テラーノベル
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※太乱要素注意
※太ヤンヘラ 太→→→←乱→→←←福
「乱歩さん。」
昼過ぎ。呼び止められた。お菓子の買い出しを頼みたく、頼める人を探していたところだ。
丁度いい。太宰に押し付けようか。何て呑気に考えて振り向いた。
「あ、太宰!お菓子の買い出し…」
貴方に両肩をぐいっと押された。壁に押し付けるように。
帽子が頭の上から落ちた。床に置かれた。
急に動くものだから、少し目を見開いてしまった。
「…何…何か訊きたい事が有ったんじゃあない?」
貴方は髪を撫でて、僕の顔を舐め回すように視線を送っている。
「あゝ、なんて愛おしいのでしょう。乱歩さん。貴方と言う人は、こうも人を駄目にする…」
「変な薬でも呑んだのか?」
いつもと違う様子に困惑する。一言で肩を抑える力が強くなった。
太宰の手が僕をなぞる様に、しつこく纏わり付く。
「薬?冗談は辞めてください。頭の良い貴方なら、私の心情も解るのでは?」
太宰の深みのある目は、間近で見ると吸い込まれそうになる。
太宰の奥底にあるモノを隠し切れてない。
「…お前が僕に好意を抱いてるのは、解る。素人でも解るだろう。それくらい今のお前は可笑しい。」
「…何が可笑しいんですか?私は、乱歩さんの全てを愛してますよ。」
きっと、今の太宰は話し合いが効かない。頭より口が先に動いている。
つまり感情に任せて僕に詰めている。という事だろう。
「貴方の優れた頭脳も、」
頭をこつんと指で叩かれた。全てが見られてる様で、恐怖を覚えたのだろうか?
喉の奥が鳴った。小さく音を立てて。
「癖のある髪の毛も、翡翠色の瞳も、性格も、」
髪を撫でる。僕の目を見詰める。それから目を細めて笑った。
「…天使の様な笑顔も」
今の僕は笑顔なんて到底出せるものではなかった。どう見えるのか知らないが、顔が引きつっているだろう。
「その、眼鏡。眼鏡姿も素敵ですよ。」
僕の懐を指さして、不気味に笑った。
「随分大切にしている様で。肌身離さず持ってますよね?」
懐にある眼鏡の位置に手を添える。これだけは、触らせない。
「社長の前で見せる貴方の笑顔は、私の前の笑顔とは違う。」
声が震えているのが伝わった。肩を抑える力が弱くなっている。
「…何で。乱歩さんにとって社長が大事だってことは解る。なのに、何故。」
一つ、ため息を吐いた。
「社長と恋仲なのでしょう?」
「…だったらなんだ。僕の自由だ。そもそも、太宰なら気付いてると思ってたよ。」
「乱歩さんの自由にすればいいです。ただ、私が貴方に好意を抱いてる事は忘れないでください。」
「いつか貴方を社長の手から奪います。」
耳元でそっと囁いてから、呑気に何処かへ行った。さっきの所為なのか?
手が小刻みに震える。矢張り、太宰は何処か歪な気がする。
そんな事を考えていると、目の前を社長が通った。
「…乱歩?こんな所で何をして…」
どんな顔をしてたのか。貴方は少し焦ったように感じた。
きっと、僕の顔が酷く白かったからだろう。汗で髪の毛が萎れている。
「乱歩。体調でも悪いのか。1度横になった方がいいだろう。」
ひょいと、帽子を床から掬いあげて埃を手で払った後、僕の頭に被せた。
「…社長…」
ここで太宰の名を出すのは気が引けた。
「うん…少し休むよ」
貴方が僕の違和感に気づかない訳が無くて。気づけば、大きな体で包まれていた。
「…無理に言わなくていい。だが、溜め込みすぎるな。」
優しく僕の背中を摩って、頭を撫でた。
暖かくて少し渋い貴方の香りが心地いい。
力が抜けた僕をよそに、貴方は離れていってしまう。
「仕事がある。詳しい事情はまた後で話を聞く。」
素っ気ない。もっと優しくしてくれたっていいのに。
取り敢えず、与謝野さんの医務室を借りて休憩しようか…
コメント
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ねこさん、第2話もドキドキしながら読みました! 太宰さんの「いつか貴方を社長の手から奪います」のセリフ、ぞわっと来ました…。あの耳元で囁く距離感と、乱歩さんの震える手の描写がすごくリアルで、感情がひしひし伝わってきました。社長の優しさとの対比も切なかったです。続きがすごく気になります!