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なぜこんなにも暖かいのだろう
この温もりを感じたのは、
ほんの数日前のことだった。
読んでいただきありがとうございます。
まず、初めに。
主は文章を書くことがとても苦手です
なので、話の展開が急だったり唐突に飛んだりする可能性があります。
ご了承下さい。
最後に、この作品はフィクションです。
それではどうぞ
私は人間不信だ。
人間とは醜く残酷な生き物だ。
私を笑い物にし、水をかけ砂をかけ、石を投げる。
そんな冷たい生き物なのだ。
今日はついていない日だ。
ぼーっと歩いていたら、猛スピードで車がこちらに向かって来るのが見えた。
私は死を覚悟し、無我夢中で走った。
なんとか轢かれることなく路地裏まで逃げ込めた。
『ああ、危なかった。』
そう思ったのも束の間、視界に飛び込んできたのは黒く大きなバサバサと羽搏くカラスだった。
それは私目掛けて飛び込んでくる。
ぎゅっ…と目を瞑り身を縮こめた。
「あっちいけ!!」
大きな音と共に目の前に大きな壁が現れた。
人間だ。
その人間はこちらを向き、微笑みかけてくる。
なんだ、コイツは。
「大丈夫?」
「君、野良猫ちゃんかな?」
そんな訳のわからない鳴き声を発している。
そう、私は猫だ。
人間の鳴き声など理解ができない。
今すぐこの場を去らなければ殺される
そう考える間もなくソイツは手を伸ばしてきた。
「いたっ、ご、ごめんね、怖かったよね」
何を言っているんだコイツは、思いきり噛み付いたのに、怯むどころかどんどん迫ってくる。
なんだ、なんだ
混乱しながらも後退りをしていると、角に追いやられてしまった。
しまった、私としたことが。
捕まった。
人間は相変わらず変な鳴き声を発しながら私を狭い箱に閉じ込めた。
あれからどれくらい経っただろうか。
ずうっと絶えることのない振動、通り過ぎていく音。
辺りの匂いは落ち着いた香りになり、同時に辺りが騒がしくなった。
しばらくすると獣の香りと薬剤の香りが充満する場所に連れて来られる。
「猫ちゃん、動物病院についたよ」
そう鳴き声を発すると人間は私を箱から出した。
私は狭い空間から解放された
だが逃げる事はできなかった。
それは一瞬の出来事だった 。
大きな手に身体中を触られ、鋭い痛みが走り、再び狭い空間に戻される。
そうしてまた振動を感じ、私は疲れ果て眠りに落ちてしまった。
気がつくと見知らぬ世界が広がっていた。
暖かい、室内だろうか。
私がしばらく探索しているとガチャ、という音が背後から聞こえてきた。
驚いて振り返った。
ああ、また人間だ
「落ち着いた?今日からここが君のお家だよ」
そう言いながら奴は近寄ってくる。
何故だ。
何故かコイツからは悪意などは感じられず、暖かい。
「こんなにボロボロになって、、ヒトにやられたの?」
そう言いながら私の体に触れる。
細く骨ばった指が。
「僕とおんなじだ。仲間だね。」
見ると、人間は私と同じくらいボロボロだった。
ガリガリで、あざだらけ。
腕は傷だらけで顔はやつれている。
どうやら他の人間とは事情が違うようだ。
足には何かで焼かれたような跡があり、髪もボサボサだった。
「綺麗な瞳だね。」
彼は私の顔を覗き込んできた。
決して光がさす事のない濁った瞳で。
だが、綺麗なのだ。
その濁った色すらも綺麗に思える。
今まであんなに嫌っていた人間が
あんなに私に悪意を向けてきた人間が
私に触れ私を見ている。
ああ、なんて心地良いんだ。
これが、しあわせなのか
久しぶりに身体が重いと感じた。
腹が満たされた。
どうしてこの人間はここまでして私に尽くしてくれるのか
わからない。
わからないが、私はこのままでいいのかもしれない。
そう感じた。
暖かい。