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第26話 反撃
爆煙の中から立ち上がるアルベリヒ。
その身体は傷だらけのはずなのに、黒炎がそれを覆い隠すように蠢き、逆に力を増しているようだった。
「……面白い。ここまで追い詰められたのは久方ぶりだ。
だが――貴様ら、人間に勝利などない！」
次の瞬間、地面に亀裂が走り、黒炎が噴き出す。
炎は蛇のように伸び、仲間たちを襲った。
光希は必死に刀で炎を切り払うが、その度に体が悲鳴を上げる。
（体が……動かない……！ アルベリヒの実験のせいで……！）
日向は二刀で炎を斬り裂きながら、光希の前に立ちはだかった。
「光希は下がれ！ 俺が受ける！」
「駄目だ、僕だって戦う！」
二人の刃が交錯し、炎を散らすも、押し返すのがやっとだった。
光希と日向の手が塞がり、戦力が欠けてる隙に、蓮人と晴翔はアルベリヒから攻撃を受けていた。
アルベリヒが掌をかざすと、黒炎が刃となって飛来する。
蓮人は咄嗟に刀で弾き、晴翔が横から斬り払う。
「ちっ……威力が跳ね上がってる！これじゃ持たねぇ…！」
晴翔は汗だくだった。
押し返そうとする晴翔の横でアルベリヒの拳が蓮人に直撃した。
「ぐはっ！」
蓮人が吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「大丈夫ですか…」
晴翔は蓮人が心配で横を向いた隙に攻撃がかすった。
「チキショウ…、かすっただけでこの威力…っ！」
晴翔は肩に深い傷を負い、激痛が走っているが、気の失った蓮人を守るためにも刀を下ろすことができなかった。
佳代は蓮人と晴翔のこの状況を片目で見た。
そこで蓮人達を援護しようと自分に攻撃してくる炎を影の力でうまく固定た。
同じようにしようと影で炎の攻撃を一時的に止めようとしたが、黒炎が触れた瞬間に焼き尽くされた。
「……っ！」
「弱い影だな」
アルベリヒが不敵に笑い、炎の槍を投げ放つ。
佳代は刀で受け止めるが、衝撃で数歩後退する。
「お前、刀なんて持っていたのか！？
ちっとも使いこなせっこない！ただのお飾りではないか！」
アルベリヒはそう叫んだ。だが、この煽りに佳代は乗らなかった。
「あ”？何か言えばどうだ？」
佳代は静かに答えた。
「あんたと話す気、そうそうないから。
うるさいんだよ、喋るな。」
同時刻、柑奈とお鶴の方が矢を放つが、矢は空中で黒炎に飲み込まれ、無数の火の粉となり、相手に届かない。
「矢が効かない……！」
柑奈が歯を食いしばる。
林は銃弾を撃ち込むも、弾丸が相手に辿り着くまでに炎によって燃え尽きる。
「効力がほぼゼロだ……」
小河が斧を振り下ろすが、地面に広がった黒炎に阻まれ、逆に吹き飛ばされた。
西円寺は急いで結界を展開するが、圧力が強すぎて壁に亀裂が走る。
「……持たない……っ！」
このような苦戦している状況の中で、アルベリヒはトドメを刺そうと切り札を切ってくる。
「見せてやろう。これが……悪魔に味方する者の力だ！」
アルベリヒの全身から黒炎が噴き上がり、巨大な炎の翼が広がる。
その瞬間、視界が歪み、熱が仲間たちの皮膚を焼いた。
光希が息を荒げ、日向も額から血を流す。
全員が限界に近い状態の中で、アルベリヒは堂々と歩みを進めた。
「絶望を知れ。お前たちの刃は、私には届かぬ！」
