コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『出会えたあなたに伝えたいこと』
今回は水ちゃん視点が書きたくなったので書いてみました!
それではどうぞ!
『お姉ちゃんっ…!行かないで……っ!!』
ごめん…ごめんね…赤ちゃん……。
水side
水「……」パチッ
水「…思い出しちゃったなぁ…… 」
私の名前は水。
どこにでもいる、普通の一般人。
ガチャ
青「あ、水おはよう」
水「…おはよ」
この人は青くん。
私の彼氏で、1年前くらいから同棲している。
青「元気ないけど…どうしたん…?」
水「…赤ちゃんのこと、思い出しちゃって」
青「!」
青「赤ちゃんって…水の妹やろ…?」
水「うん…生き別れの妹」
今言った通り、私には生き別れの妹、赤ちゃんという子がいる。
なぜ別れてしまったのか、それはもう数十年前の話。
私が生まれてから5年間の話だ。
私たちの親は育児放棄で、いない存在として扱われていた。
私と赤ちゃんは2歳差で、幼いながらも、生まれたばかりのこの子を○なせる訳には行かないと思い、必死に食料を探してた。
だけど、ご飯は貰えても泊まらせてくれる人は誰もいなくて、毎日のように野宿していた。
一人の時は助けてくれる人もいなくて、ずっとひとりぼっちで、苦しかったけど。
赤ちゃんがいると、どんな事でも頑張れる気がして、私にだけ見せてくれる笑顔が、唯一の救いだった。
そんなある日、養護施設に預けられた。
私が5歳、赤ちゃんが3歳の時だった。
今思うと、よく生きてたなと思う。
なんで生きれたのかも分からない。
赤ちゃんも歩けるようになり、少しだけど喋れるようになって、順調に育っていった。
私は赤ちゃんが大好きで、人間不信気味というのもあり、四六時中赤ちゃんと一緒に過ごしていた。
赤ちゃんもずっと私と一緒にいてくれた。
もうずっと、この先も一緒にいるんだって思ってた。
だけど、その数ヶ月後、私を引き取りたいという人が現れた。
私は怖かった。
また育児放棄されるんじゃないか。また捨てられるんじゃないか、と。
だけど、その人たちと何度か会う度に、心を許せるようになった。
この時の私は、赤ちゃんと一緒に居るのは当たり前だと思っていたから、その人が私“だけ”引き取りたいと思っていたことを知らなかった。
それを知ったのは、引き取るのが決まった直後。
もう、未来を変えることは出来なかった。
赤ちゃんと別れないといけない。
1番大切で、血の繋がった姉妹なのに。
この子が私の生きる希望だったのに。
赤ちゃん別れるということが、なによりも怖かった。
お別れの日。
私を引き取ると言った人達が迎えに来て、別れを告げる時が来た。
きっと赤ちゃんは大きくなった時、私の事なんて忘れるだろう。
だってまだ3歳なのだから。
物心もついてないのだから。
だけど
幼い水「私は…あなたのこと忘れないからね…ポロポロ」
幼い赤「…?」
この言葉も届いてるかわからないけど、届いていると信じて、別れを告げた。
水「……また、紫さんに電話してみようかな」
青「…そこまでやるなら会ってみたらええやん?」
水「きっと覚えてないよ…それに、私には会う資格なんてないし」
青「…」
別れてから数年後。
私は近所の方から赤ちゃんがこの辺に住んでいるということを知った。
紫さんと黄さん夫婦に引き取られたらしい。
私はその夫婦と仲の良い方から電話番号をもらった。
ただ、掛けたら迷惑ではないか、と思ったが、勇気をだして、掛けてみた。
?『…もしもし…?』
?『どちら様でしょう?』
水「も、もしもし……私は、水っていいます」
水「赤のお母さんで合ってますか…?」
紫『!』
紫『なぜ、赤を知っているのです?』
水「私は…赤の姉なんです」
紫『!』
案の定電話に出てくれて、性格などを聞いたら赤ちゃんと一致した。
紫『…そっか…。昔のことは軽く聞いとるけど、そんな事があったんやな……』
水「…赤ちゃんは元気ですか?」
紫『おん、元気やで♪大学生Life楽しんどるわ♪』
水「そっか…よかったです」
紫『…水ちゃん、会ってみいひん?赤ちゃんもきっと思い出してくれると思うで』
水「……いえ、いいんです」
水「あの子には…ずっと幸せにすごして貰いたいので」
水「苦しい過去も、私のことも思い出さなくていいんです」
紫『…』
私は赤ちゃんと会うことを頑なに拒否した。
赤ちゃんが忘れてるならそれでいい。
私を思い出したら苦しかった過去も思い出しちゃうから。
そんなこと、して欲しくないから。
水「……んね、青くんっ…」パッ(手を広げる)
青「…んふっ…かわええなぁ……w」ギュッ
水「ふふっ……落ち着く…♪//」
青くんには、同棲するにあたって隠し事なんてしちゃいけないと思い、全て話した。
青くんは黙って最後まで聞いてくれた。
話終わったあとも寄り添ってくれた。
それが、なによりも嬉しかった。
青「…水が、どうしても会いたくなったら会いに行けばええと思うよ」
青「自分のペースで、やればええやん」
水「…うん、そうだね」
水「ありがとう、青くん」
あの日から数日経った今日。
青「水、今日はどっちも仕事休みやから午後からお出かけでもせえへん?」
水「いいね、丁度食材も買いたいと思ってたし」
青「決定やな♪」
その日はどっちもオフの日で、午後からお出かけをしようと約束をしていた。
そんな時。
ピーンポーン
インターホンがなった。
水「?誰だろう…出てくるね」
青「おん、頼んだ」
ガチャ
水「はーい」
赤「!」
目の前には、見た事のない、赤髪で綺麗な顔をしている子がいた。
赤「…お姉ちゃん…ポロポロ」
お姉ちゃん…?私はこの子の姉じゃ……
水「!」
水「赤ちゃん…?」
赤「うんっ…赤だよ…!ポロポロ」
あぁ…これは夢だろうか。
あんなに痩せてて、ずっと元気がなかった赤ちゃんが、こんなにも健康な体になって、かわいくなって、私のところに会いに来るなんて。
そんな、私がずっと望んでたことが起こるなんてことがあるのだろうか。
信じ難い…けど、目の前にいるこの子は
水「…」ギュッ
水「ずっと…ずっと会いたかった…ポロポロ」
水「元気そうでよかったぁ…ポロポロ」
紛れもない、私の“妹”だ。
水「青くんっ青くんっ…!!✨」
青「うぉっwどうしたえらい元気やなぁ……ん?そちらの方は…」
水「私の妹…!」
青「!妹って……赤ちゃん、さんってことか…?」
赤「あ、はいっ…赤です…!」
水「会いに来てくれたの…✨」
青「…ふふっ♪よかったなぁ♪」
青「あ、はじめまして。水の彼氏の青です」
青「立ち話もなんですから、どうぞ座っててください。お茶を用意します」
赤「あ、ありがとうございます…!」
水「私も手伝うよ?」
青「いや、水は座っててええよ。せっかく会えたんやし」
水「…わかった、ありがとう」
水「赤ちゃん、あっち行こっか」
赤「うんっ!」
そこから私と赤ちゃんは別れてからの話をした。
水「紫さんたちの所で元気に暮らしてた?」
赤「うんっ!もう元気バリバリ!」
水「ふふっ♪そっか」
青「…はい、お茶です」
赤「あ、ありがとうございます」
赤「青さんはお姉ちゃんと同棲してどれくらいになるんですか?」
青「んー、1年くらいやな」
水「そうだね」
赤「へー、いいな〜」
水「赤ちゃんは彼氏いないの?」
赤「赤も彼氏いるよ!」
水「赤ちゃんに彼氏…!?✨」
赤ちゃんからそんな言葉を聞くと、本当に大人になったんだなぁと思う。
水「そっか…赤ちゃんももう、大人だもんね」
水「あっ、結婚式は呼んでね? 」
青「俺も〜w」
赤「まっ、まだそんなんじゃないから!!////」
赤「てか!お姉ちゃんの方が先に結婚式するんでしょ!?ね、青さん!」
青「せやな〜、俺はそろそろ結婚式したいと思っとるけど」
水「へぁっ…!?///」
青「ま、まずはプロポーズよな♪」
水「!?////」
赤「青さんやる〜w」
赤ちゃんと彼氏さんの話を聞こうと思ったのに、赤ちゃんに話を変えられて私と青くんの話題になってしまう。
でも、今日会えて、話を聞けて本当に良かった。
赤「それじゃ、今日は帰るね」
赤「お邪魔しました!」
水「気をつけて帰ってね」
赤「うんっ!…あ、そうだ」
赤「お姉ちゃんは今幸せ?」
水「…うん、心の底から幸せだよ♪」
赤「そっか、よかった!」
水「次は私から会いに行くね」
赤「ほんとっ!?✨待ってるね!」
水「…赤ちゃん」
赤「?」
水「これからも、心の底から幸せって思える生活を送ってね」
赤「…わかった!」
赤「それじゃーね!青さんもお姉ちゃんのこと頼みまーす!」タッ
青「頼まれた〜!w」
水「またね〜!」
水「……ねぇ青くん」
青「ん?」
水「今度赤ちゃん家に会いに行く時一緒に行こうよ」
青「ええよ」
水「今度は赤ちゃんの彼氏さんも一緒だといいな」
青「お、おもろそうやな♪」
水「でしょ?♪」
青「さ、中に入ろうや。風邪ひいてまうで」
水「そうだね」
私に会いに来てくれてありがとう。
これからも幸せと思える生活を過ごしてね。
それが私の願い。
end