🍀ATTENTION🍀
♧ご本人様とは関係のない二次創作です。
♧拡散、コピペ、転載等迷惑となる行為はお控えください。
♧作者は関西人、広島人ではないためエセ関西弁、エセ広島弁となっております。
♧口調や呼称等の違和感にご注意ください。
♧誤字脱字は見逃してください。
以上のことを踏まえたうえでなんでもござれのお方のみお読みください。
朝7時40分。
今日は案件による撮影のためいくら朝が弱いと言ってもそろそろ出なければならない時間である。
が、ここで問題が発生している。
「せんせー」
「なぁ、俺もう行かんとあかんのやけど。」
「せんせー」
「いい加減離れてくれんと俺遅刻してまうから」
「……」
恋人であるキャメロンが珍しく玄関で引き止めてきたのだ。普段は年上として、大人として、あまり我儘なことは言わないあのキャメが。素直なのだ。大変可愛い。
そんな世にも珍しい状態に湧かないはずもなく。さあ大変だ、朝っぱらからしろせんせーの白井裕太くん()が元気になってしまう。
「いつもの配信とか撮影ならアレやけど、いや、それもあかんけどな、でも今日ばっかりは遅刻できへんから。」
「…何時に帰ってくる?」
段差のためにいつもより合う目線に愛しさが込み上げてくる。いっそ行かないのもありかもしれないと考え始める頭を1度リセットし、本日の予定を思い出す。
「んー、6時には帰りたいなぁ。寂しがり屋のわんこがおるしな。」
「寂しがり屋なんかじゃない」
ムッとするキャメに苦笑いする。これではますます行きたくないではないか。が、現実は残酷である。これ以上の長居はできない。
「はいはい。…行ってきますのちゅーでもするか?」
なーんて、と、言おうとしたはずなのに。
おやまあ何と言うことでしょう。柔らかい唇が、キャメの、柔らかい、唇が、自身の唇に重なっているではありませんか。
「…ん、なるべく早く帰ってきてね。ご飯作って待ってる。行ってらっしゃい。」
「……行ってきます、」
俺今日、使いモンにならんかもしれん。
______
帰りたい。仕事も終盤、煩悩まみれな考えを叱咤どころか更に深める。
はよ帰ってキャメの胸に飛び込みたい。
今までそんなことしたことないけどでもキャメ、ご飯作って待ってるって言ってくれた。新婚やん。新妻やん。
あれか、「ご飯にする?お風呂にする?それともわ・た・し?」ってやつか。ええもんやな。
「ボビー?顔気持ち悪いことなってるけど。」
「うわ、ニキ。おったんかお前。」
「いや朝から同じ仕事してただろうが。」
突然現実に戻されたことにほんの少し苛立ちを覚えながら、諸悪の根源であるニキに向き直る。
「これ、長引くやろか?」
「えーどうだろ。てかお前そんなこと気にするタイプじゃなくね?」
「今日はなるべく早めに帰りたいんや」
「…女か?」
「ちゃうわ!真面目な顔して言うこととちゃうわ。」
「ま、今のボビーはキャメさんしか見えてないだろうしね。」
ちゃんと分かってんじゃねぇかこのクソ王子気取りの風呂キャンニートが。
「ちょ、ボビーさん、全部出てます。」
「今朝キャメが超可愛くてな、めちゃくちゃ可愛かったんやに?可愛いキャメのためにもはよ帰りたいんや。そりゃ寂しがってるキャメも可愛いけどな、やっぱ嬉しそうなキャメが1番可愛い。」
「語彙力どこいった。」
んなもん朝から燃えるゴミに出してきたわ。既に焼却炉の中で灰になっとるやろ。
と、スタッフがこちらに近づいてくるのが見え、脳を切替える。
「すみません、確認に手間取っているみたいで、あと30分ほどお時間を頂けたらと思うのですが、この後の予定などは大丈夫でしょうか…?」
躊躇いがちに切り出された話に思わず顔を歪めそうになるが我慢する。この人らも好んで残業したいわけないだろう。
「俺は大丈夫ですよ。ボビーは?」
「俺も特に予定とかは無いんで大丈夫です。」
30分後なんて帰ると約束した6時を優に超してしまう。帰宅できるのは7時近くになるだろう。今頃時計ちらちら見ながら帰ってくるの待ってるんやろうなぁ。届かない謝罪を心の中でする。脳内のキャメはご機嫌ナナメだ。
キャメに会いたいから早くしろ、とはさすがに言えない。そこら辺の弁えはさすがにある。イエスマン、とまではいかないが大人はある程度の許容もしていかなければならないのだ。忖度って言葉、こういう時に使うんやで。
「ボビー、顔ヒドイって。せめてこれ終わるまでは繕えよ。」
「…分かっとる」
「頭での理解はできてても体での理解ができてませんよ、早稲田さん。」
「……かえりたい」
「限界迎えてんじゃん」
「帰ってキャメ吸いたい…よしよしされたい…声聞きたい…」
「死にかけで草。写真撮っとこ。」
パシャリとシャッター音が切られたがそれに反応することすら億劫に感じられ無視する。あ、いつかの俺が怒ってる。すまん、ツッコミ頑張ってくれ。
たかが30分。されど30分。苦痛の時間を溜息とともに覚悟した。
______
「お疲れ様でしたー」
予定になかった予定通りおおよそ30分の超過後、無事終了し挨拶も程々に帰路についた。
ニキには冷やかされた。曰く、「明日はキャメとshorts撮る予定やけん程々にしろよ」との事。火に油を注ぐようなことをわざわざ言うバカに、しかしもう余裕のない俺は適当にあしらうことしか出来なかった。別の日にでもまた仕返しで何かしてやろう。楽しみにしとけよこの性悪野郎。
LINEで遅くなった謝罪と今から帰る旨を送り、タクシーに乗り込んだ。
「…ただいま」
「せんせー!おかえり。お疲れ様。」
想像よりも高いテンションで迎えられて少し驚く。なんてこった、不安がっているキャメは一体どこなんだ。そんな尻尾勢いよく振ってる柴犬じゃなくて不安そうに抱きついてくるチワワを期待していたのだが。
「お仕事延びちゃったんだね。大変だなぁ。あ!今日のお夕飯はね、鯖が安くなってたから塩焼きにしてみたんだ。あとね、卵スープ作ってみたの。それでね…って、俺ばっか話しちゃダメだね!せんせー疲れてんの、に、」
「…きゃめ、」
「せ、せんせー?」
マシンガンのように話し出すキャメに堪らずもたれかかる。
「せんせー疲れた?」
「…うん」
「そっかぁ、とりあえず中入ろ?すぐご飯用意するから待っててね。」
労るような優しい声が沁みる。
ギリギリのところで耐えていた何かが溢れ出る。
「今日朝からキャメが可愛かったもんでもうはよ帰りたかったのにぃ!なんか長引いてまうし!いっぱい頑張ったんやに!?」
「せんせーは偉いよ。頑張ってることも知ってる。朝の醜態だけは忘れていただいて…」
「やだ。毎日ああしてほしい。」
「キッツ。俺一応せんせーより年上よ?ニキくんとりぃちょくんと一緒にじじいって煽ってるじゃない。」
「ネタやし。まだ20代なんやからいうて俺らとそんな変わらんし。」
目の前に並べられる料理が食欲を唆る。てかキャメの作るメシならなんでも美味そう、やし美味い。
そこでどこか引っかかるものを覚えた。なんだ、このラインナップ。鯖の塩焼き。ニラが具材の卵スープ。白ご飯と、お供のしらす醤油。ちらりとキャメを見やると先程の落ち着かない様子は健在で。
あぁ、思い出した。なるほどなるほど。期待してるのか、コイツは。でも疲れている俺に気遣って自分からは言い出さない、と。
かわいいやっちゃな、ほんまに。俺が気づくか気づかないかギリギリなライン攻めてきよって。確かに体力は少ない方だが性欲は人一倍多い。朝元気になった息子は萎えきっていない。
「キャメ、明日ニキとshorts撮るんやって?」
「あ、うん。もしかしてニキくんから何か変更点とか?」
「や、そうやないけど、何時から?」
「えっと、16時から、だったかな。午前中は空いてるよ。どっか行く?」
こうやってすぐ俺のしたいことを聞いてくるところに大人の余裕を感じる。スマートさというか、リードされてる感。まあでも、その余裕も夜になれば消え去るのだが。
「んー、どっか行くより家でゆっくり過ごしたいかな。どうせ疲れとるやろうし。」
「?そっか。俺たちは体が資本だからね、無理は良くないよね。」
どこかズレた返しにこれだから天然は、と小さくため息をつく。自分から誘ったんやからちゃんとそれなりの対応をしてもらわなければ困る。ちょいちょい、とキャメを呼べば警戒心もなく近づいてくる。だから耳にキスを落とし、吐息をたっぷり含めて囁いた。
「夜は遅なるからな、覚悟しとくんやで?」
「へっ、」
顔を真っ赤にして固まったままのキャメをよそに2人分の箸を用意すれば夕飯だ。
真っ赤に熟れたリンゴのような顔で何かを言いたそうに口をパクパクと動かすキャメは、しかし結局何も言わず大人しく席に座った。
「いただきます」
「…ぃただき、ます」
今日の食事はいつもに増して美味に感じられた。
「ばーか!せんせーのばーか!!」
「すまんかったって。」
「今日ニキくんと撮影あるって言ったし!ニキくんにも程々にって言われてたんでしょ!?声ガラッガラなんだけど!!」
「か、風邪ってことにできんやろか…?」
「なんでこういう時に知能下がるんだよ!本当にバカだろ!」
「すみませんでした…」
「1週間はもう何もしない!」
「そっちから誘ってきたくせに理不尽」
「なに?なんか言った?」
「イエ、モウシワケゴザイマセンデシタ」
ちなみにニキは寝坊して撮影は飛んだ。
「どうせアイツら程々とかムリだろうし。実際キャメ撮影できる状態じゃなかったけん、オールオッケー」
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