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憧れ

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憧れ

1 - 第1話

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17

2024年01月07日

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初めてその人に会ったのは俺が5歳の時だった。その人は大人で身長も高かった。綺麗でかっこよくて憧れの人。

でも、その人俺が7歳の時亡くなっちゃった。

交通事故に巻き込まれたらしい。歩道を歩いていたら車が急に突っ込んで来た。運転手は70過ぎた高齢者。アクセルとブレーキを間違えてしまったそうだ。

できるならもう一度会いたかった。


俺は高校生になった。

あの人みたいに身長を高くしようと牛乳を沢山飲んでみたり、オシャレな服着て 、頑張った。そのおかげか身長は高くはならなかったが周りからの人気は高くなった。

ある夜、コンビニへ行こうと思い家を出た。あたりは暗くて等間隔である街灯のあかりだけが輝いていた。

買い物が終わり家へ帰っている最中、後ろから人の気配がした。でも振り返って見ても誰もいない。気のせいだと思い、そのまま歩き続けた。

やっぱり誰かいる。俺は思い切って声を出してみた。

「誰かそこにいますか」

返事は無い。やはり気の所為だったかな。そう思い、また歩こうとした瞬間、

「いるよ」

声がした。姿は見えないが確かに声がした。聞き覚えのある声だ。俺の憧れたあの人だ。でも、既に死んでいるはず。何故だろうと疑問に思いつつもそれよりもまた話せることの方が嬉しかった。


それから俺は毎日、同じ時間、その場所へ向かった。色んなことを話した。嬉しかったことや悲しかったこと、相変わらず姿は見えないがとても楽しかった。

1年ぐらいたった頃だろうか。突然、

「かっこよくなったね。

   今までありがとう。」

と、言われた。その瞬間から、その人の声が聞こえなくなった。貴方に憧れているという話をしている最中だった。もっと沢山話をしたかった。でも「かっこよくなったね」と言ってくれたことがとても嬉しくて嬉しくてしょうがない。もう話せることはないだろう。けど心残りはない。貴方は最後まで憧れのままだった。これからは俺がもっとたくさんの人が憧れる綺麗でかっこいい人になろうと思った。

「こちらこそありがとう。貴方のことは一生忘れない。」

俺はそういい、暗い夜の道、星が煌めく中を歩きはじめた。

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