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第一話「始まりの旅路」
風が吹く。
木々が揺れ、静かな森の中に葉の擦れる音だけが響いていた。
黒いフードを深く被った少年は、一人歩いている。
腰には一本の剣。
赤い瞳は前だけを見ていた。
誰とも関わらない。
それが一番楽だった。
「……。」
ヴェイルは地図を見下ろす。
次の国まで、まだ遠い。
だが問題ない。
一人には慣れている。
ずっと、そうだった。
その時だった。
――ドォォォン!!!
森の奥から爆発音が響く。
鳥が一斉に飛び立った。
ヴェイルは僅かに眉を寄せる。
……面倒だ。
そう思い、歩き出そうとした瞬間。
「うわぁぁぁぁ!!!無理無理無理!!」
大声が森中に響いた。
続けて。
「誰か助けてぇぇぇ!!!」
ヴェイルは数秒黙る。
そして小さく息を吐いた。
「……はぁ。」
声の方へ向かう。
森を抜けた先。
そこでは、一人の青年が大量の魔物に追いかけ回されていた。
「なんでこんな増えんねん!!!」
叫びながら必死に逃げている。
そして。
青年はヴェイルを見つけた。
「おぉ!?人や!!!」
全力でこちらへ走ってくる。
「助けて!!!」
ヴェイルは無言。
魔物が飛びかかる。
その瞬間。
ヴェイルの影が地面を這った。
黒い影は鋭い槍へ変化し。
一瞬で魔物を貫く。
「……え?」
青年が固まる。
だが魔物は止まらない。
次々と襲いかかる。
ヴェイルは静かに剣を抜いた。
炎。
氷。
雷。
一瞬だけ魔法が溢れる。
そして。
数秒後。
魔物は全て倒れていた。
森が静まり返る。
「…………。」
青年は口を開けたまま固まっていた。
「いや、え???」
ヴェイルは剣をしまう。
そのまま歩き出した。
「ちょぉぉ待って!!!」
慌てて追いかけてくる。
「強すぎん!?今の何!?」
「……。」
「え、無視!?」
ヴェイルは止まらない。
「いや待ってって!!助けてもらったんやけど!!」
少しの沈黙。
やがてヴェイルは小さく呟く。
「……別に。」
「別にちゃうやろ!?」
青年はヴェイルの横に並ぶ。
「名前!!」
「……。」
「名前くらい教えてくれてもええやん!?」
ヴェイルは少しだけ視線を向けた。
赤い瞳。
冷たい表情。
「……ヴェイル。」
「ヴェイルな!!」
青年は嬉しそうに笑う。
「俺はコネシマ!」
ヴェイルは何も返さない。
「……で、なんで一人なん?」
「関係ない。」
「冷たっ!?」
コネシマはケラケラ笑う。
「でもおもろいな、お前!」
「……。」
「なぁ、次どこ行くん?」
「……国。」
「いや雑!!!」
ヴェイルは歩き続ける。
だが。
後ろから足音が離れない。
数分後。
ヴェイルは止まった。
「……何してる。」
「ん?」
「ついてくるな。」
「いやでも一人危ないし?」
「お前がな。」
「それはそう。」
コネシマは笑う。
「だからさ!!一緒行こうや!」
「断る。」
即答だった。
「はやっ!?」
ヴェイルは再び歩き出す。
だが。
コネシマはまた後ろをついてくる。
「……。」
ヴェイルは小さく息を吐いた。
面倒な奴に捕まった。
そう思いながら。
「……好きにしろ。」
そう呟いた。
数秒。
沈黙。
そして。
「よっしゃぁぁぁ!!!」
森中に響く声。
ヴェイルは少しだけ顔をしかめた。
……静かな旅は。
どうやら終わったらしい。
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アラレ♪
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#イラスト付き小説
いなり
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コメント
3件
お疲れさまです! 「第一話『始まりの旅路』」読みましたよ〜。まずヴェイルのキャラ立ちが◎ですね。「誰とも関わらないのが一番楽」って思ってるのに、声聞いたら結局助けに行っちゃう感じ、いいっすね。戦闘シーンも影の槍とか属性魔法バババッと使うスタイルがかっこよかったです。 で、コネシマの関西弁のテンションがヴェイルと真逆すぎて、この掛け合い好きですわ。「別に」「関係ない」「好きにしろ」のミニマム対応にめげずに「よっしゃぁぁ!!」ってなるコネシマ、めっちゃ笑いました。 孤独だった旅に賑やか担当が加わって、これからどう変わっていくのか気になります!続き楽しみにしてます🔥