくの四人。彼等は影に変貌するのではなく、呪いを身体に内包したまま形を保っている。これが、この裏の世界に必要だという。
「理由はわかんないけど、俺達は必要とされてるみたいだよ」
「でも、誰に?」
「それも分かんない。でも、もしかしたらラスボスでもいるのかもね」
りもこんの言葉には根拠などない。だが、どこかしっくりするものがあった。
何者かが、この世界を構築して呪いというものをばら撒いている。そう考えると、四人が適正の高い者として扱われ、何かに利用されようとしているのだろう。
「まあ、あくまでも仮定だけどね」
「いやでもそれ、案外当たってるかもよ?」
なんだか妙にしっくりきたと、かざねは言う。
「兎に角さ、俺達には余り時間がない。闇雲に戦うんじゃなくて、ラスボスがいないか探してみようよ」
呪いが全身を浸食した時、どうなるのかなど分からない。しかし碌な事にはならないだろう。ならば、思いつきではあるが行動を起こすより他はなかった。
「ふうはやとりもこんは、負荷はかかるけど敵から情報を得ることが出来る。悪いが、情報収集を頼めるか?」
「ああ、問題ない」
「いいぜ」
「俺達はお前らのサポートに回るよ」
「分かった」
「…これで、少しは進展したかな?」
ほんの少しばかり、光明が見えた気がした。口に含んだコーヒーは、すっかりと冷たくなってしまっていた。
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このストーリーをここまで一気見させて頂きました! 表現の仕方や、話の内容がとても面白く、小説を読んでるような感覚になりました。 めっちゃ面白いです!続きが楽しみです!