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新作です
大森×藤澤+若井
センシティブなシーンはないつもり。
シリアスあり
⚠ご本人様とは関係ありません
地雷さんは↪️
「死んだら人は天国に行くんよ」
いつぞや、誰かに言われたその言葉。
あの日、
空に影が落ちた日。
憎たらしいくらいによく晴れたあの夏の日のことを、僕はまだ忘れられずにいる。
僕は幼い頃、ほんの短期間だが、都会から外れた小さな離島に住んでいた。
今思い返せばだいぶ窮屈で閉鎖的な空間だったが、当時幼かった僕としてはあまり気にならなかったのだろう。
毎日が楽しくて、島のみんなと探検したり山で遊んだりしたのがいい思い出だ。
ある日、島の住人大勢で山でかくれんぼをした時のこと。
僕は隠れる側で、絶対に見つかるまいと思い
ずんずんと山奥に進んでいった。
長年雨や風にさらされ字が潰れてしまった看板を頼りに、奥へ奥へと進んだが、途中で疲れてしまったので木の影で一休みすることに。
「あっちー、今何時ぐらいだろ…」
持参した水筒を飲みながら寝転がる。
ざわざわと木々が揺らめき、その隙間から太陽の光が差す。
目を瞑り、空気を胸いっぱいに吸い込む。
あー、この島に来て良かった。
そう思える日だった。
そこから暫くそうしていたからか、
いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ
日が落ち始めている。
そろそろ帰ろうと思い起き上がろうとすると
誰かが僕の顔を覗き込んできた。
「こんにちは、こんな山奥で何してるの?」
「うわぁぁぁ!!」
つい叫んでしまった。
「わっ、怖がらせちゃったかな、ごめんね」
同い年ぐらいの茶髪の男の子が、ぺちんと手を合わせた。
「いや、僕こそごめん、大声だして」
「ううん、僕が急に話しかけたからだよ」
その子はふにゃっと笑い、僕に問いかける。
「君もこの島の子?」
この問い掛けからして、この子もこの島の子なのだろう。
初めて見た、こんな子もいたのか。
「いや、引っ越してきたんだ。短期間だけどね」
僕の答えに、その子は物珍しそうに目を輝かせた。
「島の外から来るなんて珍しいね、名前なんていうの?」
キラキラした目で問いかけられる。
「…元貴」
勢いに押されてつい答えてしまった。
彼は嬉しそうに手を叩きながらぴょんぴょんと飛び跳ねる。
「ねぇねぇ、元貴って呼んでいい?あ、僕のことは涼ちゃんって呼んでね!」
「…わかったよ、涼ちゃん」
涼ちゃんは、ぱあっと顔を輝かせて僕の手を握り、ブンブンと振り回す。
いちいち反応が大きいな、ちょっと面白い
「ねー元貴、かくれんぼしようよ!」
涼ちゃんはニコニコ笑いながら僕をかくれんぼに誘う。
話に乗りたいところだけど、ごめんね
「今日はもう遅いからまた明日ね」
涼ちゃんはしょんぼりした顔をして、小さく
分かった、 と呟いた。
「明日またここに来てね、絶対だよ」
「わかったよ、また明日ね」
手を振り、涼ちゃんに背を向けて山を下っていく。
「…あ、待って!僕も一緒に行く!」
後ろを振り向くと、頑張って追いかけてきてる涼ちゃんが。
ところどころ躓きながら必死な顔で追いかけてくる涼ちゃんに、つい笑ってしまう。
「走ったら転ぶよ、涼ちゃんただでさえ運動できなさそうなのに…w」
「ちょっと待って、それどういうこと!?」
「あははははw」
「このっ、待て元貴ぃぃぃ!!」
そこから僕と涼ちゃんは、山の麓まで鬼ごっこをした。
日はとっくに暮れ、空には星が輝いている。
その中から、大きな星の連なりを見つけた。
「ねぇ涼ちゃん!見て!天の川だよ!」
無数の星の集まりを指さす。
「ほんとだね、綺麗だ」
涼ちゃんは片方の手を空に掲げて、星をなぞった。
「…なんか反応薄くない?」
「そりゃ元貴と違って毎年見てるからね。
何年も見てたら慣れるもんなんだよ」
「ちぇ、つまんないの〜」
「なんだとぉ…!?」
2人で顔を見合わせて、ぶふっ、と吹き出した。
涼ちゃんと手を繋ぎ、静かに夜空を見上げる。
ああ、この時間がずっと続けばいいのに。
風が頬を撫で、少し肌寒くなってきた頃。
「涼ちゃん、そろそろ解散し…、」
横を向くと、涼ちゃんはいつの間にか居なくなっていた。
「あれ、いつのまに…」
さっきまで涼ちゃんと手を繋いでいた手には、小さな四つ葉のクローバーが握らされていた。
少しの違和感を抱きながらも、僕はその日そのまま家に帰宅した。
「……もとき、」
新連載です!!
シリアス強めの話になると思うので
今のうちに地雷の方はUターンを。