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『海の声が聴こえる。』
・死亡表現あり
・本編微ネタバレあり
それでも良い方のみ、お進み下さい。
1/5 書き足し&ミニリメイク
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「あ”~..やっぱ海は‥うん。」
「心が浄化されてく~」
『浄化なんてされない。』
そんなの、最初から分かってるさ。
「…何でこうなっちまったんだろ~なぁ。」
口に傷をつけられて。 猫を被って。 嘘を吐いて。 忠誠を誓って。
最後には人の命まで奪い尽くして。
一体、何の為だったんだろうな。
ずっとずっと、心の奥ではどす黒い感情が渦を作っていて。 年月が経つほどそれは深く、複雑になっていって‥
やり直したい。 ずっと、そう思ってるのに。
オレは、これからどうしたら良いのかな。
「なぁ、教えてくれよ」
「圭介…ッ」
誰でも良いんだ。
オレを、助けてくれよ。
泣き虫のヒーローは、きっとオレを助けてはくれない。
何でかって?
オレはマイキーとは違う、 心の底から「悪のヒーロー」だからだよ。 オレがマイキーと居たから、あの人を更に深くへと堕ちさせてしまったんだ。 オレは、本当はあの人の横になんか立って良い人間じゃなかったんだ。
出来ることなら もう一度やり直したい。 皆が幸せで、誰も死なない未来に出来たら、 どれだけ嬉しいだろう。
それでも、時は戻せないから。 オレは明日も人を殺すのだろう。
それがオレに任されたシゴトだから。
与えられた役目さえこなせないのなら、オレが生きている価値は無い。
自分を肯定したいから。 皆に認めて欲しいから。 自分が生きていて良いって、 そう言ってほしいから。
──オレは、どれだけ強欲なんだろうな。
いつか、この罪を償うことになっても、 オレは否定しないし、寧ろ自分から償いに行く。
だって、 それがオレの「役割」なんだろ?
誰か一人だけでもそれを望むなら、 オレはそれを否定しないさ。
「役割を果たすため」。
その為なら、オレは。 明日も、明後日も。 例え何十年かかったとしても。
「悪のヒーロー」に、なってやる。
これが、オレの役割なんだ。 オレの運命なんだよ。
数えきれないくらい多くの人の、 命 と未来を奪って来た オレの贖罪だ。
正義のヒーローは、きっとあの人を助けてくれるから。 だから… オレは、 「オレの役割」を果たさなきゃいけないんだ。
「圭介。」
「 隊長。」
「……千壽。」
……オレも、お前らみたいに オレの役目を果たしても良いかな?
──冷たい水の中で、目を開ける。
水を切る心地よさを感じながら、体温が徐々に減っていくことがわかった。
更に深くへと潜っていくと、浅いところよりも冷たい海水がオレの身体を優しく包む。
目を閉じると、一生の記憶が脳内に高速で流れて来た。
(あぁ、これが走馬灯か……)
なぁ、
──。
助けてやれなくてごめんな。
また、お前のこと名前で呼びたかった。
──。
また、オレのことを兄と言ってくれるか‥?
お前が生きてる内には言えなかったけど、
お前と兄妹で居たかった。
──。
殺してしまってごめんなさい。
でも、貴方と居られた間は、ずっとずっと…自分らしく居られたんです。
────。
最後まで、お前の隣に居させてくれてありがとう。
──とお前とオレで、
またバカみたいに話したかったな。
なんて。
そんなこと、オレの一方通行で勝手な想いだけど。
でもさ。 想うくらいは良いだろ?
──オレ、決めたんだ。
もう自分の気持ちに嘘は吐かないって。
今度こそ、 お前らとちゃんと向き合えるようになりたかったからさ。
オレが今までしてきたこと…
オレの命一つじゃ到底償えないものだって、そんなの自分でも分かってる。
けど、 せめて、償わせてくれよ。
なぁ、ヒーロー。
あの人を、オレの代わりに助けてやってくれ。
あの人はさ、
もう、壊れちまったんだよ。
オレの手じゃ、あの人を闇から引きずり出すことなんて出来なかったんだ。
オレじゃ……無理なんだよ。
だから、 あの人を救え。
(頼んだぜ? ヒーロー。)
──遂に、息が苦しくなって来る。
今になって、どうしてこんな方法を選んでしまったのか、と後悔し始めた。
(あぁ、苦しいなぁ。)
やっぱり、心の底では生きていたかったのかもしれない。
でも、こんな状況の中でも、少しだけ、この終わり方で良かったと思うんだ。
オレが今日死んだお陰で、明日オレの手にかけられる筈だった幾つもの命が救われたんだ。 死ぬ前にそんな大義が出来るなら、これで良かったのかな。
あぁ、やっと 死ねる。
やっと終わらせられた。
普段から死というものに深く関わっているからか、不思議と自分が死ぬことに対して恐怖は沸かなかった。
やっぱり、オレはイカれてるんだなぁ…
目を開けて、水面に反射する太陽の光を見つめる。
頬を擽る柔らかい水を全身に浴びた。
生まれ変わるならこれ位自由なものが良い。
……まぁ、生まれ変わりなんて1ミリも信じてねぇけど。
目を今度こそ重く閉じる。
瞳に、まるでオレの根っこのような黒い景色が映される。
最後の息を振り絞って、誰にも伝わらないメッセージを遺す。
「清々しい程最悪な人生だったよ!!」
そう言い遺して、深い暖かな海の底で微笑む。
閉じた瞼が重くなって、意識が薄れていく。
息が絶える直前に、耳元で誰かの声がした。
「春千夜」
「ハル兄」
「三途」
『_____。』
どこか儚くて、優しい声。
──海の声が聴こえる。
そんな、気がした。
Fin.
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7/3 𝓗𝓪𝓹𝓹𝔂 𝓑𝓲𝓻𝓽𝓱𝓭𝓪𝔂 三途春千夜!
また次の機会にお会いしましょう。
『海の声が聴こえる。』 でした~!