コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
前書き
今回の話には、
『433.インドラ ②』
の内容が含まれております。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います。
シヴァはコユキに指定された場所で再びしゃがみ込んで魔核を拾いながら話の続きを始める。
「うん、イーチの手下どもはかなり強くなっていましてね、数では圧倒的な青紫のレッサー相手に一進一退、混戦状態になりましてね、危機感を持ったのか相手のリーダーっぽい奴、さっき言ったウィオラケウムてのが出て来てなんかオーラを放出しましてねー、そしたらスケルトン達が一斉に魔核になっちゃったんですよー、あれですかね? 俺のカタストロフみたいな奴だったんですかねー?」
「シヴァ君は大丈夫だったの?」
「ええ、無傷でしたよ」
「んでどうしたの?」
シヴァは魔核を拾う手を止めて、コユキの方を見ながら返した、表情はキョトンであった。
「魔核を拾い始めたんですよ、今やっているじゃあないですか」
コユキも手を止めて同じくキョトンとした顔でシヴァの顔を見つめて言った。
「え? 敵は? ウィオラケウムって魔将? も居たんでしょ? そいつらは何で魔核になっているのよ?」
シヴァは疑問の表情を更に深い物へと変えていた。
「そりゃ、魔核を拾う時に邪魔になるじゃないですか? 大量のレッサーが動き回っているんですよ? 普通に考えれば拾い難いくらいわかるでしょう? 大丈夫ですかコユキ様? 今日食べていないからですかね?」
「いやいやいや、何故倒したかじゃなくてさ、どうやって倒したかを聞いているのよ、イーチ君の軍団って一年前だったら腕引き千切って倒した奴等でしょ? そいつらも一撃とか結構強い奴だったんでしょ? ウィオラケウムってさ、今回もそうやって倒したのん? 二本? 四本いった?」
「ああ、そう言う事が聞きたかったんですね、今回はいつも使っている『魔力崩壊(カタストロフ)』一発ですよ、アレが良いんですよ、魔力も殆(ほとん)ど使わないしコスパ最強なんですよね」
コユキは首を傾げたが僅かにしか動かなかった為、恐らくシヴァには伝わってはいないと思われた。
「だったら前は何で封印を解いたり、トリシューナって槍を取り出したり色々したのん? ほらグナ変更だっけか、アザッスとかいってたじゃないの?」
「ラジャスですよ…… それに言いましたよね? あの時は弟、アヴァドンに戦い方を教えてやるって! んだから肉弾戦を選んだんですよ、アヴァドンって馬鹿でしょう? すぐ大量の魔力に頼ろうとしますからね、あの時も魔力切れに陥っていたでしょう? まあ、兄としては先行きに不安を感じたりする訳なんですよね、ははは、でも今回はそんなの気にする必要無かったですからね、カタストロフの威力をちょいと高めてやれば、これこの通り、って奴ですよ」
コユキは納得の表情を浮かべながら思うのであった。
――――そうだったわ…… シヴァって中二的な言葉に聞こえても結構真実って奴だったりするのよね…… なるほど、あの時の戦いを教えてやるってーのもガチだったって事なのね…… 確かガミュギュン君が言っていたわね、『嘘は弱者の武器』とか何とか…… なるほど、強者に嘘やハッタリは要らないって事なのね、目からコンタクトが落ちる、ってやつね……
|鱗《ウロコ》な、コンタクトが落ちたら見えなくなっちゃって真逆の状態じゃん……
私の嘆きはいつも通り、コユキの耳に届くことは無く、二人は会話を続けるのである。
「威力を高めるってどうやんの? やっぱり魔力を多めに込めるとかなのかな?」
「いいえ、違いますよ、まあ、コユキ様みたいに魔力が使い切れないほどある方だったら、それでも良いんでしょうがね、普通は魔力の量じゃなくて速度ですね、体内を巡る魔力回路を流れる速度を上げるんですよ、そうすれば威力は上がりますね、俺だけじゃなくて、ラマシュトゥ姉やバアルさんも同じやり方で威力を高めていますね、所謂(いわゆる)、魔力操作ってやつですよ」
「へー、そうなんだねー、良しっ、一つ試してみるかな、んと…… 『遠隔操作(オートマタ)』っと、おお、おおおぉ!」
カギ棒を取り出したコユキはいつもより少ない聖魔力を込めてスキルを発動させた、勿論、体内を巡る聖魔力を超高速で動かすイメージをし、注入した後である。
コユキのイメージした通りに操れるカギ棒は一見した限りではいつもと変りなく飛んでいるように見えた。
しかし、操っているコユキ自身にはコントロールのしやすさだけでなく、移動の際の飛行速度や障害物に接した時の威力が段違いに引き上げられている事がはっきりと分かったのである。