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政治的意図はありません。
蘭日
誤字脱字あったら教えてください。
「好き。」
この二文字が頭の中を駆け巡る。
キーボードを打つのでさえも指が重い。
どうすればいいのか。
考えるのは無駄。
頭を冷やそう。
デスクチェアから腰を上げ、喫煙所へ向かった。
喫煙所の中は先客がいた。
日本_。
日本は僕に気づいておらず、曇りガラスの外を静かに見つめていた。
僕も静かに煙草に火をゆっくりつける。
口に咥えると、煙が喉を通り、痛みが出る。
日本が僕に気づいたのか、煙草を咥え小さく会釈をした。
僕もそれを返す。
日本は再び、外を眺める。
僕は日本の後を追う。
静寂に蔓延る煙はやけに苦く感じた。
***
再び、デスクチェアに腰を掛ける。
体が重い。
外の景色が朱色から、紺色へと統一しようとしていた。
顔をあげると、向かい側に熱心にパソコンと向き合う日本がいた。
今日は一緒に帰れるだろうか。
期待はしていない。
再び、視線を画面へと戻す。
***
時刻は午前1時。
仕事が碌に進まず、終わった時刻は日をまたいでいた。
タイムカードをきり、エレベーターが来るのを待つ。
エレベーターの中に入ると、遠くから、日本が走ってきている。
僕は、『開く』ボタンを長押しした。
「すみません」
「大丈夫」
一言、呟くと日本は気まずそうに下を向いた。
静寂が広がる空間
一階に着くまで,もう少し。
静寂を破り、日本が口を開いた。
「久しぶりですね、こうやって一緒に帰るの」
「そうだな」
エレベーターが一階に着いたと知らせるチャイムが鳴った。
そのまま、操られるがままに日本と会社を出た。
街灯が道路を照らす。
「日本、最近アメリカとはどうなんだ?」
「ええ、心配かけてばかりですがね。」
小さく微笑する。
目が合わないが、少し頬が赤くなっているのがわかる。
「日本」
「はい?」
完璧な愛想笑いを向けられる。
どうせ、無理なのだから。
「…星が綺麗だな」
詰まった言葉を、常套句に変える。
口を開ける日本の口を静かに閉めた。
街灯の下に二つの影が重なった。
数秒の間、沈黙が流れた。
黒雲が広がる空、星なんて一つも見えなかった。