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飛雄が骨折する話
月影(CP要素は薄いけど同居してる)
バッド(?)です
続かない
ちょこちょこ変なとこあるかもですが気づき次第直します
影山side
「っ…!?」
いつも通り、セットアップしようとした。
でも、地面に着地したとき、足に激痛がはしって立てなかった。
ぎりぎりセットアップできた、それは良かったが、ドシャットされて負けた。
悔しさよりなにより、痛みしか感じなくて動けなかった。
その場に倒れ込んだ。
意識が遠のいていき、その後どうなったかは覚えていない。
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高校3年生の春高決勝戦。
試合結果は、負けたということだけ知っている。
新聞にも、スポーツ関係のニュースにも取り上げられていたから。
そのとき皆は悔し涙を流していただろうが、俺は痛みによる涙しか流れなかった。
整列の笛がなっても倒れ込んだままの俺の異変に、菅原さんが駆けつけたらしい。
そこから救急車と、会場…というより烏野高校周囲がバタバタしていたそうだ。
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まぶたを開くとそこは真っ白な箱の中で、病院だとはっきりと分かるような匂いがした。
「…だ、大地…影山が起きた!」
「ほんとか!?」
少しして部員が来た。
また、後日、試合などで面識のある人たちが日替わりで訪れた。
色々言われたけれど、なかなか理解することが出来なくて、理解出来たのは骨折ということだけ。
また出来なくなるわけじゃない、また折れるリスクはあっても出来なくなることはない。
でも、何故か足が震えて動かなかった。
いや、動けなかった。
動こうとするとあの日がフラッシュバックして固まってしまう。
もう、何も出来ない。
そう思いはじめると止まらなくて、もう何もする気が起きなかった。
いつしか、あんなに楽しかったはずのバレーは辞めて、家に引こもるようになった。
そうして、誰とも連絡を取らなくなったし誰とも顔を合わせなくなった。
「王様…」
ただ1人を覗いて。
「ちげぇよ、もう…王様でもなんでもねぇ、」
「…ごめん」
あんなに楽しかったのに。
いつしか皆は就職していて、付き合っていて、結婚していて、テレビに出るほど有名になっていて、バレーの腕を上げていて。
もう、俺には追いつけない、手の届かない存在になってしまった。
「また散らかしてる…ちょっとは片付けてよ…」
「…すまん」
「また、みてるの」
「…やらねぇけど、な」
月島がそう言ったあと少し目線を逸らして顔を歪ませたのが、液晶画面に反射した。
そんな表情を見て、胸が痛くなる。
「やっぱ、もどらないんだ」
「あぁ、俺は…見てるだけで十分だ」
「あっそ…」
そう言い放ち、同居人はどこかへ行ってしまった。
多分、自分の部屋へと戻ったのだろう。
「……俺だって、もっと皆とバレーしてぇよ…したかった…」
そう静かになってしまった部屋へと零しても、過去も現状も、変わるわけがなかった。
もう一度画面に映る、昔に見覚えのあるキラキラした選手たちを見た。
だんだんと、視界が歪んでいく。
もう画面も部屋も、何も見えない。
「…俺も、こんなふうになりたかった」
もう、何も持ってはいけないと悟ったんだ。
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