「らだセン!らだセン!大丈夫ッスか!?」
先程まで返ってきていた応答が途絶える。
鳴っていた銃声も無くなり、嫌な予感が積もりに積もっていく。
壁の向こうで何が起きているのか、想像するだけで無いはずの心拍数が上昇するのが分かる。
「ら、だセン…?」
あの安心する声が聞こえない。
ずっと憧れていた姿が、追っていた背中が見えない。
落ち着け…
上がっていた心拍数が徐々に落ち着いていくのが分かる。
「ふぅ…よし」
目の前の壁しか見えていなかった自分は、後ろがどうなっているのかなんて目も向けていなかった。
そこには先輩と登った今にも崩れそうな階段があり、建物の振動で以前よりも更に崩壊度を増していた。
しかし自分にはこの階段しか移動手段はない。
「…いや、もう死んでるし、いいだろ…w」
怖いものは死んでも怖い。
だが…
「やってやるぜぇ〜…?w」
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崩壊した建物が目に入った時、正直、怖いよりも心配が勝った。
自分の身よりも優しく守ってくれようとする彼が無事なのか、商談をしてくるだけだと連れて行かれた彼も無事なのだろうか。
体力がないながらに振り絞った足でなんとか現場に到着することができた。
だが、間近に見た光景は遠目から見るよりも残酷で酷いものだった。
「…っきょーさん!」
見知った姿を視界が捉え、その場所へと小走りで近づく。
今降りてきたのだろう付きそうで行ったぐちつぼ君が右端にあった階段から出てくる。
立ち尽くすきょーさんを視界左端に止め、先に緑色の彼へと足を運ぶ。
「はぁっ、はっ!コンタミさんじゃない…ッスかw」
肩で息をしながら話す彼の顔色は酷いものだった。
「何があったの?らっだぁは?」
「それが壁を建てられて何も見えなくて…事務所内にいれば…、無事じゃないかも」
「…了解」
事務所内にいれば。
彼が放ったその一言で、大体何が起こったかは理解ができた。
らっだぁは仕事上、戦闘を行うのなら知らない場所で、ましてや狭そうな場所で戦うことを一番に避けたかったはずだ。
だから、中にいる可能性は少ないと思うけど…もし、
「きょーさん!中に様子を見に…」
小走りで近づくも、きょーさんは力なく頭を下げたままあげようとはしない。
「…きょーさん?」
彼の視線の先は瓦礫の山だった。
中に様子を見に行く必要なんて、最初から無かったんだ。
「…っらっだぁ!?」
コメント
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これらだお潰れてない...?だいじょぶそ????