■事務所様、ご本人様、関係者様とは全く関係ございません。
□スラムで生活していた時にレイプされかけたことがある設定のlrです。なので未遂です。
□打ってる途中にrulrの話が今のところ「全部年齢制限有」ということに気付いたので、単語は出てるけど本番シーンをカットして読めるようにしました。布教布教。増えてくれ。
俺と小柳のセックスは『顔が見えること』を条件に行われる。
それは、俺が言い出した我儘だった。
小柳が俺を抱きたいと言った日、俺の脳裏にとある記憶が蘇った。
それは幼い頃、まだスラムで生きていた時の記憶。
結局未遂には終わったが、幼かった俺は大人たちにレイプされそうになったことがある。
その時に無理やり地面に顔を押し付けられ、所謂バックの体位の中、抵抗する俺に顔の見えない相手が暴行を行う状況になっていた。
未遂は未遂でもレイプはレイプ。
あの時の大人たちの様子は異常で、今だに恐怖の記憶として俺の中に刻まれている。
小柳がその欲まで自分に持っていることを知ったあの日、俺はこの蘇った記憶の内容を伝えた。
これで幻滅されて終わるなら、それはそれで小柳のためになるとも思ったからだ。
後で後悔して苦しめてしまうよりも、そうなる前に終わった方がいいと思ったから。
―了解です。その代わり抱かれてる間、目を逸らさずにしっかり俺のこと見続けてくださいよ?ー
結論、小柳はガチで良い男だった。
嫌な顔一つせずに頷いて、俺を安心させるようにチャラけてもくれた。
いつでも顔を確認できる状態でのセックスは俺にとっては安心できる最高の行為だった。
安心しきっているからか、羞恥から目を逸らしてしまった時も
―あ、俺のこと見続けてって言ったのに―
と、優しく笑って許してくれた。
こんなに良い男が本当に俺の恋人でいいのかと思ったこともあるが、この男の優しさに甘え続けられる時間がとにかく幸せだった。
だから、何も気付かなかったんだ。
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事務所で偶然、小柳の姿を見つける。
女性ライバーに囲まれる面白いその光景に、声をかけずに通り過ぎてしまった方が良いだろうと判断して場を離れようとした。
その時だった。
「シモい話にはなるんだけど、やっぱりロウきゅんって狼だからバックが好きなの?」
マジでなんつー話してんだよと思いつつも、俺の足は床に縫い付けられたかのように動かなくなった。
小柳は「はぁ?」みたいな顔をしながらも笑って返事を始める。
「ロウきゅんって言うな。しかも何を聞いてきてんすか。答えませんよ」
「そこをなんとか!これだけ!これだけだから!!」
「ははは、何でそんな必死なんすか。…まぁ、狼だからね~」
「やっぱそうなんだ」
「こう、獣の本能って言うの?興奮しちゃうよね、バックは。一番好きかも。苦手な人もいるだろうけど、うーん…させてくれる人が恋人になったら最高だね……はい、これでこの話終わり。もうやめてね」
「え~!?ロウきゅん~!?」
「ロウきゅん言うな」
自然に、乾いた笑い声が出た。
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夜、俺と小柳はベッドの上にいる。
いつものように向かい合って、愛し合う。
今日はいつもより見え方が違うように感じる。
本質というものが、真実というものがやっと見えたような感覚だ。
「ロレさん…」
小柳、お前ずっと不完全燃焼だったの?
俺のこと気遣うセックスばかりで、自分のことは後回しで、自分のやりたいようには抱けなかった?
そんなに物足りない顔して、ずっと俺のこと抱いてた?
「……小柳、俺…今日は…」
「はい?」
「…バックで、したい」
俺のお強請りに小柳が固まる。
数秒して我を取り戻した小柳が焦り出す。
「えっ、いやっ…でもロレさん、バックは…!」
「いいよ。小柳にならいいから。やりたい」
俺はお前を『最高』にしてやりたいし、お前の『最高』になりたいんだよ。
「……無理そうなら、言ってくださいね?」
困った表情のまま小柳が俺の体を反転させて四つん這いにさせる。
ゆっくり優しく触れてくる、その指に
「……っ…」
俺の体が快楽とは別の意味で震え始める。
おい、ふざけんなよ俺は覚悟して強請ってんだから体も言うこと聞けよ。
このままじゃ…
「…ロレさん、いつも通りやりましょ」
「え…何で…」
あぁ…
「何でロレさんが突然バック強請ってくれたのかは分かんないすけど、マジで無理はしなくていいんで」
俺は、お前を『最高』にはできない。
俺は、お前の『最高』にはなれない。
「……無理しなくていいは、小柳の方だって」
「え?」
ゆっくりと身体を起こして、しっかりと小柳と向かい合う。
苦しい気持ちを抑えて、隠して、できるだけ優しく微笑んで告げる。
「終わりにしよっか、小柳」
きっと、お前の『最高』は他にいるんだよ。
俺じゃなかった、俺にはなれなかった、それだけの話で。
それなら俺が傍にいるべきじゃないと分かっただけで。
「ロレさん…?え、待ってください、何で?」
「俺に無駄な時間を使わず、お前を『最高』にしてくれる人と付き合いなさいよって話」
「は?」
「バックが一番好きなんでしょ?」
俺の返事に小柳が目を見開く。
「…あの時、部屋の外にいたのロレさんすか」
「あ、やっぱ気配は察知されてたんだ」
「まぁ…人が何人かいたんで正確に『誰か』までは把握できてなかったんですけど」
小柳はあの時の自分の発言を後悔しているのか、目を伏せた状態で視線を彷徨わせている。
その姿が可愛らしくて、やっぱり好きだなと思っては、悲しくなる。
「俺のお願いだけ聞いて、お前が無理してたんじゃ駄目でしょ」
「いや、無理は別に…」
「俺はさ、お前のこと本当に大事に想ってる。だからこそ、お前が我慢しないで済む方向に進むことを願ってる」
俺一人だけが幸せでは意味がない。
お前も一緒に幸せになってくれなければ意味はない。
こんな関係を続けても、意味が無いんだよ。
「………」
小柳がベッドから降りて部屋から出て行く。
一人残された俺は、その行動に『終わり』を感じて、自分から言い出したことだというのに傷ついた被害者の顔をして、下着や服を拾っていく。
「何してるんですか?」
そこに小柳が帰ってきて不思議そうな表情で俺を見る。
いや、流石に俺のセリフだが?
「いや、話も終わったから帰ろうかと思って…」
「は?終わってないでしょ。駄目っすよ」
「この状況で帰ったら駄目マ?つかお前は何持ってきてんの、それ」
「鏡」
戻ってきた小柳の手には全身鏡が掴まれている。
ベッドを少し動かして、頭の方にそれを置けば俺と小柳二人の姿が映る。
「じゃあ、バックしましょう」
「は?」
何言ってんだこいつ。
「俺の顔が見える状態にすれば良いんでしょ?」
「え、それは…そう…だけど…」
「これで解決じゃないすか?」
「いや、これ…俺の顔まで見え…」
「鏡っすからね」
「俺、別に抱かれてる時の自分の顔を見る趣味は…」
「俺も抱いてる時の自分の顔を見る趣味は無いが?」
「……これで続けるマ?」
「ロレさんは俺の顔が見える。俺はロレさんの顔が見える。win-winでしょ」
win-winだけど俺へのダメージがとんでもないくらい入るが?
「これで駄目だったら、また別の方法考えましょうよ」
「…何でそこまでする?」
終わりにすれば小柳も面倒くさくなくて良いだろうに、何故ここまでして俺との関係を続けようとするのか。
それが理解できないでいると、小柳が俺に覆い被さってきてそのまま押し倒される。
「俺はロレさんを手放す気はないっすよ」
「…狼だから?」
「それもあるでしょうね。基本的には一夫一妻ですし、相手が死んだり群れから追い出されるとか特別な理由がなければパートナー変えることも無いですし。でも…」
「でも?」
「それ全部放っても手放す気はないです。狼の習性とか本能の前に、俺の意志が存在するんで」
小柳が指で優しく俺の前髪をどけて、そこに唇が触れる。
「ロレさん、俺…執着とか独占欲とか、そういう感情すごいんすよ」
「…うん?」
「でも、嫌われたくない気持ちもあるから優しくしちゃうことも多いんすよ」
「…そう、ね?」
「我慢してたことは認めます。俺が本気でぶつかったらロレさん壊れちゃうかと思ってセーブしてました」
「……お、おう…?」
唇が、目元に触れる。
「今日、互いの本音出ましたよね。だから、一度やってみましょ。全部」
「…全部」
「うん。我慢してたことも、不安になってたことも、全部、解消できるように」
こんなに幸せなのに、何でこんなに泣きそうになるんだろう。
本当は俺が引っ張ってやらなきゃいけないのに、後輩の小柳が俺の手を引いて前へ前へと導いてくれる。
「……試し、たい。全部」
「そっすよね」
「小柳と終わるの、俺も嫌、だし…」
「っすよね~」
にこにこと嬉しそうに小柳が俺の顔の至るところに口付けを落とす。
それがまた嬉しくて、幸せな気持ちになって、泣きそうになった。
・
・
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「……………」
我慢をしない方向でのセックスが終わった後、俺はベッドに仰向けに転んで天井を見つめていた。
結論で言えば上手くいった。
鏡を使えば恥ずかしさはあるが小柳の顔が見えるから普通に悦かったし、怖くもなかった。
バック解禁もあるからか小柳も我慢せずに俺のことを抱いてくれたと思う。
そう、我慢せず、容赦なく、小柳のやりたいように、抱いてくれたのだ。
「ロレさん、水持ってきましたよ。…ロレさん?」
「…小柳ぃ…」
「はい?」
小柳、やっぱりお前って良い男だと思う。
それに、判断も的確ですごいなって実感したわ、今日。
「今まで沢山我慢させてごめんな。でもお前が俺のこと気遣って我慢してくれてるのもアリだなって思ったから今後は今まで通りの抱き方でも全然構わないよ俺は」
「ははは、嫌っす」
「あ゛ああ゛ああぁ~~~~~~~っっ!!!」
「ははは!」
我慢して優しく抱いてくれてた頃の小柳ロウ戻ってきてくれ。
そんな気持ちを込めて俺は両手で自分の顔を覆い悲痛の声をあげた。
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