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今日は天気が良く、暖かい。
ぼくは境内に出て深呼吸。
こんな日は…
「お花見しましょう」
後ろから女神様の声。
振り向くと、お菓子と水筒を持った美子がいた。
考えることはみんな同じだ。
ぼくは外用のテーブルと椅子を準備し、女神様は簡単な料理を作る。
美子は女神様の作った料理を運び、お菓子をパーティ開けして…
「どこで覚えたの、その開け方」
おかしくなってぼくは聞いてみた。
「座敷童子講座その4、お菓子はみんなで仲良く食べよう、だよ」
「あぁ、それはぼくの信念その3と一致するね」
女神様の料理はサンドイッチとおにぎりだった。
お花見では、女神様はお酒も飲む。
サンドイッチだから今日は日本酒よりもワインかな…そう思ったが一応両方準備した。
桜の木の下でみんなでお昼ご飯。
たまに上を見上げる。
風が吹くたび、花びらがひらひらと舞い落ちる。
「きれいねぇ…」
女神様がうっとり言う。
「毎年、この季節の楽しみね」
「私ね、桜って大好き」
美子も言う。それから、少しの沈黙。
そうやって桜の美しさを共有する。
しばらくして、弟が旅から戻る。
「そろそろ花見かと思って帰っ来たらすでに終わりかけてた」
ぼくは笑う。
「まだこれからだよ」
「そうか、よかった」
そう言うとお土産の日本酒と特産品を出した。
「あら、美味しそう」
「ありがとう、護兄ちゃん」
こうしてお花見の第2部が始まる。
なんだかんだで今日はちらほらと参拝客が来る。
「あら、いらっしゃい」
女神様はお客様が来ると桜の木の下でお茶をすすめる。
「楽しそうですね、ご家族で」
「えぇ、とても」
そう言うと世間話を始める。
「今日はにぎやかだね、お祭り?」
タカシくんも来た。
「いや、普通にお花見してただけだよ」
「参拝客に女神様がお茶をすすめてるんだ」
タカシくんは笑って言う。
「階段の下から見ると、桜がすごくきれいなんだ。
みんな参拝のついでに桜を見に来てるんじゃないかな」
そう言うとぼくたちは少し奥の3人で座れる所に移動する。
そしてビールを開ける。
「まぁ、こうなるよね」
3人で笑う。
遠くから見ると確かにお祭りのときみたいに人が多く、みんなで何か食べたり喋ったり…
おや、見覚えのあるおばあさんが…
すると、持っていた鞄から人形がひょっこり顔を出す。
「美子ちゃん、こんにちは」
「あ、市松さん、いらっしゃい」
美子はお茶を2人にすすめる。
それから、しばらく色々話していた。
仕事のこと、プライベートなことなどの世間話だ。
みんな、それぞれ楽しく過ごした。みんなが帰り、静かになった頃はすっかり暗くなっていた。
ぼくはある外の片付けをして、護は中で洗い物。
女神様は…あれ、また食べ物をテーブルに並べている?
護が出て来たのを見て、女神様は言った。
「さて、第3部を始めましょう」
こうして静かに、美しく夜が更けていくのだった。