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コメント
11件
最高の年越しだぁぁ…………‼️‼️✨️💕 素敵すぎる…ワードセンスありまくりですか?ちょっとその語彙力お借りしてもいいですか??? 吐息とか、ナビの音が遠ざかって、?みたいなところとか…音、空気感、、、みたいな、五感を使って情景を表現する所がぶっ刺さりましたありがとう。 とにかく執筆お疲れ様ぁぁ…!!! ねれさんもよいお年を。 2026年が、ねれさんや皆様方にとって素敵で生きやすい1年でありますように!
え...ゑ、?? 今年最後にこんなご褒美貰って良いんですか、???((( 描写が細かく伝わってきてもう本当に語彙力が無くなっちゃうくらい好きです...!! 来年もよろしくね!!✨
語彙力凄すぎて横転𓀠𓀡 いつか2人の想いが通じ合えばいいなぁ
役目を終えた灯りは、外される事もなく、誇る事もなく、静かに瞬いていた。
鈴の音はもう遠く、記憶から薄れてきている。
そこら中から主張していた赤と白の布切れは、今はもう粗方片付けられていた。
「 遅くなって悪いね。混んでてさ 」
ドアを閉めれば、外から隔離された静かな空間が出来上がった。
吐く息は白さを増し、いよいよ年の瀬という頃である。
「 ……飲みすぎ? 」
『 ……別に 』
会話はそれきり。
遠慮せず助手席に身を預けた中也は、短く呼吸を繰り返していた。
私はそれを特段気にする事もなく、エンジンをかける。
一定の振動。一定の速度。
ラジオも音楽もつけず、続く沈黙。
迎えに来て、送る。
それだけの関係が、今日も動き出した。
「 ………… 」
『 ………… 』
信号待ちの間は、いっそう沈黙が大きくなる。
布が擦れる音だけがやけに近くて、私は其の理由を酒に押し付けた。
考えなくていい距離だ、と自分に云い訊かせる為に。
逸らすように窓の外へ目をやると、片付け損ねた光が淡く反射している。
____沈黙が、重くなる。
「 ……中也 」
乾いた声。
走行音にさえ負けてしまう、細い声。
『 ……んだよ…… 』
呼んだ理由は思いつかない。
唯、ただ……確かめたいという気持ちだけが先行して、
数秒。
「 毛布、要る? 」
『 ……手前が寒いなら、出せよ 』
「 ……そう 」
何でもない話題なのに、如何して、こうも、君は。
核心を突かれた気がして、思わず速度を落とす。
時間も、夜も、道も、ちゃんと進んでいるのに、此の空気だけ、置いてけぼり。
はぁ、とひとつ息を零すと、ちょうど次の信号が赤に変わる。
ブレーキを踏むと、弾んだ拍子に、中也の躰が僅かに此方へ傾いた。
「 …… 」
ハンドルを握った儘、一瞬だけ迷う。
戻すか、声をかけるか。
けれども、どちらの選択も”らしくない”気がして。
其の儘、車を走らせた。
「止めなかった」という事実だけ残して。
中也は相変わらず目を閉じた儘だ。
本当に眠っているのか、はたまたそういう振りをしているだけなのか、 確かめる程の理由は無い。
酔ってるだけ。
今日だけ。
今だけ。
そう云い訊かせる度、とくんと鼓動が速くなるのは、きっと、気の所為だ。
角をひとつ、ふたつ、もうひとつ曲がる。
ナビの距離表示は一歩ずつ縮まって行く。
あと、少し。
「 …… 」
あと、少し。
「 ……っ 」
息を詰まらせた刹那、方向転換する音が鳴る。
急に直前で曲がった所為か、車内は大きく揺れ、中也の頭が肩にしっかりと乗った。
『 …… 』
瞬間、ゆっくりと目を開ける。
揺れた反動か、仕組んだのか、其れは判らない。
「 …… 」
私は何も云わない。
中也も何も云わない。
ひとつ、ふたつ、また更にひとつ、角を曲がって、
街灯がどんどん減っていって、それに比例して、中也の顔がよりくっきりと鮮明になっていく。
『 …… 』
小さく息を吸う音が訊こえる。
目線はしっかりと窓の外へ。
もう、気付いているのに。
ナビの距離表示が、どんどん大きくなる。
増えて、増えて、遂には九百メートル離れる。
ナビが、空気を壊すように、残り何メートルか伝えてくる。
そして、音が消える。
「 …… 」
エンジンを切る。沈黙が重くなる。
中也の顔が、よく見える。
『 ……太宰 』
初めて、目と目が絡み合う。
紺色に、影が乗って、より深くなる。
その瞳からは、酔いが消えていて、
その理由を考える暇など、もう無かった。
影が重なる。
互いの顔を寄せる。
吐息が混じる。
近い、と思った。
でももう、一歩も、半歩も、何も要らない。
中也は目を逸らさない。
逃げもしない。
____だから、もう、戻らなかった。